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小切開手術

先天性心疾患の手術の目的は、心臓の機能を最適に発揮できるよう心臓や血管の形態を直すことです。しかし、その代償として手術後の創の痛みや創痕による美容上の問題が生じます。これらの問題を最小限に抑えるために、小さな創で手術を行うことを小切開手術と呼びます。
複雑な手術や微調整を要する手術では、心臓や血管を直した仕上がり具合が生命を左右しますので、創を小さくすることで外科医の手術操作がやりにくくなっては、患者さんの命にかかわる可能性があります。のど元からみぞおちまで皮膚を切開し、その下にある胸骨を全長にわたって縦に切り開き、心臓や大血管全体を見えるようにして手術をする必要があり、小切開手術を行うことは望ましくないと考えます。一方、手術内容が比較的簡単で、通常の操作で一定の仕上がりが得られ、危険性の低い手術では、小さな皮膚切開で手術をしても、手術の仕上がりにあまり悪影響ないと考えられます。このような場合には創の痛みや美容上の問題に配慮して手術を行うことが望ましいと思います。
心房中隔欠損症は、心房中隔に開いた穴を直接縫い閉じるか、医療用のあて布を当てて縫い閉じることで手術の目的を達することが出来ます。穴の近くに弁や重要な血管がないので、縫う操作で重要な組織を損傷する危険はわずかです。心房中隔欠損閉鎖を小さな皮膚切開で行ってもほぼ安全性を損なわず、創の痛みや美容を考慮すれば小切開での手術は望ましい方法だと考えています。心房中隔欠損症の閉鎖手術は、2.5-3.5cmのごく小さな皮膚切開で行うことが出来ます。胸骨は部分的に切るだけですので、痛みは軽く、術後3-4日で退院が可能です。美容上の観点から、襟ぐりの大きなシャツを着ても創が見えないよう、乳首を結んだ線より上に創が出ないようにしています。ただし、めったにないことですが手術中に切開を大きくしたほうが安全と判断した場合には、躊躇なく切開を大きくする方針です。
心房中隔欠損症の手術よりやや技術的に困難な心室中隔欠損症の閉鎖手術では、三尖弁閉鎖不全(欠損孔の近くにある弁がひきつれてきちんと閉まらなくなること)、房室ブロック(欠損孔の近くにある特殊な心筋が傷ついて脈が遅くなること)、遺残欠損(欠損孔を閉じた後に漏れが残ること)などの危険性があるので、充分な視野の下に手術をすることが必要です。しかし美容に配慮することも可能ですので、乳首を結んだ線より少し上に出る皮膚切開で、胸骨は全長にわたって切開して手術を行っています。
動脈管開存症の手術では、内視鏡手術で創を小さくすることが可能です。創は3mm程度の小さな創が2-3箇所と、2cm程度の創が1箇所できます。開胸手術では体格が大きい場合には大きな創が必要ですが、内視鏡手術では体格が大きい場合でも創の大きさはほとんど変わらないので、特に年長児では美容や痛みの面で有利です。しかし、未熟児や新生児で動脈管開存により命にかかわる循環不全を起こしている場合には、手術時間が短くてすむ開胸手術が望ましい方法と考えています。
小切開手術や内視鏡手術が望ましい方法か、従来の手術法が望ましい方法かは、個々の患者さんごとに決めるべき判断で、一律には決められないと考えています。個々の患者さんの望ましい治療法については担当の循環器内科医や心臓外科医とご相談ください。

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