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AMHが低いと妊娠しにくい?―卵巣予備能検査の正しい見方

Q1.AMH(抗ミュラー管ホルモン)で「卵子の数」がわかる?

A1.AMHは卵巣に残っている卵胞の数を間接的に推測する目安になりますが、卵子の数を直接示すものではありません。

抗ミュラー管ホルモン(AMH)は、卵巣の中でこれから成長していく小さな卵胞から分泌されるホルモンです。AMHは血液検査で測定します。血液検査でわかるAMHの値は、卵巣に残っている卵胞の数の目安となり、卵巣予備能を推測する指標になります 。
AMHの値は年齢によって変化します。AMHは思春期以降に上昇し、若年成人期に比較的高い値を示すことがありますが、年齢や卵巣の発育段階によって変化します。また、AMHの値は月経周期中に多少変動しますが、比較的変動の少ない検査といわれています。
AMHは卵子の質を示すものではなく、AMHの値が低くても妊娠する可能性はありますし、AMHの値が高くても妊娠を保証するものではありません。(Kelsey TW et al., 2011)(van Disseldorp J et al., 2010)
AMHでわかること・わからないこと

Q2.AMHの値が低いと、妊娠しにくい?

A2.AMHの値だけで妊娠しやすさを判断することはできません。

血液検査でわかるAMHの値は、卵巣に残っている卵胞の数の目安となります。
妊娠のしやすさは、排卵の有無、卵管の状態、精子の状態、卵子の質など、さまざまな要因が関係します。特に卵子の質は、年齢の影響を受けることが知られています。卵子の染色体の数の異常は、加齢に伴って増えると考えられています。卵子の染色体の数の異常は、胚の発育や流産に関与し、妊娠・出産に至る可能性に影響することがあります。(Gruhn et al., 2019)

このため、AMHの値が低くても、現在妊娠しにくいとは限りません。AMHの値が高くても、現在妊娠しやすいことを保証するものではありません。
また、AMHの値だけから、排卵が何歳まで続くか、閉経がいつになるかを正確に予測することはできません。そのため、AMHの値だけで将来の妊娠しやすさを正確に判断することもできません。

Q3.AMHの値が高ければ、妊娠を急がなくてもいい?

A3.AMHの値が高いからといって、妊娠しやすいとは限りません。

AMHは卵巣に残っている卵胞の数の目安であり、卵子の質や妊娠のしやすさを直接示すものではありません。小さな卵胞が多く、排卵が起こりにくい多内分泌代謝性卵巣症候群(PMOS、旧称 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS))ではAMHの値が高くなることもあります。
妊娠には、年齢、排卵の状態、卵管の状態、精子の状態など、さまざまな要因が関係します。特に卵子の質は年齢の影響を受けるため、AMHの値が高くても、加齢に伴って卵子の質は変化します。
そのため、AMHの値だけで判断せず、年齢や妊娠を希望する時期、卵管や精子の状態などを踏まえて今後のライフプランを考えることが大切です。

Q4.AMHの値が低かったら、すぐ体外受精をしたほうがいい?

A4.AMHの値が低いからといって、すぐに体外受精をした方がいいとはいえません。

AMHは卵巣に残っている卵胞の数の目安であり、妊娠のしやすさを直接示すものではありません。体外受精による不妊治療では、AMHの値は卵巣刺激への反応や採卵できる卵子数を見積もる際に参考にしますが、AMHの値だけで体外受精による妊娠のしやすさを予測することはできません。(ESHRE Guideline Group on Ovarian Stimulation et al., 2026)
AMHの値が低い女性では、同年齢の女性と比べて、自然閉経が早くなる傾向があります。特に若い年齢でAMHの値が著しく低い場合には、年齢に対して卵巣機能が低下している可能性があります。ただし、AMHの値だけから、排卵が何歳まで続くのか、あと何年続くのかを正確に予測することはできません。(Nelson SM et al., 2023)
このため、AMHの値だけでなく、年齢、妊娠を希望する時期といったご自身のライフプラン、卵管や精子の状態などを踏まえて、どのような不妊治療から始めるかを決めることが大切です。
AMHの値が低い場合には、すぐに不妊治療を始める希望がない場合でも、妊娠を希望する時期や不妊治療の選択肢について、生殖医療の専門家へ相談することも一つの選択肢です。

Q5.AMHの値は、どう考えればいい?

A5.AMHの値は、年齢と合わせて考えることが大切です。

AMHは卵巣に残っている卵胞の数の目安であり、AMHの値は年齢によって変化します。AMHは思春期以降に上昇することがあり、若年成人期に比較的高い値を示した後、年齢とともに低下する傾向があります。そのため、同じAMHの値でも、年齢によってその意味は異なります。(Kelsey TW et al., 2011)
例えば若い年齢では、AMHの値が低い場合は、年齢に比して卵巣予備能が低下している可能性があり、AMHの値が著しく低いと若い年齢で卵巣機能が低下する可能性もあります。(Nelson SM et al., 2023)(Zhang Y et al., 2022)
一方、年齢が高い場合、AMHの値だけでなく、加齢による卵子の質の変化も考慮に入れる必要があります。
AMHは妊娠しやすさを直接示す検査ではありませんが、今後の妊娠計画や不妊治療について、ご自身のライフプランを考えるうえで、重要な情報の一つです。
そのため、AMHの値を「高い・低い」だけで判断するのではなく、年齢も考慮に入れ、排卵や卵管の状態、パートナーの精子の状態、妊娠歴や不妊治療歴、今治療中の病気などを総合的に考慮して、ご自身のライフプランを考えることが大切です。

受診について

ご自身のAMHの値で、今後の妊娠計画や不妊治療について悩んでいる方は、お気軽に不妊診療科にご相談ください。
受診方法については、こちらをご覧ください。



(参考文献)
ESHRE Guideline Group on Ovarian Stimulation, et al. ESHRE guideline: ovarian stimulation for IVF/ICSI: an update in 2025. Hum Reprod. 2026;41(4):498-514.
Gruhn J, et al. Science. 2019;365(6460):1466-1469.
Kelsey TW et al. PLoS One. 2011;6(7):e22024.
Nelson SM et al. Hum Reprod Update. 2023;29(3):327-346.
van Disseldorp J et al. Hum Reprod. 2010;25(1):221-227.
Zhang Y et al. Am J Obstet Gynecol. 2022;227(6):883.e1-883.e18.

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