国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
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臓器移植センターについて

臓器移植センター センター長  笠原 群生

基本情報



2011年5月1日国立成育医療研究センター内に臓器移植センターが開設されました。臓器移植センターは主に腹腔内臓器(肝臓、腎臓、小腸、膵臓)について、臓器移植を必要とする子どもを様々な角度から総合的にサポートし、より良い移植医療が提供できることを目指して立ち上げられました。

移植前の子どもの状態をできるだけ良い方向になるように治療を行い、また手術後の内科的治療を専門的立場から行うために、内科系専門診療部から肝臓科・腎臓科・小腸科、それぞれを専門とする小児科専門医が参加しています。移植手術は、これまで国立成育医療研究センターで肝移植手術を担ってきた移植外科医が行います。我が国の年間小児肝移植数は約100例、生存率86.6%と報告されていますが、臓器移植センターでの肝移植手術成績は、年間肝移植症例数約40例で世界最多で、生存率も90%と良好です。
また、移植病理の専門家による精度の高い早期診断を移植医療に導入するため、病理診断科から病理専門医が参加しています。移植手術では摘出した臓器や病変部位を直接病理診断できるため、子どもの治療方針決定の上で大変重要です。移植手術特有の問題として、移植した臓器の拒絶反応がありますが、移植後の臓器を針で検査し、臓器の状態を調べる時にも病理医が必要で、病理医の迅速な診断が子どもの命を左右する大きな鍵となります。

現在、移植医療において新しい転換期を迎えています。「臓器の移植に関する法律(臓器移植法)」の改正により、2010年7月17日から、ご本人の臓器提供の意思が不明な場合でも、ご家族の承諾があれば臓器提供が可能となり、15歳未満の子どもからの脳死下の臓器提供も可能になりました。当センターでは、2014年9月末日までに12例の脳死ドナーから提供された肝臓を移植する肝移植手術(脳死肝移植)を行っており、そのうち6例は提供された肝臓を分割して移植する分割肝移植を行っています。今後も脳死ドナーとなられた方やそのご家族の尊い意思を尊重し、新たな命につなげていくことができるよう真摯に向き合っていきたいと考えています。

さらに、2013年8月には日齢11の先天性代謝異常症の男児に肝細胞移植を行い、成功しました。国内における小児の肝細胞移植治療として初の症例となります。2014年6月には小児から小児へのドミノ肝移植を行い、順調に回復しました。 肝移植を受けるレシピエントだけではなく、生体ドナーの身体負担をできるだけ軽減する手術法の開発にも取り組み、2013年12月には腹腔鏡を使ったドナー手術を行っています。

当センターには、日本全国及び海外から移植手術を受けるために、たくさんの子どもが来院します。ナショナルセンターという病院の使命から、非常に稀有で重篤な疾患の方も多くいますが、一人でも多くの子どもが元気になり、笑顔で退院できるよう、更なる努力を重ね、力を尽くしていきます。

『こどもの肝移植ハンドブック2015年版』

2010年6月に作成した『こどもの肝移植ハンドブック』を基に、このたび大幅に内容を見直し、最新の情報を取り入れた『こどもの肝移植ハンドブック2015年版』を発刊することとなりました。それぞれの項目は、移植医療に携わる国立成育医療研究センターの各専門分野の先生方に、わかりやすく解説していただきました。また、肝移植を受けた4名のレシピエントさんと、2名のドナーさんにもご協力いただき、移植当時の思い出や現在の生活などについて、お話いただきました。小さな赤ちゃんから、進学、就職、結婚、妊娠、出産を考えられるような年齢に成長した方も参考になるような情報が、盛りだくさんとなっております。当センター移植外科外来を受診されたお子さんとご家族にお配りする予定です。なお、ハンドブックの全ページの内容はこちらからPDF文書として閲覧、ダウンロードすることもできますので、ぜひご活用ください(PDF文書は約11MBあります)。

これから治療の選択肢として、肝移植を検討されているお子さんやそのご家族だけでなく、既に移植を受けられた方々にとっても、この新しいハンドブックが少しでもお役に立てば、嬉しく思います。 

2015年2月20日 国立成育医療研究センター 臓器移植センター長 笠原群生

専門分野

国立成育医療研究センターの肝移植の歴史

国立成育医療研究センターは旧国立小児病院時代から臓器移植の研究が行われており、故鈴木盛一先生・雨宮浩先生により1980年代から免疫抑制・拒絶反応・臓器保存などの研究が行われてきました。1994年には初めての小児生体腎移植が、1996年には小児献腎移植が実施され、2005年11月18日に小児肝移植が始まりました。故佐伯守洋先生・本名敏郎先生・黒田達夫先生のご協力により、当センターは2010年8月に脳死肝移植施設となり、同月29日に初の脳死分割移植を実施しました。また、国立成育医療研究センター研究所と協力し、2013年8月10日には、世界で初めて生体肝移植時の余剰肝臓を用いた肝細胞移植に成功しました。2014年内には、300例に達する見込みです。病院職員・研究所・事務方の全面的な協力のもと、年間の小児生体肝移植症例数は世界最多となっています。肝腎移植・ドミノ肝移植・腹腔鏡下ドナー手術・再生医療などの先駆的医療にも挑戦し、多臓器移植・臓器移植手技を応用した腫瘍切除などにも取り組んでいます。

2005/6/1移植外科開設
2005/11/18生体肝移植
2007/5/18生体肝腎同時移植
2010/8/29脳死肝移植(分割)
2011/5/1臓器移植センター開設
2012/6/15小児ドナー脳死移植
2013/8/10肝細胞移植
2013/12/19腹腔鏡ドナー手術
2014/6/18ドミノ肝移植

当センターの肝移植プログラムの特徴

国立成育医療研究センターの肝移植プログラムの特徴を説明します。

1.全身管理の必要な重症肝臓病の子どもが搬送されることが多く、劇症肝炎の比率が多い。
2.生後すぐに肝不全になってしまう乳児肝臓病が多い。
3.他施設に比較して重症度が高い。
4.他施設で肝移植を行っていない稀少疾患が多い。
5.手術時間が通常の移植施設の半分程度である。(肝移植レシピエントの手術時間平均は10時間)
6.ドナーの傷が小さい。(現在12cm程度の縦まっすぐの傷)

診療実績

2014年9月現在で、肝移植後の患者生存率は下に示す表の通り、1年生存率、3年生存率、5年生存率いずれも全国平均を上回っており、移植した臓器が生着する率は、日本国内で最も良好です。欧米、アジアの小児肝移植施設の中でも最良です。

図1の画像
図2の画像
図3の画像

受診方法

専任のレシピエント移植コーディネーターが2名体制で対応しています。2名とも看護師のため、病状や治療、成長や発達を理解し、相談や各種コーディネート、生活指導などを行っています。

肝移植を希望する方は、レシピエント移植コーディネーターにこちら(問い合わせページにリンク)からお問い合わせください。電話でお問い合わせの場合は、病院代表電話へ連絡し、コーディネーターにつなげるように伝えてください。

スタッフ紹介

センター長 診療科 医長 医員 フェロー
センター長
笠原 群生

副センター長
阪本 靖介(併)
移植外科 福田 晃也
阪本 靖介
重田 孝信
内田 孟
成本 壮一
髙槻 光寿(非)
佐々木 健吾
肝臓移植科      
腎臓移植科      
小腸移植科 新井 勝大(併)    
移植病理科      
移植支援室      

(併)=併任、(非)=非常勤

医療従事者の方へ

医学生・研修医の方へ

国立成育医療研究センター 臓器移植センターでは重症の肝臓病の小児の救命及びQOLの改善を目指して、真摯に肝移植医療に向き合う外科医の育成を行っています。
当センターでの小児肝移植手術は毎週木曜日及び隔週月曜日であり、このほか定期手術日以外であっても、緊急性に応じて週末・休日を問わず移植手術を行う場合もあります。年間の肝移植件数は約50件であり、そのうち大部分が両親のいずれかをドナーとする生体肝移植となります。脳死肝移植は年間、数件となります。当センターの移植手術は平均手術時間が短く、出血量が少なく、生存率の高いことが国内のみならず、海外からも高い評価を受けています。
レシピエント手術、ドナー手術のそれぞれの手技については、その基本から応用編に至るまで、責任を持って細かく指導を行い、若手医師の手術手技向上を図っています。医学生及び医師の手術見学は随時受け入れています。2014年からはドミノドナーによる肝移植も始めており、脳死ドナー手術も含めて、多様な形態の手術に対応できるような指導を行っています。
再生医療についても移植外科医師らと国立成育医療研究センター 研究所との積極的なコラボレーションを進めており、その成果として2013年からは当移植外科において、肝細胞移植の臨床応用も始まりました。
さらに、当センター移植外科に在籍して移植医療の最前線に携わりながら、移植をテーマとした各分野の研究及び学位論文の取り組みを希望する医師を積極的に支援する体制も整え、2015年4月現在、1名の医師が研究に取り組んでいる最中であり、これまで3名の医師が博士号を取得しました。
また国際的な移植医療のネットワークに参加し、その人脈を広げ、最新の知見を学んで情報交換ができるよう、国際学会への参加の支援も行っております。海外医療貢献として行っている肝移植手術指導の際には、笠原臓器移植センター長の渡航に若手医師も同行し、その手術指導に参加する場合もあります。海外留学を将来展望として考える医師にとって、準備段階として有用な機会にもなるでしょう。
小児の肝移植医療に対して、情熱を持ち、生涯の仕事として真剣に取り組み、専門性を深く追求したいと考えている医師の応募をお待ちしています。各個人の臨床経験に応じて、きめ細かな研修対応ができるように配慮していますので、プログラムの詳細について詳細を希望する場合は、こちらからお問い合わせください。