国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
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不育診療科・妊娠免疫科

基本情報

妊娠は成立しても流産や死産あるいは新生児死亡を繰り返し、生児を得ることができない病態を不育症といいます。
一般的には2回連続して流産や死産があれば不育症と診断します。また、1人目を正常に分娩しても、2人目や3人目が続けて流産や死産になった際、続発性不育症として検査を行う場合があります。
最近の研究では、検査で不育症の原因が明らかになった方は治療を行いますが、原因不明(偶発的な流産をくり返したと思われる方)の場合は治療を行わなくても、次回の妊娠が成功する確率は高く、過去5回までの流産ならば、おおむね治療成績は良好とされています。しかし、流産歴が6回以上ある方は、難治性で治療が必要な場合があります。原因にもよりますが、最終的には80%以上の方が出産することができるとされています。
流産の原因として、以下のような病態があります。

  1. 免疫学的異常
    • 抗リン脂質抗体などの自己抗体陽性(胎盤で血栓をつくり胎児の循環障害の原因になる。)
    • 同種免疫異常(父親の一部を含む胎児を異物とみなし排除しようとする。)
  2. 内分泌学的異常
    • 甲状腺機能異常
    • 黄体機能不全
    • プロラクチン分泌異常
  3. 子宮形態異常
  4. 両親の染色体異常
  • 流産の頻度は?
    女性の年齢にもよりますが、妊娠の15%程度が流産になるといわれています。妊娠反応のみが陽性で、子宮の中に赤ちゃんの袋がみえる前に流産してしまう化学流産は、不育症の流産回数には含まれません。
  • 不育症の原因は?
    夫婦の染色体異常に加え、妻側の要因として、子宮形態異常、内分泌異常、凝固異常、免疫異常などの要因があります。この中には、偶然に流産を繰り返しただけで、異常がない人も含まれます。
    詳しく調べても原因が分からない場合が、35~60%ほどあります。不育症患者の50%は、胎児の染色体異常を偶然繰り返しただけだという報告もあります。また、初めての流産でも、妊娠10週以降の場合は母体の要因が重要な場合があり、検査をする意義があると考えられています。

診療内容・業務内容

当センターでは以下の検査項目に基づいて診療を行っています。

妊娠前に行う検査

  1. 生理3日目

    1. 女性ホルモン検査、甲状腺機能検査
      卵巣機能や甲状腺機能に対するホルモン検査です〔約4,500円〕。
      • 女性ホルモン検査(FSH、LH、E2、PRL)
      • 甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH、抗サイグロブリン抗体、抗TPO抗体、TSHレセプター抗体)
    2. AMH(抗ミューラー管ホルモン)
      卵巣予備能を予測する検査です〔約12,000円〕。
    3. 超音波検査
      子宮の形態・卵胞の数などをチェックします。
  2. 生理後の低温期に行う検査

    1. 子宮卵管造影検査および後撮影(翌日)
      検査に2日間要します。子宮に造影剤を注入してX線撮影を行い、子宮の形態ならびに内腔の病変の有無を検索します 〔約1,200円〕。
    2. 子宮鏡検査
      内視鏡を子宮内に挿入して、子宮内腔の病変の有無を検索します 〔約2,400円〕。
  3. 高温期中頃に行う検査

    1. 超音波検査
      子宮内膜の厚さ卵巣などをチェックします。
    2. 保険診療で行う検査 〔約8000円〕
      • 黄体ホルモン、凝固検査(プロテインC抗原/活性、プロテインS抗原/活性、血小板)
      • 抗体検査(抗核抗体、抗カルジオリピン抗体IgG、抗CL-β2GPI抗体、ループスアンチコアグラント蛇毒法/リン脂質中和法)
    3. 自費診療で行う検査 〔約33,000円〕
      黄体機能検査や、流産に関与する凝固検査ならびに抗リン脂質抗体などの抗体検査です。
      • APTT、抗カルジオリピン抗体IgM、抗フォスファチジールエタノールアミン抗体IgG / IgM、XII因子活性、抗プロトロンビン抗体
  4. 随時検査

    1. 夫婦染色体検査
      夫婦の同意が得られた場合に行っています 〔一人約9,900円〕。
    2. 糖尿病検査(空腹時血糖、インスリン、HbA1c)
      結果により糖負荷試験などを追加します 〔約1000円〕。

妊娠確認後に行う検査

  1. 血液検査(hCG、P)、超音波検査
    胎児発育を確認するために行います。
  2. 流産絨毛染色体検査
    流産の場合、染色体異常による流産かどうか、判断するために行います 〔自費約65,000円〕。

治療について

凝固因子異常や抗リン脂質抗体症候群では、抗血栓療法(アスピリン内服やヘパリン注射)を行う場合があります。甲状腺機能異常や糖尿病などの内科疾患やホルモン分泌異常の場合は、母性内科と連携して治療を行い、その他にも不妊診療科、産科、胎児診療科、遺伝診療科等と綿密に連携しています。妊娠が成立した場合は、初期流産を超える時期(おおよそ妊娠12週)まで不育診療科で診療を行い、それ以降は当センター産科へ診療を引き継ぎます。
当院では各診療科と綿密に連携し、妊娠成立から出産、その後の育児までサポートする包括的な診療が可能です。こころの診療部や母性内科等と協力し、患者の「こころ」のケアについても、十分に配慮した医療を行っています。

診療実績

2002年から2013年までに当センターで診療を行い流死産を経験された方を対象に、流死産原因の推定や次回妊娠転帰について調査した結果、適切な治療により、約80%の方が次回の妊娠で生児を得ることができたことが分かりました。流死産に対して系統的な原因検索を行い、反復性の有無を判断することが大切で、母体側要因を有する場合は適切な妊娠管理が有効であると考えています。
生児獲得率:2013年度81.5%、2012年度80.8%、2011年度79.7%

受診方法

受診には予約が必要です。予約センターに連絡し、予約してください。予約の変更も予約センターで対応します。初めて受診(初診)する場合は、医療機関(医院、病院)からの紹介状が必要です。
再診の方は、予約センターで予約してください。曜日毎に担当医が決まっているため、担当医の希望があれば、予約時に伝えてください。

毎週水曜日と木曜日の午前中に外来診療を行っています。担当は月曜日・火曜日は小澤伸晃、水曜日・木曜日は三井真理となります。

学会などにより変更することもあります。免疫療法や手術治療が必要となる場合は、他の病院を紹介させて頂くことがあります。

診療結果を学会や論文等で発表することがあります(プライバシーの保護に関しては十分留意致します)。

  • 外来診療担当表は、こちらをご覧ください。
  • 受診方法については、こちらをご覧ください。

診療について

診療は予約制で、初診の方は30分の診療枠を確保しています。プライバシーの保護にも心がけ、診療室へのご案内の際には、名前は呼ばず、受付時に渡されるポケットベルにメッセージで案内しています。
様々な治療があり、どのような治療を選択するかが大切なポイントになります。 リスクを知り、適切な治療を選択することで 自信を持って次の妊娠へ臨みましょう。

初診

  1. 問診
    今までの妊娠歴を中心に問診を行います。前医での検査データ等があれば、持参してください
  2. 診察 
    内診や超音波検査等で子宮や卵巣の形状を調べます。
  3. 検査計画
    月経周期に合わせた検査計画を立てます。全ての検査が終了するまで、2ヶ月程度かかります。

2回目以降の診察

  1. 不育症の検査を開始
    流産や死産の原因を調べます。
  2. 検査結果の確認と今後の方針の検討

スタッフ紹介

診療科 医長 医員
不育診療科 三井 真理
妊娠免疫科 小澤 伸晃

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