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感染症科

基本情報

感染症科では、診断や治療の難しい感染症の診断と治療方針の決定を行います。最新の医学的な知見とPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査などの診断技術を駆使して、最適な治療を提供します。また、基礎疾患のある子どもの予防接種も積極的に行います。

感染症とは

微生物が人の体に侵入し、害を及ぼす病気です。微生物にはウイルス、細菌、真菌(かび)、寄生虫などがありますが、人に害を及ぼさないものもあります。人に害を及ぼす微生物を病原体と言います。

子どもの感染症で注意しなければいけないことは

子どもの年齢、基礎疾患、免疫状態によって感染しやすい病原体や重症度が異なります。また、使うことのできる薬の種類や量も子どもによって異なります。予防接種は、子どもが感染症にかかることを防いだり、重症化を予防したりするために極めて重要です。

小児感染症科医とは

微生物学、抗菌薬、疫学に精通した専門医です

感染症は誰でもかかる病気で、医師には感染症の知識が必須です。ただし、稀な感染症や重篤な感染症にはより深い知識が必要で、特に微生物学、抗菌薬、疫学の専門知識が必要になります。感染症学はこれらの知識を総動員した実学です。

チーム医療の一員です

感染症は、健康な子どもから基礎疾患を抱えるあらゆる診療科の患者まで、多くの方に起こる病気です。感染症科の医師は、感染症の問題を抱える各診療科の患者について、主治医とともに診療を行います。感染症専門医が、研究部門のスタッフや臨床検査部門(細菌検査室など)と協力して、迅速かつ正確に診断し、薬剤部と協力しながら最適な治療を提供しています。

小児の総合医としてエビデンスに基づいた診療を行います

子どもの感染症は患者の背景によって異なるため、子どもの病気全般の幅広い知識が必要です。そのため、小児の感染症科の医師は、前提として、小児科専門医である必要があります。また、感染症について、最新の医学的な知見や根拠に基いた診療を院内外で推進しています。病院全体の感染症診療の向上により、患者を合併症から守ります。また、抗菌薬を適正に使用し、薬剤耐性菌の出現を抑えるように努めています。

微生物の診断技術があります

特殊な病原体の診断方法として、核酸増幅法(PCR検査など)や特殊な培養法があります。感染症科の研究室ではこのような診断法を駆使して診断を行っています。

感染管理との違いは

感染管理は感染症の伝播予防に特化した領域で、感染症の診断と治療を中心とする感染症学とは少し異なります。感染管理には感染症の知識はもちろんのこと、医療現場で行われる手技操作、看護ケア、チーム医療に精通していることが重要で、これは感染防御対策室が中心になって活動を行います。
感染症科の医師は感染対策チームの一員として、感染管理にも積極的に取り組んでいます。


診療内容・業務内容

重症・難治性感染症の診療

感染症科の医師は、重症あるいは難治性の感染症患者の診療を行います。子どもの感染症の多くは風邪のように自然に治るありふれた病気ですが、重症化し入院に至るものや、集中治療を要するものもあります。また、基礎疾患のある患者に起こる特殊な病原体による感染症や、手術等の合併症としての感染症、いまだ治療法がみつかっていない感染症も数多くあります。

原因不明の発熱などで感染症が疑われる患者の診療

繰り返す発熱や咽頭炎、長期に続く発熱、その他の症状から感染症が疑われる患者の診療を行います。症状や診察・検査所見から原因の精査を行います。

予防接種関連の特殊診療

重篤な基礎疾患や免疫不全症のある患者に対する予防接種には特殊な配慮が必要です。予防接種による副反応や有害事象についての診療も行います。

コンサルテーション業務

感染症はあらゆる患者に起こりうる病気です。各専門診療科にかかりつけの患者が感染症にかかった場合、感染症に関する知識と診断技術を持った専門医として相談を受け、主治医とともに診療を行います。

病原体の迅速診断

感染症の患者の検体を用いて、速やかに病原体を特定し治療に結びつけるための迅速診断を行っています。迅速診断の方法には、細菌や真菌を直接染めて顕微鏡で見る古典的な方法から、核酸増幅法(PCR検査など)によって、培養検査では同定できない病原体を検出する方法があります。
また、中枢神経系感染症や呼吸器感染症について、抗菌薬が必要ないウイルス感染症ではないか、最新の技術を用いて迅速診断を実施しています。この迅速診断により、ウイルス感染症の診断と同時に、不必要な抗菌薬の使用を減らすことができます。

抗菌薬(抗生物質)を適切に使うための活動

抗菌薬は、細菌を殺す重要な薬です。近年、抗菌薬の効かない耐性菌と呼ばれる細菌が増えています。薬が効かない細菌の出現は、抗菌薬を乱用することに起因しています。抗菌薬を未来の子どもに残すため、抗菌薬を適切に使う活動を積極的に推進しています。具体的に、病院内の抗菌薬の管理プログラムの中で、病院内で使用されている抗菌薬の種類と特定の抗菌薬の使用制限を行うことにより、病院内の抗菌薬の適正使用を推進しています。

感染管理

感染管理チームの一員として、全ての患者を院内感染から守るための活動を行っています。


専門分野

感染症科は、子どものあらゆる感染症の診療を行っています。

特に関わることが多い病気は、1) 脳髄膜炎(頭の感染症)、肺炎(肺の感染症)、骨髄炎(骨の感染症)、関節炎(関節の感染症)、心内膜炎(心臓の感染症)などの重症な感染症、2) 免疫の弱い子どもにおこる稀な、あるいは重症な感染症、3) 病院の中で起こる感染症、4) 赤ちゃんに起こる感染症などがあり、その診断と治療について、病院内外の医師から相談(コンサルテーション)を受け、診療を行っています。

また、病院内で発生する感染症に対して、感染防御チーム(Infection Control Team)の中心メンバーとして、看護師、薬剤師、細菌検査技師と一緒になり、病院内の感染症の予防とその対策を行っています。

予防接種に関しては、基礎疾患があり、治療の影響などで従来のスケジュール通りに予防接種が実施できていない患者の予防接種計画(キャッチアップスケジュール)の作成や、接種も行っています。また、予防接種に対する正しい知識を広めるための啓発活動も行っています。


診療実績

院内診療相談数推移

以下のグラフに年毎のコンサルテーション件数を示します。2008年にコンサルテーション業務を開始して以降、年々コンサルテーション数は増加しています。コンサルテーションのほか、電話でのコンサルテーションを院内各部門から受け、対応しています。

コンサルテーション数グラフの画像
※画像をクリックすると拡大します

相談の依頼元

病院内のほぼ全ての診療科から多くのコンサルテーションを受けています。
­ 2020 2021 2022
コンサルテーション数 1111 968 994
依頼元 内科系 506 456 398
外科系 290 271 263
産婦人科系 40 31 22
集中治療(PICU・NICU) 275 210 311

受診方法

受診には予約が必要です。予約センターに連絡し、予約してください。予約の変更も予約センターで対応します。初めて受診(初診)する場合は、医療機関(医院、病院)からの紹介状が必要です。
再診の方は、予約センターで予約してください。曜日毎に担当医が決まっているため、担当医の希望があれば、予約時に伝えてください。

感染症外来

退院後も抗菌薬の投与が長期に必要な患者のフォローアップや、原因の分からない発熱(不明熱)の患者の評価などを主に行っています。

セカンドオピニオン外来

他の病院に入院、通院している患者で、感染症に関する質問がある場合、小児感染症専門医のセカンドオピニオンを提供しています。

ワクチンセンター

ワクチンで防げる病気(VPD: Vaccine Preventable Diseases)から子どもを守るための活動を行っています。具体的に、当センターにかかりつけで基礎疾患のある患者のワクチンについての相談や接種を受け付けています。また、ワクチンに関する一般市民、医療者への啓発活動を行っています。

スタッフ紹介

診療部長 医長 医員 フェロー
大宜見 力 庄司 健介
船木 孝則
松井 俊大
山田 全毅(併)
葛西 健人
幾瀬 樹

(併)=併任、(非)=非常勤

医療従事者の方へ

研究

(1) 重症小児感染症の診断と治療

  • 原因不明の小児重症感染症に対するメタゲノミック診断法を用いた病原体診断と迅速診断法の確立

    脳炎、重症肺炎患者などに対して、42種類の病原体に対応したリアルタイムPCRや次世代シーケンサーを用いた解析を実施し、原因不明の小児重症感染症の原因究明を行っています。
  • 治療法が確立していない感染症に関する臨床研究

    一般小児感染症(RSウイルスやヒトパレコウイルス)の最重症例や免疫不全患者におけるアデノウイルス、ヘルペス属ウイルスに対する治療介入、培養困難な病原体の耐性遺伝子検査による治療の最適化に関する研究を実施しています。
  • 重症感染症に対する抗微生物薬の投与設計の最適化に関する研究

    人工心肺治療、腎代替療法などの体外循環を実施している患者や移植後の患者において、抗微生物薬を適切に投与するため、これらの患者における薬物動態/薬力学(PK/PD)パラメーターの検討をしています。

(2) 免疫不全患者への予防接種

小児固形臓器移植後の患児、その他基礎疾患を持つ患者と対照に予防接種の有効性と安全性の検討を行っています。

(3) 国内の小児感染症のエビデンス構築

国内では小児感染症は経験的に治療が行われていることが多く、客観的なエビデンスの構築が遅れています。そのため、海外では診療のエビデンスが構築されているが、国内のエビデンスが少ないものについての検証を重ねています。

(4) 抗菌薬の適正使用の推進と感染管理・感染症診療の質の向上

エビデンスの構築および抗菌薬処方制限と治療介入からなる包括的な抗菌薬管理プログラムを導入しています。その結果、広域抗菌薬使用量の減少とともに、耐性菌の減少が認められました。具体的には14日以上の広域抗菌薬投与の割合が2010年から2014年にかけて37%, 28%, 26%, 15%, 12%と減少、耐性菌検出数は前月の広域抗菌薬使用量と相関することが確認されました。包括的な取組が必要ですが、因子分析による介入の効率化が今後の課題です。
更に全国の小児総合医療協議会加盟施設とともに小児感染管理ネットワークを立ち上げ、複数のプロジェクトを実施しています。

教育

(1) 小児感染症フェローシッププログラム

本プログラムは、米国小児科学会認定小児感染症専門医の指導の元、国内の小児専門医療機関における小児感染症専門医の育成を目的としています。臨床面では、病院内の各科からの年間約800件にのぼるコンサルテーションを中心に研修を行い、また、カンファレンスによる小児感染症の知識習得や、ジャーナルクラブ、ジャーナルスキャンなどによる文献の批判的読み方、最新の知識の習得を学習します。また、病院内の感染対策チームの中心メンバーとして、院内の病院関連サーベイランス、院内感染対策に積極的に関わることで、小児専門医療機関における病院関連感染対策を研修します。研究面では、ウイルス迅速診断の実践、開発、また、移植患者における安全かつ有効なワクチン接種を行うための臨床研究を他の大学、研究機関と一緒に行っています。一方、感染症外来では、当院入院患者のフォローアップや他院からの紹介患者の診療を行い、ワクチンセンターでは、特に基礎疾患を持つ患者へのワクチン接種を積極的に行っています。また、国際学会での学会発表、海外の専門雑誌への投稿を積極的に行い、将来的には、国際的に通用する小児感染症専門医の育成を目的としています。研修期間は2年間です。

(2) レジデント教育

次世代の小児医療を担う若手小児科医に毎月の講義、カンファレンスや、1か月の感染症科ローテーションにおける実践を通して感染症診療の原則や基本的な考え方を教育しています。

受賞

  • 伊藤健太 PAS (Pediatric Academic Societies) 優秀演題
  • 船木孝則 SHEA (Society for Healthcare Epidemiology of America)International Ambassador

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