代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
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不妊診療科


お知らせ

基本情報

妊娠のしやすさと、子どもを得られる割合
不妊症は、カップル全体の5.5組に1組存在するといわれています。原因は、女性側にあるもの、男性側にあるもの、複数存在するものなど多岐にわたります。妊孕能(妊娠する能力)は年齢を重ねるごとに低下し、それと同時に様々な病気にかかる確率が高くなってきます。そのような状況の中で、ある年齢で子どもを望んだ時、その後子どもを得られない割合を示したグラフがあります。その割合は、年齢とともに増加して40~44歳では、64%もの方々が望んでも子どもを得られないと報告されていますが、子どもを希望し、避妊しないで夫婦生活を続けると1年間で約80%のカップルが妊娠します。「不妊症」とは、1年間避妊をしない夫婦生活を続けても妊娠しない状態のことを言います。
不妊診療科は、一般不妊症(タイミング療法、人工受精)、男性不妊症(軽度)、生殖補助医療(体外受精、顕微授精など)が専門の診療科です。当センターでは、子どもを望む患者さん一人一人の置かれた身体的・社会的状況を伺う問診から始め、その患者さんの状態に最適と考えられる治療法を選んでいます。子どもを望んで来院した患者さんに、「1日でも早く赤ちゃんをその手に抱いていただきたい」という願いを持ち、スタッフ一同、日々の診療に当たっています。

当センターの特徴

① 様々な診療科でのサポート

不妊症は全身疾患の一つの症状という可能性も考え、内科的な合併症などもフォローできるように「母性内科」と連携して診療を行っています。これは、妊娠成立後の母体に対する負担も考え、安心して妊娠・出産を迎えられるよう、健康状態を整えながら不妊治療を行うためです。また、精神的なストレスに関しても「こころの診療部」と連携を図っています。
妊娠が成立した場合は、当センターの産科で出産することができます。ハイリスク管理が必要となる場合は、専門外来で対応します。当センターは、母体・胎児集中治療管理室(MF-ICU)、新生児集中治療室(NICU)を備え、「総合周産期母子医療センター」に認定されており、出産後のお母さんと赤ちゃんをサポートします。

②タイムラプスインキュベーター(胚培養器)の導入

培養中の胚を、一定期間ごとに撮影し、胚の発育をモニタリンクしてくれる培養器です。当センターでは全ての患者さんの胚の培養に使用し、生存性が高い胚を子宮に戻すことができます。(タイムラプスインキュベーターの詳細はこちら

③質の高い精子の選別

化学物質や遠心分離機を使用せずに、精子を回収できる機器を使っています。精子を物理的に損傷するのを防げるため、質の高い精子を回収できます。(スパームセパレーターの詳細はこちら

④PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)

妊娠しづらい方や、流産を繰り返す方の原因の1つに、受精卵の染色体の数が合わないことが挙げられています。PGT-Aは、体外受精させた受精卵から細胞を取り出し、染色体の数に異常があるかどうかを調べる検査です。現在は日本産科婦人科学会を主体とした研究を行っており、当センターも参加しています。(PGT-Aの詳細はこちら

診療内容・業務内容

【一般不妊】

①検査

月経周期全般にかけて、様々な検査を行います。患者さんの状態を把握するために、これまでの妊娠に向けた状況を詳細に伺い、その上で来院時点での不妊の状況を確実に調べるスクリーニング検査を行います。ホルモン検査は、基礎体温の低温期に一度、高温期に一度行います。また、低温期に子宮卵管造影検査も行います。卵胞の発育や子宮内膜の発育における検査で異常が見られる場合は、腹腔鏡検査や子宮鏡検査を追加します。
スクリーニング検査

②治療

不妊の原因が判明した方には、それぞれに合わせた治療に入ります。原因不明の方には、一般不妊治療として、タイミング法(自然周期または排卵誘発周期)、人工授精(自然周期または排卵誘発周期)を行います。数周期ずつ行い妊娠が成立しないときは生殖補助医療を検討していきます。不妊原因として、排卵障害を認める場合や、軽度の乏精子症・精子無力症に対しては、それぞれ排卵誘発剤(内服・注射)の投与や、排卵時期に合わせて人工授精から開始します。
治療方針

【生殖補助医療】

体外受精

体外受精とは、体外に取り出した卵子と、精子を一緒にして受精させる治療法です。スクリーニング検査で判明した、卵巣予備能(卵巣に残っている卵子数)や患者さんの背景を十分に把握し、排卵誘発法などを検討して最も良いと考える状態で治療に臨みます。当科では、スプレキュアと呼ばれる点鼻薬を用いた刺激方法(ウルトラロング法、ロング法、ショート法)、セトロタイドと呼ばれる注射を用いたアンタゴニスト法、クロミッドを用いた刺激方法(クロミッド/クロミッド-HMG法)、自然周期での採卵を行っています。

顕微授精

顕微授精は、卵子に精子を直接注入する治療法です。精子の数が少ない、運動率が低いなどの場合、また過去の体外受精において受精に問題が疑われる場合には、顕微授精を行っています。これまで精子に問題がない場合でも、採卵日当日の精子の状態が悪い場合は、顕微授精を行うことがあります。

胚の凍結

一度に多くの受精卵が得られた場合は、胚移植後に残りの受精卵を凍結・保存します。凍結した受精卵は、次の周期以降に自然周期またはホルモン補充周期で、胚を解凍し移植を行います。 また、胚移植を行う際に、患者さんの体調などが胚移植に適さない場合には、すべての胚を凍結します。

【手術療法】

腹腔鏡下手術

腹空鏡下手術は、お腹を数センチ程度切開し、そこから腹腔鏡を挿入して行うものです。不妊症の診断・治療方針決定・治療のため、また子宮筋腫、卵巣嚢腫、チョコレート嚢腫、骨盤内癒着などでも行います。

子宮鏡下手術・卵管鏡下手術

子宮鏡という、子宮専用の内視鏡を使って行う手術のことです。子宮の入り口から挿入するため、体に傷は残りません。子宮の中に発生した小さな筋腫やポリープが着床障害をもたらすと考えられた場合は、子宮鏡下手術で切除します。

【カウンセリング】

不妊症はこころのストレスが多いと言われています、必要と判断されればこころの診療部医師にカウンセリングをお願いしています。当院で体外受精・顕微授精を受ける方には、治療開始前にご夫婦で不妊カウンセリングを受けていただきます。

専門分野

  • 一般不妊治療(タイミング療法、人工受精)
  • 生殖補助医療(体外受精、顕微授精など)
  • 手術療法(腹腔鏡下手術、子宮鏡下手術など)


【今後の生殖補助医療の発展にむけた研究への参加】
  • 卵子の付属物である、顆粒膜細胞、卵胞液を用いた研究
  • 日本の生殖補助医療の現状分析の研究
  • 精液検査の値と生活習慣の研究
  • 子宮内膜の再生医療医に関する研究


診療実績

­ 2020 2021 2022
外来初診患者数 271 334 287
平均年齢 37.1 38.1 37.1
腹腔鏡下手術(筋腫核出、子宮内膜症卵巣のう腫核出など) 3 3 1
子宮鏡下手術 3 2 7
子宮内容除去術 9 8 12
開腹手術 0 0 0
採卵件数 114 120 141
融解胚移植数 184 202 187
配偶者間人工授精 191 263 239

受診方法

受診には予約が必要です。予約センターに連絡し、予約してください。予約の変更も予約センターで対応します。

初診

初めて受診(初診)する場合は、医療機関(医院、病院)からの紹介状が無くても受診できます。医療機関(医院、病院)からの紹介状がある場合は受診の際に提出してください。

再診

再診の方は、予約センターで予約してください。担当医が決まっているため、予約日時に伝えてください。土日祝日も午前中、再診の方を予約し診療しています。

スタッフ紹介

診療部長 医員 フェロー
齊藤 隆和 辰巳 嵩征 兼子 恵理香
大岩 加穂子

(併)=併任、(非)=非常勤

医療従事者の方へ

当科で行われている研究を紹介します。

(1)日本における生殖補助医療の現状分析の研究

  1. Ishihara O, Kuwahara A, Saito H. Frozen-thawed blastocyst transfer reduces ectopic pregnancy risk: an analysis of single embryo transfer cycles in Japan. Fertil Steril 2011; 95: 1966-1969
  2. Nakashima A, Araki R, Tani H, Ishihara O, Kuwahara A, Irahara M, Yoshimura Y, Kuramoto T, Saito H, Nakaza A, Sakumoto T. Implications of assisted reproductive technologies on term singleton birth weight: an analysis of 25,777 children in the national assisted reproduction registry of Japan. Fertil Steril 2013;99:450-455
  3. Ishihara O, Araki R, Kuwahara A, Itakura A, Saito H, Adamson GD、Impact of frozen-thawed single-blastocyst transfer on maternal and neonatal outcome: an analysis of 277,042 single-embryo transfer cycles from 2008 to 2010 in Japan. Fertil Steril 2014 ; 101, 128-33
  4. Takeshima K, Saito H, Nakaza A, Kuwahara A, Ishihara O, Irahara M, Hirahara H, Yoshimura Y, Sakumoto T. Efficacy, safety, and trends in assisted reproductive technology in Japan-analysis of four-year data from the national registry system.  Assist Reprod Genet.  2014;31:477-84
  5. Nakasuji T, Saito H, Araki R, Nakaza A, Kuwahara A, Ishihara O, Irahara M, Kubota T, Yoshimura Y, Sakumoto T.","Validity for assisted hatching on pregnancy rate in assisted reproductive technology: analysis based on results of Japan Assisted Reproductive Technology Registry System 2010. J Obstet Gynaecol Res. 2014; 40: 1953-1660
  6. Nakasuji T, Saito H, Araki R, Nakaza A, Nakashima A, Kuwahara A, Ishihara O, Irahara M, Kubota T, Yoshimura Y, Sakumoto TThe incidence of monozygotic twinning in assisted reproductive technology: Analysis based on results from the 2010 Japanese ART national registry. J Assist Reprod Genet. 31(7)、803-807,2014

(2) 次世代シークエンサーを用いた卵胞に発現する遺伝子解析

体外受精の際に採取された卵子の付属物である、顆粒膜細胞、卵胞液などにはその卵子の状態を知る手がかりとなる情報が多く含まれています。
当院では、採卵の際に採取された卵胞液中の顆粒膜細胞を、次世代シークエンサーを用いて解析することで、卵胞発育に必要な遺伝子の解明のための研究を行っています。


研修プログラムについて

母性診療部(母性内科部門、不妊診療科部門)フェロー研修プログラムについて、詳しくはこちらをご確認ください。

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