子宮内膜ポリープは不妊に影響する?―妊娠を希望する方のための子宮鏡下手術
Q. 子宮内膜ポリープは不妊に影響しますか?
A. 不妊に影響する場合があります。
子宮内膜ポリープがある方が、必ず不妊になるわけではありません。一方で、ポリープの大きさや場所などによっては、妊娠しにくくなることがあります。
子宮内膜ポリープとは
子宮内膜ポリープは子宮内膜にできる病変で、その多くは良性です。場所や大きさによっては、着床などに影響し、不妊の原因になることがあります。不正性器出血を引き起こすことがありますが、無症状の方もいます。産婦人科の診察では経腟超音波検査や子宮鏡検査で病変を確認します。自然に病変がなくなる人もいますが、取り除く必要がある場合は子宮鏡下手術で摘出します。また、稀に摘出したポリープが悪性と診断される場合もあります。
頻度
子宮内膜ポリープは珍しいものではなく、婦人科診療や不妊治療でしばしば見つかります。
研究対象の背景が異なるため、報告されている頻度には幅がありますが、発症の頻度については以下の報告があります。
- 超音波検査で問題のなかった、無症状の体外受精治療前の不妊女性(42歳以下)の6.0% (678人中41人)(Fatemi et al., 2010).
- 体外受精治療前の女性(42歳以下)の32.3%(1000人中323人)(Hinckley et al., 2004)
- 無症状の未閉経女性(45-50歳)の12.1%(257人中31人) (Lieng et al., 2009)
症状
無症状であることが少なくありませんが、主な症状として、月経周期に関係なく出血する不正性器出血や、月経の量が通常よりも多くなる過多月経、受精卵の着床が妨げられる場合は不妊(着床障害)になる可能性があります。
検査
産婦人科で経腟超音波検査や、子宮鏡検査を行います。
超音波での子宮内膜の見え方は、月経周期によって大きく変化します。このため、超音波検査では子宮内膜ポリープが確認しやすい時期と、確認しにくい時期があります。
当センター不妊診療科では、超音波検査、症状、臨床経過から必要に応じて子宮鏡検査を行っています。
経過
子宮内膜ポリープは見つかったら必ず手術する、というわけではありません。自然に消失することもあります。症状、大きさ、妊娠希望の有無、経過、患者さんの希望などを考慮して手術を行います。
特に、大きさが10mm未満のもの、ホルモン剤使用(中用量ピル、プロゲスチン製剤など)の場合が自然消失しやすいです。
- 12か月間観察した研究では27.0%が自然消退し、大きさが10mm未満のものはより消退しやすかった。(Lieng et al., 2009)
- 2-3か月間観察した研究では、6.6%(424人中28人)が縮小し、大きさが10mm未満のもの、ホルモン剤使用(中用量ピル、プロゲスチン製剤など)が自然消失しやすかった。(Okamura et al., 2021)
治療
治療方法は、子宮鏡下手術が行われます。
レゼクトスコープ(電気的切除)を用いる方法と、組織切除回収システムを用いる方法があります。
妊娠を希望される方は、正常子宮内膜への影響をできるだけ少なくすることが大切です。組織切除回収システムによる子宮鏡手術は、熱凝固を用いず、機械的に病変を切除・回収するため、電気的切除に伴う熱による周囲の正常子宮内膜への損傷を減らすことが期待できます。
(Ren et al., 2022)(Timmerman et al., 2025)(Franchini et al., 2021)
子宮内膜ポリープと妊娠
子宮内膜ポリープの大きさや位置によっては、着床などに影響し、妊娠しにくくなる原因になります。なお、子宮内膜ポリープがある人すべてが妊娠しにくくなるわけではありません。また、子宮内膜ポリープを取り除いても、妊娠しやすさが改善しない場合もあります。
(Howells et al., 2026)(Bougie et al., 2024)
妊娠を希望されている患者さんでは、ポリープ病変を取り除くだけでなく、正常子宮内膜への影響もより考慮する必要があります。
受診について
当センター不妊診療科ではレゼクトスコープ(電気的切除)による子宮鏡下手術に加え、熱凝固を用いない組織切除回収システムによる子宮鏡下手術も行っています。
子宮内膜ポリープがあると言われた方、妊娠を希望していて手術が必要か迷っている方、子宮鏡下手術について相談したい方は、不妊診療科初診をご予約のうえ、ご相談ください。
受診方法については、こちらをご覧ください。
(参考文献)
Bougie O, et al. J Obstet Gynaecol Can. 2024;46(3):102402.
Fatemi HM, et al. Hum Reprod. 2010;25:1959-1965.
Franchini M, et al. Facts Views Vis Obgyn. 2021;13:193-201.
Hinckley MD, Milki AA. JSLS. 2004;8(2):103-7.
Howells P, et al. Hum Fertil (Camb). 2026;29(1):2633925.
Lieng M, et al. J Minim Invasive Gynecol. 2009;16:465-471.
Okamura A, et al. J Med Case Reports. 2021;15:384.
Ren F, et al. Med Sci Monit. 2022;28:e936771.
Timmerman S, et al. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol. 2025;307:197-202.



