国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
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病理診断部について

病理診断部 統括部長  義岡 孝子

基本情報

病理診断科では、組織診断、細胞診断、病理解剖診断を行っています。免疫組織化学検査、電子顕微鏡検査、遺伝子検査等の特殊検査を行い、より精度の高い診断を目指しています。
主な対象は、リンパ腫、神経芽腫、横紋筋肉腫等の小児がん、子宮内発達遅延や子宮内胎児死亡、母体疾患のある症例等、胎児に異常をきたす症例の胎盤、腎疾患などです。小児がんにおいては、病理診断だけでなく、悪性度・予後を予測する遺伝子異常の検索も行っています。
平成20年4月1日から医療法の改正により、「病理診断科」が「内科」や「外科」と同様に標榜診療科になりました。
国立成育医療研究センターでは、病理セカンドオピニオン外来、病理外来を開設し、病理診断について患者に直接説明することができるようになりました。「病理診断科」として、診療の質の向上に貢献したいと考えています。

小児がんの病理診断支援

病理診断科では、2005年からリンパ腫を主とした小児血液腫瘍の中央病理診断、2008年から小児固形腫瘍の中央病理診断を担当し、2011年からは日本病理学会小児腫瘍組織分類委員会における中央病理診断事務局として活動しています。2015年に日本小児がん研究グループ(JCCG)が設立され、現在はJCCG病理委員会事務局として、小児がんの病理診断を支援しています。 

小児がんでは、治療成績の向上と合併症の軽減を目指して、がんの生物学的特徴に基づいた治療の層別化が行われています。治療の層別化には遺伝子解析を含めた病理学的なリスク分類が不可欠であり、そのための病理診断を効率的に行うため、中央診断システムが構築されました。当科では全国から年間約500例の小児がん症例を受け付け、それぞれの疾患を専門とする院内・院外の病理医が診断を行い、治療方針の決定、予後因子の探索などの研究に貢献しています。また、小児がん拠点病院等の整備に伴って国立成育医療研究センターが、平成26年2月5日に小児がん中央機関に指定されたことを受け、中央機関としても、病理診断支援、病理医の研修・育成を行っています。
 中央病理診断事務局の画像

診療内容・業務内容

組織診断

病理診断では、臨床所見や画像所見に基づき推定される鑑別診断に応じて、組織学的診断を行います。HE染色による組織学的診断の補助として特殊染色、免疫組織化学染色、FISH法、RT-PCR法、RQ-PCR法による遺伝子検査、超微形態学的検索には電子顕微鏡を用います。これらの検査方法に応じてホルマリン固定、組織捺印、コンパウンド包埋凍結、液体窒素凍結、組織培養液保存のサンプリング等も行います。
 組織診断の画像

HE標本作製
ヘマトキシリン・エオジン染色(HE、hematoxylin and eosin stain)は、病理組織診断において基本となる染色法であり、標本全体の情報を過不足なく染めることができます。退色も少なく、適切に管理することで永久保存が可能で、全ての病理組織標本はまずHE染色を実施し、病理診断を行います

※腫瘍組織のHE染色像(左から、40倍、100倍、400倍)。
特殊染色
特殊染色とは、組織内の特異的な物質を選択的に染め出すものです。組織内構成成分の検討のため、必要に応じて行われます。

※腎臓の糸球体の組織像。特殊染色を用いて糸球体の基底膜を染色しています。左から、HE染色、PAS反応、マッソントリクローム染色、PAM染色(いずれも40倍)。  

※胞巣型横紋筋肉腫症例の組織像。左)HE染色、右)鍍銀染色で胞巣構造が確認できる。
免疫組織化学染色(酵素抗体法、蛍光抗体法)
免疫組織化学染色(immunohistochemical Staining)は、抗原抗体反応を利用して、組織・細胞内の抗原物質の局在(存在している場所)を検出する方法です。腫瘍の組織型診断や良悪性診断、感染症に対する病原体の証明といった補助的な診断だけでなく、腫瘍の進行度や増殖能の確認にも利用され、患者の予後判定にもつながる検査で、現在では分子標的治療薬による治療方針決定に必要不可欠な手法です。
・酵素抗体法

※横紋筋肉腫症例の組織像。左はHE染色、右は抗Myogenin抗体を用いた免疫組織化学染色。腫瘍細胞の核に陽性所見を認めます。
・蛍光抗体法

※左)インテリジェント顕微鏡BX63
※右)アルポート症候群症例FITC標識抗ヒトⅣ型コラーゲンα2・5鎖抗体で二重染色した腎臓の糸球体
in situ hybridization(ISH)法
ISH法とは、核酸をハイブリダイゼーション(*)させることにより、特定の核酸の分布の状態を調べる方法です。当科では、特にEBウイルスのDNAが核内にあるか、検索に用いています。免疫組織化学染色と組み合わせて、EBウイルス感染細胞を同定することもできます。
*本鎖の核酸を相補的な塩基対間で特異的に会合させ、2本鎖核酸を形成させること。

※左)移植後リンパ増殖性疾患(HE染色)、右)リンパ球核内に陽性シグナルを認める
電子顕微鏡検査
電子線を用いて対象物を数十倍~数万倍以上の広い倍率で観察することが可能な検査です。腎臓については、糸球体腎炎における電顕的微細構造の解析により、糸球体疾患のさらに詳細な分類が可能になります。 

※左)電子顕微鏡(JEOL JEM-1230)。倍率は60万倍まで拡大が可能で、腎糸球体や腫瘍細胞などの微細な構造を観察することができる。
※右)急性腎炎の電子顕微鏡所見:腎糸球体基底膜足細胞下に多数の免疫複合体沈着(hump)を認める。
分子病理(遺伝子検査) 
小児がんに特有の遺伝子異常を検索することで、病理診断をより正確に行うことができます。当科では、神経芽腫、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、小児腎腫瘍、悪性リンパ腫等について、以下の遺伝子検査を行っています。

遺伝子検査染色体についての検査FISH法を用いた特定遺伝子の転座や増幅の解析
DNAについての検査Direct PCR法を用いたDNA配列解析
MLPA法を用いた特定のDNAの増減の解析
RNAについての検査RT-PCR法を用いたキメラ遺伝子の解析
PQ-PCR法を用いた特定遺伝子の増幅の解析
また、通常業務として、FISH法、RT-PCR法、RQ-PCR法による検査を行っています。
FISH法による特定遺伝子の解析
    FISH法とは、細胞の核内の特定の塩基配列にプローブ(目印)をつけ、その遺伝子の変化を可視化する方法です。腫瘍細胞の遺伝子変化や性染色体(X,Y染色体)を識別する等、検査の目的に合わせてプローブを選択し検査を行います。

    当科で小児腫瘍の遺伝子診断に使用するFISHプローブ

    小児腫瘍プローブ名
    神経芽腫MYCN
    Ewing肉腫/PNETEWS
    腎腫瘍ETV6
    滑膜肉腫SS18(SYT)
    胞巣状横紋筋肉腫FOX01(FKHR)
    粘液性脂肪肉腫DDIT3(CHOP)
    粘液性脂肪肉腫、急性骨髄性白血病FUS
    パーキットリンパ腫C-MYC
    濾胞性リンパ腫BCL-2
    未分化大細胞リンパ腫ALK
    乳児白血病MLL


    ※バーキットリンパ腫における転座例c-mycシグナルのBreakApartを認める(転座)。
    ※グリーンシグナルを呈するN-myc シグナルを多数認める(増幅)。
      RT-PCR法によるキメラ遺伝子の解析
        RT-PCR法とは、逆転写酵素によるDNA合成とPCR法とを組み合わせた遺伝子の増幅法で、遺伝子発現を確認するために広く用いられています。この手法を用いてキメラ遺伝子の解析を行っています。キメラ遺伝子とは、複数の異なる遺伝子が相互転座などにより融合した遺伝子です。腫瘍細胞では、その種類によって特異的なキメラ遺伝子がみられます。そのため、キメラ遺伝子を解析することによって腫瘍の種類(タイプ)を特定することができます。

        ・分子量マーカー
        ・検体のcDNA(キメラ遺伝子があるとバンドが見える)
        ・検体のcDNA(-)
        ・ポジティブコントロール(必ずバンドが見える)
        ・ネガティブコントロール
        ・検体のcDNA(cDNAが合成されているとバンドが見える)
        ・検体のcDNA(-)
        ・ポジティブコントロール(必ずバンドが見える)
        ・ネガティブコントロール

        当科のキメラ遺伝子解析リスト

          小児瘍融合遺伝子転座の核型
          Ewing肉腫/PNETEWS/FLI1t(11:22)(q24:q12)
          EWS/ERGt(21:22)(q22:q12)
          EWS/ETV1t(7:22)(p22:q12)
          EWS/E1AFt(17:22)(q12:q12)
          EWS/FEVt(2:22:22)(q3:q2:q12)
          Desmoplastic small round cell tumor
          (繊維形成小円形細胞腫瘍)
          EWS/WT1t(11:22)(p13:q12)
          胞巣状横紋筋肉腫PAX3/FKHRt(2:13)(q35:q14)
          PAX7/FKHRt(1:13)(p36:q14)
          滑膜肉腫SYT/SSX1t(X:18)(p11.2:q11.2)
          SYT/SSX2t(X:18)(p11.2:q11.2)
          腎細胞癌ASPL/TFE3der(17)t(X:17)(p11:q25)
          PRCC/TFE3t(X:1)(p11:q21)
          Mesoblastic nephroma
          (間葉芽腎腫)
          ETV6/NTRK3t(12:15)(p13:q25)
            RQ-PCR法による特定遺伝子の解析
              骨髄、末梢血における神経芽腫細胞の微小残存の検出のためのTyrosine Hydroxylase(TH)遺伝子の解析を行っています。
              TH遺伝子の増幅曲線

              赤色の検体:非常に増幅している
              青色の検体:増幅している
              緑色の検体:増幅なし(正常)

              細胞診断

              粘膜や病変部を擦過したものや喀痰、体腔液(尿や胸水、腹水)中の細胞などをスライドガラス上に塗抹し、細胞学的に検索します。細胞診断における基本的な染色はパパニコロウ染色で、必要に応じて特殊染色等も行います。スクリーニングは細胞検査士の認定資格を有する技師がダブルチェックで行い、その後専門医が最終診断を行います。

              標本作製の流れ

              アルコール固定→染色→鏡検(スクリーニング1,2)→診断→報告
              ※パパニコロウ染色した子宮頸部の扁平上皮細胞。HPV(ヒトパピローマウイルス)感染細胞に特徴的なコイロサイトーシスが確認できる。

              術中迅速診断

              手術中に採られた組織が、どのような腫瘍なのか(良性か悪性など)、またその腫瘍が取りきれているのかを確認する検査です。急速凍結した組織を薄切、HE染色し、診断を行います。その結果によって術式を変更することもあるため、迅速かつ可能な限り正確に報告しなければなりません。
              提出された検体は、肉眼で観察した後、必要があれば切り分け、コンパウンド包埋し、-30℃程度で急速凍結します。凍結した検体は、クリオスタット(下図)で薄切します。クリオスタットの中は-20℃程度になっており、凍結した状態で薄切可能です。その後HE染色し、診断します。組織が提出されてから10~20分程度で診断し、報告します。

              標本作製の流れ

              切出し→凍結→薄切→固定→HE染色→診断

              病理解剖

              病気で亡くなられたご遺体を解剖し、肉眼的、組織学的に病態や死因を検索します。

              院内カンファレンス

              患者の診療を行った臨床医と病理診断を行う病理医が症例検討を行うCPC(臨床-病理検討会;Clinico-Pathological Conference)や、臨床各科の定例カンファレンスに参加し、診断や治療方針決定の基になる病理診断の報告や解説を行っています。

              1.CPC(臨床-病理検討会)

              2.定例カンファレンス(カッコ内は主な参加診療科。病理診断科を除く。)

              (1)小児腫瘍カンファレンス

              ・腫瘍カンファレンス(固形腫瘍科、外科、移植外科、放射線科等)

              ・白血病リンパ腫カンファレンス(血液腫瘍科、血液内科等)

              ・脳脊髄腫瘍カンファレンス(脳神経腫瘍科、脳神経外科、放射線科等)

              (2)肝臓病理カンファレンス(移植外科、肝臓内科等)

              (3)腎臓病理カンファレンス(腎臓・リウマチ・膠原病科、母性内科等)

              (4)消化器病理カンファレンス(消化器科等)

              (5)胎児カンファレンス(胎児診療科、新生児科、外科、放射線科等)

              病理診断については、日本病理学会のホームページの説明も参考にしてください。

              診療実績


              2015 2016 2017
              病理組織検体数 2617 2994 3302
              細胞診検体数 1591 1791 1964
              剖検数 12 11 15
              中央診断検体数 576 802 983

              受診方法

              病理解剖や生検、手術で採取された検体の病理診断等の結果について、患者・家族からの希望に応じ、病理診断を行った病理医が病理診断外来で説明します。病理診断外来では担当医も同席し、臨床的なことについても一緒に検討することができます。病理診断外来で病気に対する疑問や不安を解消することで、今後のより良い治療につなげることができます。
              また、他院で行われた病理学的診断結果についても、セカンドオピニオン外来を行っています。当科では病理診断のみを行い、施設における治療等については答えることができません。

              セカンドオピニオン外来(病理)のご案内

              対象者 患者本人及び家族の方
              受診日時 毎週火、水曜日午後 1時30分から5時
              診断費用 60分以内 20,000円(税別)(別途病理診断料・検査費用がかかります。)
              例:
              • セカンドオピニオン(60分以内)20,000円+病理診断料7,700円+免疫染色検査4,000円=31,700円
              • セカンドオピニオン(60分以内)20,000円+病理診断料7,700円+免疫染色検査4,000円+遺伝子検査21,000円=52,700円
              場所 3F 3C-2 多目的相談外来
              ※病理診断の結果及び標本を見ながら、病理医と直接話して頂き、相談に応じます。
              (1)申込方法
              1. 電話で申し込んで下さい。
                • 申込先:医療連携室 03-5494-5486
                  「病理診断科セカンドオピニオンの申し込みをお願いします。」と伝えてください。
                • 申込受付時間:土・日・祝日を除く平日15時から16時
              2. 申込書、同意書、病理標本ケース等を送付します。
              3. 申込書、同意書、診療情報提供書(紹介書)と病理標本を病理診断科に送ってください。
                • 送付先:
                  〒157-8535 東京都世田谷区大蔵2-10-1
                  独立行政法人 国立成育医療研究センター
                  病理診断部 病理診断科   義岡 孝子
                  TEL  03-3416-0181
              (2)予約方法
              申込書、同意書、診療情報提供書(紹介書)、病理標本が届き次第、病理診断科から受診の予約(約2週間後)について連絡します。
              (3)当日の流れ
              1. 初診受付で、病理診断科セカンドオピニオン外来を予約していることを伝えてください。
              2. 呼出受信機を持ち、院内でお待ちください。
              3. 受診の際、呼出受信機にてお呼びします(「3C-2」表示)。
              4. 病棟エスカレーター、エレベーターで3階へお越しください。
              5. 3階「3C」室の中待合でお待ちください。
              (4)問合せ先  
              土、日祝日を除く平日15時から16時まで、下記にご連絡ください。
              独立行政法人 国立成育医療研究センター 病理診断部 病理診断科
              03-5494-7120(内線:7042)
              メールアドレス
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              スタッフ紹介

              診療部長 医員 レジデント
              入江 理恵 梅澤 明弘(併)
              清河 信敬(併)
              大喜多 肇(非)
              羽賀 千都子(非)

              (併)=併任、(非)=非常勤

              中央病理診断依頼手順

              中央診断については、[基本情報]-[小児がんの病理診断支援] を参照してください。

              ・ 血液腫瘍

              JPLSGホームページ(会員のページ)を参照ください。

              • 病理中央診断依頼書
              • 免疫学的診断依頼書

              ・ 固形腫瘍


              JCCG_flowの画像

              中央病理診断事務局

              中央病理診断事務局メールアドレスの画像の画像

              03-5494-7120(内線7499)

              病理診断コンサルテーション

              国立成育医療研究センター病理診断部・病理診断科では、小児・周産期領域の腫瘍性病変、非腫瘍性病変について病理診断コンサルテーションを受け付けております。 HE染色標本による診断に加え、免疫染色標本の作製・診断や遺伝子診断などを追加検索することにより、詳細、正確な診断を目指しております。


              [申込手順]

              1.申込書をダウンロードし、項目を入力後、ファイル添付で下記メールアドレス宛にお申し込みください。
                メールアドレス : patho@ncchd.go.jp
                申込書(DL)
              2.申込書と病理検体(ホルマリン固定組織、パラフィンブロック、HE染色標本、未染色標本(免疫染色用)、凍結組織等)を
                病理診断科へ送付してください。(到着日は土日、祝日をさけてください)
              3.申込手順や送付検体について不明な点がありましたら、メールでお問い合わせください。

               送付先:
                〒157-8535
                 東京都世田谷区大蔵2-10-1
                 国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 病理診断部
                   義岡 孝子 (よしおか たかこ)
                 Tel 03‐5494‐7120  (内線7042)

               

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