代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

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小児てんかんセンター

センター長からのあいさつ

阿部センター長

小児てんかんセンターは、小児てんかんに苦しむお子さんとその家族のために、専門的で包括的な医療サービスを提供することを目指しています。
設立理念は、患者さん本位の医療、地域社会への深い貢献、そしてこれからのてんかん診療を担う若いスタッフへの教育と研究の推進です。小児てんかんでも特に難治性の場合は、患者さんだけでなくその家族にも大きな影響を及ぼします。それため私たちは、ただ症状を治療するだけではなく、患者さんとその家族が日常生活をより充実したものにできるようなサポートしたいと考えています。
小児てんかんセンターは、神経内科、脳神経外科を中心に関連各科と連携の上で、これまで行ってきた当センターでのてんかん診療のスキームを明確化しあらためてそれを共有することで、個々の患者さんに最適な治療プランを提供することを第一の目標に掲げています。
また、近隣地域医療機関だけでなく日本各地の医療機関との連携協力を深め、小児てんかん診療における各医療機関との連携の重要性を広く啓発していきます。
最後になりますが、このセンターは皆さまとともに歩むものであり、地域社会との連携を大切にし、皆様のご意見やご期待に応えるために全力を尽くしてまいります。ご支援とご協力をお願い申し上げます。



小児てんかんセンター センター長(神経内科 診療部長)
阿部裕一

診療内容・業務内容

小児てんかんセンターは、神経内科や脳神経外科をはじめとした、てんかん診療に関連した9つの診療科・部門によって構成されています。診療部門では急性期、慢性期でそれぞれ専門性を発揮する診療科との連携を図ります。また検査診断部門との連携では、疾患の進行に応じた適切な検査により、てんかんの原因の特定に努めます。

てんかん発作の様子は、いわゆる全身をガクガクさせる全身けいれん発作以外にも、意識を失って反応がないなどさまざまな発作があることが分かっています。てんかん発作が疑われる症状と判断された場合には、初診外来で「てんかんの診断」を行っていきます。

問診について

てんかん診療では、問診が非常に重要です。「てんかん発作」を繰り返すことが確認されれば、てんかんの診断となり得るので、問診ではてんかん発作の様子を詳細に伺うことから始めます。
また初めて発作があり、てんかんの疑いとして初診外来を受診された場合、問診に加えてスマートフォン動画を参考に発作の様子や経過を詳細に確認し、心配されている症状がてんかんであるのかどうかについて診断します。

【発作症状】下記の項目など、症状を詳細に問診します。
  • 手足を伸ばしている/曲げている
  • 左右差の有無、動きの有無
  • 力が入っているか抜けているか
  • からだの動きがあるかどうか
  • 眼球はどちらみているか(上下左右)
  • 嘔吐を伴う

てんかんの診察と治療

てんかんの診療は、発症初期から診断までと慢性期の両方に渡り、発作が起こった時の対応が必要な場合もあります。
治療では、抗てんかん薬の内服の他に、ACTH療法(ホルモン注射)、ステロイド(大量)療法、てんかん外科治療(焦点切除、半球離断、脳梁離断、迷走神経刺激装置)、脂質が多く糖質が少ない食事をするケトン食療法などがあります。
ここでは、それぞれにおけるてんかんの診療について説明します。

外来診察(初診)

初診では患者さんの病歴を詳しく聞き、身体検査や必要に応じて後日検査(例: 脳波検査)を予約し、今後の診療の計画を立てます。

外来診療(2回目以降)

多くのてんかん患者は、てんかんの診断後に抗てんかん薬の内服を開始します。定期的なフォローアップのための診察を受けるとともに、抗てんかん薬の処方による治療経過をみながら、定期的に脳波検査や血液検査を行います。血液検査では薬の血中濃度や副作用の観察が行われ、必要に応じて抗てんかん薬の投与量を調整していきます。

発作時のてんかんの診療(救急搬送)

けいれん発作で救急外来を受診、もしくは救急搬送された時にまだ発作がおさまっていない場合には、抗けいれん薬の注射や口の粘膜への投与を行います。また、発作が落ち着いているように見えても脳内の発作がおさまっていないこともあるため、脳波モニタリングで、発作の評価が必要になる場合もあります。
初めての発作で受診・搬送され、後日当院での診察が必要と判断された場合、救急外来診察終了時に総合診療部外来の予約をします。また予約された総合診療部の外来では実際に脳波などの検査を行ってく必要があるかなどを検討して、必要な場合は検査の予定を後日に組みます。その結果、神経内科での診療が必要と判断された場合は、神経内科初診外来を予約して後日受診します。


【救急受診の目安】
・5分以上発作が止まらない
・短時間のうちに何度も発作を繰り返す
・いつもの発作と様子が違う  など

※あらかじめ主治医の先生とどのような状態の場合に救急外来を受診するのか、救急車を呼ぶのか、自宅で臨時の薬剤(座薬や口腔粘膜投与薬)を投与するのかなどについて相談しておきましょう。発作が続いている場合の救急搬送先は必ずしもかかりつけ医である必要はありません。緊急処置を行うことの出来る一番近い病院(東京都の場合は救急救命センターのある病院)に搬送され、出来るだけ早く発作を止めてもらうことが大切です。

<発作後自宅安静で経過観察が可能な場合>
・既にてんかんの診断がされていて、これまでの発作と同じ症状である
・短時間で自然にてんかんが止まる
・全身状態に問題がない

入院について

入院にはてんかん評価目的の入院(検査入院)と、発作後の経過観察や薬剤調整など治療目的の入院があります。

検査入院

長時間脳波ビデオ同時記録で症状と脳波を確認したり、脳波や脳血流シンチ(SPECT)の検査でてんかんの活動性や脳のどこでてんかんが起きているのか、起きている症状がてんかん発作であるかどうかを調べます。またMRI/CTといった画像検査を行ったり、その他原疾患の診断が必要な場合には、遺伝学的な検査を含む血液検査や髄液検査などを行います。

治療目的の入院

抗てんかん薬の大幅な変更調整、ACTH療法(ホルモン注射)やステロイド大量療法、脂質が多く糖質が少ない食事をするケトン食療法といった特殊なてんかん治療について、入院で治療を行います。治療目的の入院は薬剤投与スケジュールとしてある程度の日数を必要とするため数週~月単位の期間が必要となる場合もあります。また治療変更前と変更中、変更後など適宜長時間脳波ビデオ同時記録によって、治療効果判定を行います。

検査について

てんかんの診断や原因の精査のためには、脳波、脳MRIといった検査をおこなうことが一般的です。

脳波検査(外来脳波検査)

外来で行う、短時間の脳波検査です。発作時の様子を補足することは難しいですが、発作を起こしていない時の脳波から、てんかんのタイプを推測することが可能です。
脳波検査では、目を閉じて安静にしている時や、眠っている時の検査が必要になります。安静が保てない場合や、眠ることが難しい場合などは、睡眠導入剤を服用した上で行う「鎮静脳波検査」が必要になります。外来での鎮静が難しい場合には入院して検査を行います。

長時間脳波ビデオ同時記録(入院検査)

主にてんかんのタイプなどの詳細な診断のため、昼も夜も長時間に渡って、脳波とビデオ録画を行います。
発作の様子がてんかんかどうかの判断が難しい場合など、入院の上検査を行って、実際に発作を起こしているときの脳波を解析したり、わかりにくい発作を脳波で検討したりします。

脳MRI検査、CT検査(外来/入院検査)

MRIは、磁気によって脳を画像化する検査で、脳にてんかんを起こすような病変があるかどうかを診ます。てんかんの原因となるような脳病変がある場合は、外科的に病変を切除するなどのてんかん外科治療を検討します。

脳血流シンチ:SPECT(外来/入院検査)

脳内の血流の様子を、専用のカメラで撮影する検査です。脳のどの部分でてんかんが起こっているのかを見るための検査で、てんかん発作を起こしたときに検査薬を注射して、脳の領域を画像的に解析します。

血液検査

一般的な採血検査で、けいれん発作の原因となるような問題が無いかを調べます。症状や診断されたてんかんによっては、代謝異常や遺伝学的な検査をおこなう場合があります。また治療開始後には、抗てんかん薬の血液中の濃度を確認したり、副作用のチェックを目的に定期的に血液検査を行います。

髄液検査

背骨の間に針を刺して髄液を採取し、髄液の中の細胞や蛋白質などを調べる検査です。発熱を伴って急に発症するてんかんを繰り返す場合や意識障害が長引く場合、てんかん診断の前に感染症などにかかっているかどうかを調べる場合、特殊な代謝疾患に合併しているてんかんの場合などに行います。

発達検査・心理検査

運動発達の程度や知的な問題、言語・認知面などについての評価を行います。

診療チーム

小児てんかんセンターでは、神経内科が中心となっててんかん診療を行っています。中心メンバーの他にも、各診療科の医師、技師が対応します。

神経内科:阿部裕一(小児てんかんセンター長)*、早川格*
脳神経外科:荻原英樹
総合診療科:永井 章
救急診療科:植松悟子
集中治療科:松本正太朗
放射線診断科:堤 義之
こころの診療科:岡 牧郎*
遺伝診療センター:小﨑里華
臨床検査部臨床生理検査技師:椚 好陽、安井一浩
(*:てんかん学会認定てんかん専門医)

神経内科
総合的にてんかん診療を担当する診療科です。
脳神経外科
てんかん外科を担当する診療科です。
総合診療科
無熱性けいれん精査、てんかん診療や内科的合併症の治療を行います。
こころの診療科
てんかん患者さんのこころの問題、発達に関する診療を行います。
救急診療科
てんかん発作で搬送された際に、初期対応を行う診療科です。
集中治療科・PICU
てんかんが続いたり、繰り返したりする場合などに全身管理を行う診療科です。
放射線診療部・放射線診断科
てんかんの原因として脳の画像診断を行う診療科です。
遺伝診療科
てんかんの原因調べる上で遺伝学的な検査が必要な場合に助言します。
臨床検査部
てんかん評価で行う脳波検査を実施する部門です。

対象疾患

受診方法

小児てんかんセンターでのてんかん診療は、神経内科、救急外来、総合診療科が診療の窓口となっています。

神経内科への紹介状のある方

受診には予約が必要です。予約センターに連絡し、神経内科初診枠を予約してください(予約の際には「小児てんかんセンター初診」とおっしゃってください。神経内科初診は月曜、木曜、金曜)。 またかかりつけの先生によって緊急性があると判断されている場合には、医療機関から直接、医療連携室(TEL:03-5494-5486)までご連絡ください(患者様からの希望による緊急受付はおこなっていません)。

救急外来を受診された場合

無熱性けいれんで救急外来を受診され、後日当院での診察が必要と判断された場合、救急外来診察終了時に総合診療部外来の予約をします。

予約センター

03-5494-7300

月~金曜日(祝祭日を除く)9時~17時

診療実績

2020 2021 2022
てんかん入院数 108 97 86
てんかん外科手術件数(腫瘍関連てんかん除く) 4 10 4
脳波(EEG)件数 839 866 944
VTR―EEG同時記録 159 157 134

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