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ライソゾーム病センターについて
基本情報
ライソゾーム病センターでは、先天性の代謝異常症のひとつであるライソソーム病の包括的診療を行っています。対象はゴーシェ病、ムコ多糖症、ファブリ病、ポンぺ病、ニーマンピック病C型などのライソゾーム病で、これらの疾患の診療経験の豊富な専門医が遺伝カウンセラー、遺伝看護師などのメディカルスタッフと共に対応します。またライソゾーム病の治療だけでなく、診断や遺伝に関する相談やカウンセリングも行います。ライソゾーム病とはどのような病気ですか?
ライソゾームは細胞の中で不要になった脂質や糖質を分解する働きを持った細胞内小器官のひとつです。分解するためには「酵素」と呼ばれるたんぱく質が必要です。ライソゾームの中には多くの酵素があり、それぞれ違う物質を分解しています。ライソゾーム病では、この酵素のひとつが生まれつき欠けていることから、分解されない老廃物が細胞内に徐々に蓄積し、その結果、組織や臓器に異常が生じて病気になります。ライソゾーム病の中にはゴーシェ病、ムコ多糖症、ファブリ病、ポンペ病、ムコリピドーシスなど50種類以上の様々な病気があります。どのような症状がありますか?
ライソゾーム病の症状は多彩で、症状はそれぞれの病気によって違います。例えば、ムコ多糖症では中耳炎を繰り返す、耳の聞こえが悪い、体の関節が固く動きが悪い、骨の変形があり姿勢がおかしい、運動や言葉の発達が遅い、今までできたことができなくなった等の症状が見られ、年齢とともに老廃物の蓄積が進むため、病気も進行していきます。また心不全、腎不全、呼吸不全、中枢神経症状が主となるライソゾーム病などもあります。どのような治療法がありますか?
ライソゾーム病の治療法で主流になっているのが「酵素補充療法」です。これは生まれつき欠けている酵素を治療薬として、定期的に血管や脳内に入れて補充する治療法です。現在、我が国で酵素補充療法を行うことができる疾患は、ゴーシェ病、ファブリ病、ポンペ病、ムコ多糖症I型、II型、IVA型、VI型、VII型、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症、酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症、神経セロイドリポフスチン2型、低ホスファターゼ症です。酵素補充療法は、安全性の高い治療ですが、アレルギー反応などの副作用に注意が必要です。また長期間にわたって治療効果を評価していくため、診療経験の蓄積が重要です。酵素補充療法は、毎週あるいは隔週で通院し、1-4時間の点滴を継続して行わなければならないため、患者さんやご家族の負担は少なくありません。当センターでは、ライソゾーム病の酵素補充療法の実施に対応する専用の部屋を用意して治療を行います。ライソゾーム病は長期間に渡る全身の病気ですので、神経内科、耳鼻咽喉科、整形外科、眼科、移植・細胞治療科など関係する診療科と連携し、酵素補充療法以外の適切な治療(造血幹細胞移植、外科的手術、対症療法など)も行います。さらにライソゾーム病の治療における治療効果の改善や負担軽減にために、治験や新しい治療の研究にも力を入れています。診療内容・業務内容
ライソゾーム病の診断は、「どんな老廃物が体にたまっているか」や「どのようなライソゾーム酵素がなくなっているのか」「どの遺伝子に原因があるか」などを血液や尿を使って、酵素活性測定、遺伝子検査などにより診断します。当センターでは、ライソゾーム病をろ紙血検体を使って、病気を早く見つけるための研究も行っております。全国のライソゾーム病専門施設や検査センターと連携した診断体制を構築し、全国からの診断依頼に対応しています。また新生児マススクリーニングで病気が疑われた新生児の二次検査も積極的に受け入れています。ライゾゾーム病は、酵素の設計図にあたる遺伝子の変化が原因で酵素が生まれつき体の中で作られないことが原因です。遺伝子は親から子に伝わるため、遺伝子の変化の原因が両親にある場合には、ご家族で同じ病気の方が生まれる可能性があります。病気や遺伝の詳しい説明や遺伝カウンセリングは専属の臨床遺伝の専門医、遺伝カウンセラー、遺伝看護師とともに行います。また、必要に応じて、遺伝子診断による出生前診断や着床前診断にも対応しております。
専門分野
ゴーシェ病、ファブリ病、ポンペ病、ムコ多糖症、ポンぺ病、酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ニーマンピック病A/B型)、ニーマンピック病C型、ガラクトシアリドーシス、ムコリピドーシスなどのライソゾーム病全般の診断、治療診療実績
| 2021 | 2022 | 2023 |
---|---|---|---|
酵素補充療法実施患者数(ムコ多糖症) | 28 | 26 | 26 |
酵素補充療法実施患者数(その他のライソゾーム病) | 4 | 7 | 5 |
診療患者数(ムコ多糖症:酵素補充療法実施患者は含まず) | 21 | 12 | 10 |
診療患者数(その他のライソゾーム病:酵素補充療法実施患者は含まず) | 11 | 6 | 10 |
受診方法
ライソゾームセンターでは、酵素治療だけでなく、ライソゾーム病の診断や遺伝に関する相談にも対応しています。ライソゾーム病センター外来の受診や質問は、病院代表経由で担当医までご連絡ください。
病院代表経由で担当医までご連絡ください
国立成育医療研究センター(代表)
03-3416-0181月~金曜日(祝祭日を除く) 8時30分~17時
スタッフ紹介
センター長 | 医員 |
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小須賀 基通 |