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食物アレルギー


食物アレルギーとは

食物アレルギーってなに?

食物アレルギーは簡単に言うと、「本来は体に害を与えない食べ物を異物と勘違いし、免疫反応が過敏に働いてしまう現象」です。その結果、蕁麻疹(じんましん)やかゆみ、咳などが引き起こされます。時に、アナフィラキシー(発症後、極めて短い時間のうちに全身にアレルギー症状が出る反応のこと。血圧の低下や意識障害などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態になることもあります。この生命に危険な状態をアナフィラキシーショックといいます。)という重い症状が出ることがあるため注意が必要です。IgE抗体(アレルギー反応を引き起こす抗体) が関与する即時型食物アレルギーが最も多いですが、IgE抗体が関与しない食物蛋白誘発胃腸症(消化管アレルギー)も増加しています。その他いろいろな食物アレルギーのタイプがありますので、「食物アレルギーのタイプと方針」の表をご参照ください。

即時型食物アレルギー どんな食べ物が原因になるの?

年齢や、国、そして個人によって原因の食べ物は異なります。日本では食物アレルギーの原因の食物として、鶏卵、牛乳、小麦が多く、特に鶏卵が最も多いです。また近年、クルミなどナッツアレルギーも急増しています。個人によって原因の食物は異なりますのでしっかりと正しい診断をすることが重要です。

即時型食物アレルギー どんな症状が出るの?

症状は、皮膚症状、粘膜症状、呼吸器症状、消化器症状、神経症状、循環器症状に大きく分けられます。それぞれの代表的な症状は以下の通りです。

  • 皮膚症状:蕁麻疹(じんましん)、かゆみ、赤み、むくみ、湿疹
  • 粘膜症状:鼻汁(鼻水)、鼻閉(鼻づまり)、くしゃみ、口周りの違和感
  • 呼吸器症状:咳、喘鳴(呼吸時にぜいぜいと雑音を発すること)、声枯れ、呼吸困難
  • 消化器症状:嘔吐・はき気、下痢、腹痛
  • 神経症状:頭痛、活気の低下、意識障害
  • 循環器症状:血圧低下、不整脈、頻脈(心拍数が増加している状態)

どうして即時型食物アレルギーになってしまうの?

本来は体に害を与えない食べ物を、なぜ異物と判断してしまうのでしょうか。異物と判断してしまうことを「感作」といいます(IgE抗体をつくること)。感作されてしまう原因に関しては、まだすべてが明らかになっていません。しかし、体の中で何らかの炎症やダメージがある部位で食べ物と出会ってしまうと、その食べ物を悪いものと勘違いしてしまい、感作されるのではないかと考えられています。そして、炎症やダメージがある部位の中で、小児期に最も重要な部位が湿疹のある皮膚であることが分かってきました。

つまり、湿疹のある皮膚と家の中にある小さな食べ物のかけらが出会ってしまうと、その食べ物を悪いものと勘違いして感作されてしまい、その後、実際にその食べ物を口から摂取した時に異物と判断され、免疫反応が過敏に働いてしまうというメカニズムです。日頃から皮膚をきれいに保つことが、食物アレルギーの予防や治療に大切だと言われれるのには、このような理由があります。

即時型食物アレルギーの検査・診断

問診

問診は、とても大切です。何歳ごろ、何を、どれくらい食べて、何分後に、どんな症状が出たのかという詳細な情報から、原因となる食物、重症度などをある程度予測することができます。受診した際には、今までの経過を詳しくお聞きしますので、お教えください。

血液検査

血液検査にもいくつかの種類がありますが、最も一般的なものは、「特異的IgE抗体」を測定するという検査です。IgE抗体の値は、感作の程度を表しているもので、IgE抗体の値が高いほど強く感作されています。しかし、IgE検査が陽性となった食物でも、食べた時の症状を認めなければ食物アレルギーとは診断されず、除去する必要もありません。また、 IgE抗体の値からは、食べられる可能性がある食物の量や、誘発される症状の強さを正しく推定することは困難です。そのほかにも、好塩基球ヒスタミン遊離試験や、好塩基球活性化試験などがあります。どの検査が必要なのかは個人で異なりますので、医師と相談して決めていきます。

皮膚プリックテスト

皮膚の上に直接アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)液を置き、プリックテスト専用の針で、アレルゲン液を置いた部分の皮膚を軽く刺します。アレルギーの可能性があると、針で刺された部位に膨疹ができます。

食物経口負荷試験

血液検査や皮膚プリックテストだけでは、確定診断には至りません。食物経口負荷試験は問診や血液検査、皮膚検査で疑われた食物を実際に病院で摂取してみる検査です。実際に食べてみて症状の有無を判定するので、最も確実な診断法になります。症状が出る可能性がありますが、医療スタッフがずっと近くにいる状態で摂取し、症状が出現した際には速やかに対応します。
また、確定診断目的のほかにも食物経口負荷試験の目的として、経口免疫療法で安全に抗原食物を導入するために症状の出ない(陰性の)量を確認することや、摂取できる量が増えているかどうかの確認目的で、食物経口負荷試験を実施します。
食物負荷試験で用いる食材や負荷量は、お子さんやご家族と担当医が相談して決定します。重度のナッツアレルギーや牛乳アレルギーのお子さんでも実施可能で、極微量から行うこともあります。


即時型食物アレルギーの治療と国立成育医療研究センターの方針

即時型食物アレルギーが治るように完全除去を避け、摂取しても症状が出ない量を、ごく少量でも摂取するように指導していきます。過去の報告では、完全除去よりも少量でも抗原食物を摂取していた方が予後が良いことを報告しています。アトピー性皮膚炎やぜん息、鼻炎などのアレルギーの症状がきちんと抑えられていないと、食物アレルギー症状が出やすくなり、食物アレルギーの改善にも影響がでます。他のアレルギー疾患をしっかり治療して、コントロールが良い状況下で、アレルギー反応が出る量よりもよりも少ない量のアレルギーの原因となる食物を定期的に摂取することで治療を行います。

経口免疫療法

経口免疫療法とは、アレルギーの原因となる食物を安全な少量から継続して摂取していくことで、体がその食べ物に慣れていき(耐性獲得)、次第に摂取量を増やしても症状が出ないようになっていく治療法のことを言います。対象年齢や食物の種類、重症度に制限はなく対応します。自己流で行うと重大な危険を伴う場合があり注意が必要ですが、当センターでは、アレルギー反応が出る量よりもよりもずっと少ない量での経口免疫療法の開発に取り組み、より安全で効果的な免疫療法の開発を目指して研究を続けて来ました。即時型食物アレルギーの患者さんは個人差が大きいため、同じ治療を受けても個々で経過が異なります。そのため、経口免疫療法を行うかどうかについては、食物の種類や生活スタイル、患者さんの性格・年齢、アレルギーの重症度などを総合的に判断しながら、個別化治療を行います。経口免疫療法は専門施設で専門家により行われる治療であり、十分ご理解いただいた上で実施いたします。

当センターでは、抗原食物を無理に食べさせたり、薬のように義務的に摂取させたりすることは推奨していません。日常の食事と同じように、「楽しく・おいしく」 食べることを大切に指導しています。症状が出ない量を定期的に摂取することで、免疫をゆっくりと変えていく経口免疫寛容を誘導する方法を行っています。
最近では、「極微量」からスタートし、食物経口負荷試験で安全な量を確認しながら、アレルギー反応がでるよりも少ない量ですすめる方法が、従来の「自宅でどんどん増量していく方法」よりも、症状なく食べられる量が有意に増える(食物経口負荷試験で陰性になる量が増える)、自宅でアレルギー症状出さずアナフィラキシーや救急受診のリスクがないことが分かってきました。
そのため、症状が出るのに無理に増やすことはしません。口の中がかゆくなったり、軽い症状でも「食べたくない」という気持ちが芽生えたりしてしまいます。また、強い症状(アナフィラキシーなど)が起こると、心理的にも大きな影響を与え、食べること自体が怖くなってしまいます。だからこそ、「症状が出ないように、楽しく食べて治していく」これが私たちの治療方針です。

食物アレルギーのタイプと方針

前述のとおり、さまざまなタイプの食物アレルギーがあります。タイプ別の方針を参考にしてみてください。

IgEとの関係 食物アレルギーのタイプ 食物アレルギーの病名 頻度 方針
IgE(エピペンが有効) 原発性食物アレルギー(Primary food allergy) 即時型食物アレルギー 最低限の食物除去とする。経口で症状の出ない量を継続的に摂取することで免疫寛容を誘導する。定期的に経口負荷試験を行い、閾値の上昇を確認し、専門医の元で、経口免疫療法や栄養指導を受けて、原因食物の定期摂取を行う。栄養不足にならないよう代替食品の指導を行う。
交差性食物アレルギー(Cross-reactive food allergy) 花粉-食物アレルギー症候群 〇~◎ 原則として、原因食物の除去となるが、加熱したものは症状がでないと判断した場合は、加熱した食物は摂取継続可とする。
(経口摂取による有効性の研究報告があるが、まだ一般的ではない)
Pork-cat syndrome(食肉―家畜症候群ともいえる) 原則として、原因食物の除去とする。
α-Gal syndrome 原則として、原因食物の除去とする。
その他、ラテックス、増粘多糖類、ダニなど 原則として、原因食物の除去とする。
運動依存性食物アレルギー
(Exercise dependent food allergy)
食物依存性運動誘発アナフィラキシー) 原則として、原因食物の除去とする。
Non-IgE(エピペンが有効ではない) 消化管アレルギーといわれている食物蛋白誘発胃腸症(non-IgE-mediated gastrointestinal food allergy) 食物蛋白誘発胃腸炎(food protein-induced enterocolitis syndrome:FPIES)
サブタイプとして、acute とchronicがある。
原因食物は除去する。寛解目的のために食物経口負荷試験を実施し、陰性が確認できたら、原因食物の自宅での摂取について指導する。
食品蛋白質誘発直腸大腸炎(food protein-induced allergic proctocolitis :FPIAP) 原因食物は除去する。寛解目的のために食物経口負荷試験を実施し(リスクがないと判断した場合、自宅負荷の場合あり)、陰性が確認できたら、原因食物の自宅での摂取について指導する。
食物蛋白誘発胃腸症 (food protein-induced enteropathy:FPE ) 原因食物は除去する。寛解目的のために食物経口負荷試験を実施し、陰性が確認できたら、原因食物の自宅での摂取について指導する。
Mixed type 好酸球性消化管疾患(Eosinophilic Gastrointestinal Disorders;EGIDs) 好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis;EoE) 専門医の元で、診断と原因に基づいて栄養指導を行う。
Non-EoE EGID
好酸球性胃炎(EoG)、好酸球性小腸炎(EoN)、好酸球性大腸炎(EoC)等
専門医の元で、診断と原因に基づいて栄養指導を行う。


緊急時の対応(アナフィラキシーアクションプラン)

アレルギー症状には、かゆみ、蕁麻疹(じんましん)などの皮膚の症状、咳、ぜん鳴などの呼吸器の症状、鼻水、唇のはれなどの粘膜症状、嘔吐や下痢などの消化器症状のほかに、全身性のアナフィラキシー、また血圧低下をもたらすアナフィラキシーショックを起こす場合もあります。

除去が必要な抗原食物を誤って食べた際にアナフィラキシーショックを起こす危険性のある患者さんには、アドレナリン自己注射液を持っていただくようにすすめ、処方しています。


アナフィラキシーショックの際には、アドレナリン自己注射液を速やかに使用することが重要です。しかし、実際には使用の判断が患者さん本人やそのご家族、教職員など、その場にいる医療者ではない方に委ねられるため、「いつ使えばよいのか」「本当に使ってよいのか」迷うケースが多いのが現状です。そこで、当センターではアドレナリン自己注射液を使う時の指標になるような行動規範(=アクションプラン)を作成しております。下のリンクから自由にダウンロードできますので、主治医とご相談の上ご活用ください。


受診方法

外来は、救急センターを除いてすべて予約制ですので、当院で受診される方は『事前予約』が必要です。

国立成育医療研究センターでは、事前予約制を導入しております。当院での受診を希望の方は他院からの診療情報提供書(紹介状)をお手元にご用意の上、予約センター(電話 03-5494-7300)で予約をお取りになってからご来院ください(予約取得時に、紹介状の確認をしております)。紹介状をお持ちでない場合、別途選定療養費がかかります。詳しくは、予約センターにお問い合わせください。
なお、緊急で受診が必要なときは、現在かかっている医療機関の医師から直接、医療連携室(TEL:03-5494-5486 (月~金 祝祭日を除く 8時30分から16時30分))へご連絡をお願い致します。

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