代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
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小児外科

基本情報

臓器・運動器病態外科部外科(小児外科)は手術が必要な子どものための専門外科医療チームです。小児外科の診療は、扱う疾患が多岐にわたり、しかもそれぞれの疾患の患者さんの数は多くない、という特徴があります。すぐに処置や手術の必要な緊急性の高い疾患も多く、また、他の診療科に関わる合併疾患を有する頻度が高いことも特徴です。心身ともに成長中の子どものそれぞれのステージに合った最善の治療を、専門的知識・技能を持ち経験豊富な小児外科医のチームが、他の様々な科と連携しながら行うことが理想的です。当科ではこのような条件を体現し、24時間いつでも外科的処置や手術に対応できる体制を整え、診療にあたっています。
当科の特徴を以下に記載します。

沿革と伝統

わが国の小児外科医療のパイオニアとして多くの症例を治療し、国際的な業績を上げてきた国立小児病院外科の伝統を引き継いています。現在、外科経験が豊富な部長3名、スタッフ4名、フェロー・レジデント3名の合計10名という陣容で診療や研究を行っています。

高い専門性

日本小児外科学会認定の小児外科指導医5名、専門医3名を含む、小児外科専門のスタッフが診療にあたり、国内130余りの日本小児外科学会認定施設中でも屈指の症例数の小児外科疾患を治療しているチームです。また、日本内視鏡外科学会の技術認定医が2名所属しており、子どもの成長を妨げない低侵襲な内視鏡手術(胸腔鏡・腹腔鏡)にも積極的に取り組んでいます。

国際性

スタッフの多くが、欧米の第一線の小児外科臨床・研究施設で臨床経験を積んだり、研究に従事しており、他に類を見ない国際経験の豊かな布陣です。外国人の難しい患者さんも積極的に受け入れており、毎年国際学会に出席し、世界に向けて研究発表を行うとともに、国外の小児外科医療を学び積極的に取り入れています。

365日24時間の外科系救急医療体制

外傷や小児外科救急疾患に対応し、常に緊急処置や緊急手術を行える体制を整えています。

複数診療科によるチーム医療

当院の大きな特徴は、専門性の高い各診療科が連携してチーム医療を行っていることです。当科でも新生児外科疾患や外傷などの重症疾患に対しては、小児集中治療室(PICU)や新生児集中治療室(NICU)と連携して治療を行っています。また、腫瘍疾患に対しては、小児がんセンター・放射線診断科・放射線治療科と連携し集学的治療を行っており、他にも泌尿器科、移植外科、形成外科、消化器科・呼吸器科・内分泌科・アレルギー科・免疫科など多くの診療科と連携して様々な疾患に対する外科治療に対応しています。

先進性

胎児診療科や新生児科と連携した胎児診療、腸内細菌叢コントロールを軸にした腸管機能不全症患児の治療、腸管機能不全関連性肝機能障害に対するw3系脂肪酸製剤による治療、呼吸器科や新生児科と連携した先天性肺嚢胞性疾患の治療、内分泌科と連携した膵過形成性低血糖の治療、リンパ管腫のブレオマイシンや無水エタノールによる硬化療法など先進的な医療に取り組んでいます。


診療内容・業務内容

当科では、消化管や肝臓、胆道、膵臓などの消化器疾患、呼吸器疾患、生殖器疾患、ヘルニアなどの体表疾患、外傷などの子どもの病気を診療しています。これらの疾患に対して月曜から金曜までの外科外来で対応し、夜間・休日は当院救急外来で対応しています。外科診療は24時間、365日いつでも手術対応が可能な体制をとっているため、緊急時には昼夜を問わずいつでもご紹介やご相談に対応しております。
また、現在治療に難渋して困っている場合や、各種疾患の治療方針についてより専門的に詳しく知りたい場合など、ご質問に答えたりや情報提供を行うセカンドオピニオン外来を常時開設しているので、医療連携室を介してお気軽にご相談ください。

関連リンク(ガイドライン)

専門分野

当科では、ありとあらゆる小児外科疾患に対応しておりますが、特に高い専門性を必要とし、かつ当科で多く扱っている分野は以下の通りです。

膵・胆道疾患

国立小児病院時代からの豊富な経験と圧倒的な症例数の蓄積により安定して良好な成績を得ており、胆道閉鎖症、(先天性)胆道拡張症、膵・胆管合流異常症、遺伝性膵炎などを中心として稀な膵・胆道系疾患の外科治療を行っています。特に胆道閉鎖症では消化器科や移植外科、また病理診断科とシームレスな診療と研究を進めております。肝移植が必要時には速やかに移植外科チームと連携しスムースな診療移行が出来るのも当院の大きなメリットです。

腸管機能不全

ヒルシュスプルング病、ヒルシュスプルング病類縁疾患、短腸症候群など長期にわたってストマ管理や腸管リハビリテーション、静脈栄養を含む栄養管理を行う必要のある疾患に対し、これまでの豊富な症例経験を活かし集学的な治療を行っています。

リンパ管疾患(リンパ管腫、リンパ管腫症/ゴーハム病、その他)、血管疾患

先天性の血管・リンパ管疾患の大半は原因不明で、特に先天性・多発性・巨大なリンパ管腫(リンパ管奇形)や海綿状血管腫(静脈奇形)症例については根本的な治療法が確立していません。当院では疾患の克服へ向けて厚労省、日本医療開発機構の小児リンパ管疾患研究班のメンバーを中心に最先端の情報収集と臨床実践、また治療開発研究を行っております。難しい症例に対しては、形成外科・耳鼻咽喉科等の外科系診療各科と小児科とも協力し内科的治療・外科的治療の両側面から治療方針を提案し、病勢のコントロール、QOLの改善を考え最善のチーム医療を行っております。

嚢胞性肺疾患

当センターでは胎児診療科・新生児科との連携で出生前診断例のフォロー、呼吸器科との連携で気管支鏡動脈造影を含む画像診断に基づく術前診断がなされ、当科においてはそれらの豊富な術前情報に基づいた安全で確実な手術を行っております。術後も病理診断により疾患に対する理解を深める努力を続けており、関連各科に寄せられる症例数は我が国でも最も多く、嚢胞性肺疾患を扱うチームとして最も豊富な知識と経験を有しています。近年は特に出生直後に外科的治療介入を必要とする重症例についても症例を重ね良好な成績を上げております。

先天性高インスリン性低血糖

内分泌科チームと協力し、遺伝子診断や過形成膵の部位診断をすることにより内科的および外科的治療を行っています。同疾患に対する膵切除術は2014年から6例となり、今後も手術件数が増えていくことが予想されます。

直腸肛門奇形

当センターではあらゆるタイプの直腸肛門奇形(高位・中間位・低位鎖肛)の治療においても、機能的・解剖学的にできる限り正常に近づけられるような術式を工夫して行っています。特に低位鎖肛の肛門前庭瘻、肛門皮膚瘻に対して、術後の排便機能の向上のため、肛門挙筋群、括約筋群の走行と機能をなるべく生かすようにASARP(Anterior Sagittal Anorectoplasty)術式を行っており良好な成績を得ています。

低侵襲手術、内視鏡手術(胸腔鏡手術、腹腔鏡手術)

2022年5月現在、本邦には日本内視鏡外科学会の技術認定(小児外科領域)取得者が60名弱おりますが、そのうち2名が当センターで診療に携わっています。鼠径ヘルニアや急性虫垂炎などの一般的な疾患から、食道閉鎖などの新生児症例、胆道拡張症、悪性腫瘍の生検や摘出術など、様々な疾患を対象に慎重に適応を判断した上で、創が小さく、術後の痛みも少なく、回復も早いと言われている低侵襲な内視鏡手術を行っています。内視鏡手術の適応については、外来にてご気軽にご相談下さい。必要に応じて、内視鏡手術技術認定医が説明いたします。

診療実績

疾患別手術患者数

疾患 2019 2020 2021
① 頭頸部(除リンパ管腫、血管腫) 計 5 計 0 計 3
梨状窩瘻 0 0 1
正中頸瘻・嚢胞 2 0 2
側頚瘻 3 0 0
② 肺、横隔膜(除悪性腫瘍) 計 23 計 19 計 34
嚢胞性肺疾患 9 4 8
漏斗胸(ナス手術、ナスバー抜去) 2 1 4
先天性横隔膜ヘルニア 12 13 15
気胸 0 1 7
③ 食道 計 21 計 12 計 16
先天性食道閉鎖症 0 1 3
先天性食道狭窄症 0 1 0
食道憩室 0 0 0
内視鏡的食道バルーン拡張 21 10 13
④ 胃、十二指腸 計 28 計 25 計 26
ニッセン噴門形成術 10 7 5
胃瘻造設術 11 12 15
胃軸捻転症手術 0 1 0
肥厚性幽門狭窄症 3 5 5
十二指腸閉鎖、狭窄症 4 0 1
⑤ 小・大腸、腹膜炎、イレウス(直腸肛門奇形) 計 103 計 85 計 117
腸閉鎖症 2 4 3
腸回転異常症 0 0 4
虫垂炎 39 40 43
腸重積症(手術) 8 1 1
肛門病変 13 8 23
イレウス 5 12 9
Hirschsprung病手術 2 2 2
特発性腸穿孔 0 7 6
腸管内異物摘出術 0 0 0
その他腹部 35 11 26
⑥ 胸腹壁異常 計 27 計 30 計 34
腹壁破裂 0 0 0
臍帯ヘルニア 5 2 2
臍ヘルニア 21 24 29
尿膜管遺残 1 4 3
⑦ 直腸肛門奇形 計 11 計 7 計 13
鎖肛(高位・中間位) 3 5 6
鎖肛(低位) 8 2 7
総排泄腔外反症 0 0 0
⑧ 肝胆道系 計 13 計 12 計 6
胆道閉鎖症(新患) 2 5 2
先天性胆道拡張症 6 2 3
胆石症 2 1 1
脾疾患 3 4 0
⑨ 腫瘍 計 114 計 77 計 93
良性腫瘍(含リンパ管腫、血管腫) 20 16 16
神経芽腫 7 10 5
腎芽腫 4 2 1
肝芽腫 5 0 2
奇形腫 15 10 14
横紋筋肉腫、ユーイング肉腫など 0 2 1
ラブドイド腫瘍 0 0 0
転移性肝腫瘍 0 0 0
膵腫瘍(膵過形成) 2 0 0
肺悪性腫瘍 9 4 17
その他悪性腫瘍 0 0 0
腫瘍生検 15 6 5
リンパ管腫硬化療法 37 27 32
⑩ 鼠径ヘルニア等 計 153 計 120 計 108
鼠径ヘルニア、陰嚢水腫 129 111 101
停留精巣 24 9 7
⑪ 腎・泌尿器
腎摘出術 0 0 1
⑫ 検査
内視鏡 26 19 18
⑬ カテーテル挿入 計 146 計 124 計 146
CVカテーテル挿入 136 120 120
腹部カテーテル挿入 10 4 26
⑭ その他 18 51 40
⑮ 新生児(生後30日以内)手術 36 35 59
合計 705 581 675

受診方法

受診には予約が必要です。予約センターに連絡し、予約してください。予約の変更も予約センターで対応します。初めて受診(初診)する場合は、医療機関(医院、病院)からの紹介状が必要です。

再診の方は、予約センターで予約してください。曜日毎に担当医が決まっているため、担当医の希望があれば、予約時に伝えてください。

スタッフ紹介

診療部長 医長 医員 フェロー レジデント
金森 豊
藤野 明浩
米田 光宏
狩野 元宏
山本 裕輝
藤雄木 亨真
石丸 哲也
渕本 康史(非)
渡邉 稔彦(非)
橋詰 直樹
齋藤 傑
小関 元太

患者紹介・医療連携

管理、治療方針にお困りの症例がありましたらご遠慮なくご相談ください。私たちの経験を少しでも生かすことが出来ればと考えております。治療に難渋している患者の相談については、医療連携室へ連絡してください。

緊急症例については、時間にかかわらず常に対応可能な体制を取っています。日中時間帯は外科外来や当日担当医師にご連絡ください。夜間や休日は救急外来を通じて対応するため、当院へ連絡し、救急外来を受診してください。外科当直が病状に応じて対応します。

医療者向けのガイドライン

臨床研究

  • 「限局性リンパ管腫(lymphangioma circumscriptum)に対する無水エタノール注入療法のパイロット研究」
  • 「小児リンパ管疾患の組織細胞学的な検討」
  • 「小児リンパ管疾患の症例調査」
  • 「リンパ管腫症とその類縁疾患に関する遺伝子研究」
  • 「肝芽腫の原発巣・肺転移巣に対するインドシアニングリーン (ICG) 蛍光法を用いたナビゲーション手術」
  • 「小児の肺葉内肺分画症30例の検討」受付番号1150「難治性黄疸と肝機能障害に対するω3系脂肪乳剤(OmegavenR)による治療法」
  • 「ω3系脂肪乳剤(OmegavenR)の効果と有害事象に関する全国アンケート調査」 他

人材育成

当科では、一般外科医師の外科専門医取得のための小児外科症例経験をサポートしています。ご希望の先生がいらっしゃいましたら下記までご連絡ください。

外科学会専門医を目指す外科医の方が小児手術症例を経験するための研修を受け入れています。研修は2週間から1ヶ月程度の期間です。詳しくは、当院教育研修部に連絡してください。

157-8535 東京都世田谷区大蔵2-10-1
  国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 
  臓器・運動器病態外科部 外科
  医長・医学博士  金森  豊
TEL: 03-3416-0181, FAX: 03-5494-7909
Mail: kanamori-y@ncchd.go.jp

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