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小児炎症性腸疾患(IBD)センター

潰瘍性大腸炎・クローン病をはじめとする「IBD」とともに生きる子どもたちの未来のために!

センター長からのあいさつ

潰瘍性大腸炎とクローン病をはじめとするIBDを患う子どもたちの数は、世界規模で増えています。

IBDは慢性疾患であり、長くつきあっていく病気です。2006年に成育医療研究センターに赴任した時に出会った乳児期発症のIBDの患者さんたちは思春期を迎え、小学校高学年だった子どもたちは就職し、成人の消化器内科へ診療を移行しています。 この20年で、IBDの診断と治療は飛躍的に進歩しました。かつては長期入院を要した子どもたちも少なくありませんでしたが、最近はほとんどの検査や治療を外来もしくは短期の入院で行えるようになりました。

特に、新薬の開発をはじめとする治療の進歩、そして病気の状態を評価する検査の進歩はすさまじいものがあります。以前であれば、どの薬を使っても十分な効果が得られず、大腸全摘の手術に至っていたような重症の潰瘍性大腸炎の子どもたちの大腸が、薬物治療できれいになることを多く経験しています。クローン病の治療に伴う食事制限も、以前ほど厳しくする必要がなくなってきました。乳幼児の患者さんに対しても内視鏡検査が安全に行われるようになり、病気の状態の確認が難しく「暗黒大陸」と呼ばれていた小腸も、内視鏡検査(カプセル内視鏡、バルーン小腸内視鏡)で観察が可能となっています。その結果、腸の状態を把握し、薬の効果を確認しながら、より効果的で安全性の高い治療を選択していける時代となりました。

一方で、IBDが長く付き合っていく病気であり、子どもたちが自分の病気を理解して、主体的に治療を続けられるサポートが重要であることに変わりはありません。様々な治療薬による子どもたちへの影響についての理解も必要です。病気に伴う生活の質(QOL)の低下や心理社会的問題への取り組みも、より一層求められています。

また以前から、乳幼児期に発症するIBDの中には、原発性免疫不全症という免疫機能の異常に関連して発症する腸炎が存在することが知られていましたが、その診断への道のりは容易ではありませんでした。そのため、手探りで子どもたち、そしてご家族とともに戦う日々が長くありましたが、近年の遺伝学的検査の進歩や様々な知識の集積によって状況が大きく変わり、IBDの発症に関わる原発性免疫不全症の診断にいたる子どもたちが増えてきています。その中には、骨髄移植等の治療によって病気のコントロール、さらには治癒にまで至った患者さんもいらっしゃいます。

このような医療の進歩の恩恵を、ひとりでも多くのIBDの子どもたちに還元していけるように、この度、小児IBDセンターを設立することになりました。

国内、そして世界の最先端の情報を注視しながら、効果的で安全な、質の高い診療をIBDの子どもたちに届けていけるように、また、子どもたちがIBDという慢性疾患と向き合いながらも、立派な人生を歩んでいけるよう、メンバー一同、尽力してまいります。

"For the future of children with IBD!"

小児炎症性腸疾患センター センター長(消化器科 診療部長)


診療内容・業務内容

「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」をはじめとする、炎症性腸疾患を専門に診療を行っています。

炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease: IBD)

炎症性腸疾患は、腸に慢性の炎症が生じる病気で、近年、日本でも患者数が増加しています。青壮年期の発症が多いとされていますが、乳児期や小児期に発症することもあります。
一般に、炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎とクローン病に分類されます。潰瘍性大腸炎は基本的に大腸の病気で、繰り返す下痢、血便、腹痛を伴うことが多いです。クローン病は、消化管のあらゆる部位に病気が生じる可能性があり、症状が多彩で、下痢、血便、腹痛などの消化器症状に加え、難治性の肛門周囲膿瘍や痔瘻、消化管以外の症状(発熱、関節痛、貧血体重減少・成長障害など)をきっかけに、気づかれることがあります。
炎症性腸疾患の診断は、症状や診察所見、血液検査データ、上部・下部消化管内視鏡検査、生検粘膜の病理組織検査に加え、必要に応じて、小腸カプセル内視鏡検査や小腸造影・MRI等の画像検査を行い、総合的に診断します。
治療は、原則として、本邦の治療指針や欧米のコンセンサスに基づき、グローバル・スタンダードに則った治療を目指しており、個々の患者の症状・重症度・年齢等に応じて、最適な治療を行うことができるよう、努力しています。
また、栄養障害、成長障害、学校生活への影響など、心理的・社会的側面からのサポートが必要なことも多く、看護師や薬剤師、管理栄養士、臨床心理士と連携し、チーム医療を行っています。

クローン病

炎症性腸疾患(IBD)に分類されるクローン病は、持続する炎症が消化管に生じる病気で、粘膜に潰瘍やびらん(ただれ)ができてしまいます。発症すると、腹痛や下痢、血便、体重減少などの症状が現れ、良くなったり悪くなったりを繰り返します。原因不明の発熱や成長障害などの症状で気付かれることもあります。炎症は、腸だけでなく、口から肛門まで広範囲の消化管に生じ、炎症が強い場所によって現れる症状が異なります。治療が不十分で、病気が進行すると、腸が狭くなったり(狭窄)、腸に穴があいたり(穿孔)するなど重篤な状態になることがあります。発症する患者さんの数は年々増加しており、乳幼児期を含む小児期に発症することも珍しくありません。小児期発症のクローン病であっても、成人患者さんと同様の検査や治療を行うことになりますが、小児特有の留意点も少なくなく、特に成長期までの小児患者さんでは、小児IBD診療に精通した施設での診療が望まれます。

潰瘍性大腸炎

炎症性腸疾患(IBD)に分類される潰瘍性大腸炎は、持続する炎症が大腸に生じる病気で、大腸の粘膜に潰瘍やびらん(ただれ)ができてしまいます。腹痛や下痢、血便、体重減少などの症状が現われ、一度、発症してしまうと、良くなったり悪くなったりを繰り返します。最初、炎症は直腸に起こることが多いのですが、次第に広がり、特に小児患者では、大半で大腸全体に炎症が広がることが知られています。治療が不十分で病気が進行すると、大量に出血したり、腸管が破れるなど、重篤な状態になることがあります。発症する患者さんの数は年々増加しており、乳幼児期を含む小児期に発症することも珍しくありません。小児期発症のクローン病であっても、成人患者さんと同様の検査や治療を行うことになりますが、小児特有の留意点も少なくなく、特に成長期までの小児患者さんでは、小児IBD診療に精通した施設での診療が望まれます。

治験・研究

IBDセンターでは、炎症性腸疾患をはじめとする消化器・栄養疾患に対して有効な治療や診断法、患者さんの生活の質の向上等を目指し、様々な研究を行っています。


診療実績

IBDセンター診療実績のグラフ

受診方法

受診には予約が必要です。予約センターに連絡し、予約してください。予約の変更も予約センターで対応します。初めて受診(初診)する場合は、医療機関(医院、病院)からの紹介状が必要です。
再診の方は、予約センターで予約してください。曜日毎に担当医が決まっているため、担当医の希望があれば、予約時に伝えてください。

  • 外来診療担当表は、こちらをご覧ください。
  • 受診方法については、こちらをご覧ください。

スタッフ紹介

診療部長 医員 フェロー レジデント
新井 勝大 清水 泰岳
竹内 一朗
佐藤 琢郎
宇佐美 雅章
伊藤 夏希

(併)=併任、(非)=非常勤


医療従事者の方へ

見学・研修について

他施設からの見学・研修のご相談は随時受け付けています。ご希望される方は新井センター長までご連絡ください。

国立成育医療研究センター(代表)

03-3416-0181

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時

医療連携・患者支援センター

当センターへのご紹介は、原則、医療連携・患者支援センターを通じてご連絡ください。緊急の対応が必要な場合は、当センターのスタッフもしくはオンコール医師に直接ご連絡ください。

医療連携室(直通)

03-5494-5486

月~金曜日(祝祭日を除く)8時30分〜16時30分

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