代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
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アトピー性皮膚炎


アトピー性皮膚炎

お知らせ

  • 全身に湿疹が広がって不登校や眠れないなど生活に大きな影響がでている、全身状態が悪いなどは緊急受診していただきます。予約センターにご相談ください。

  • 外来でコントロールが難しい場合、院内学級に通学しながら長期入院治療が可能です。

  • 12歳以上で中等症以上のお子さんでステロイド外用薬を使ってもコントロールができないなどの場合、経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬の導入が可能です。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。アトピー性皮膚炎では、皮膚の“バリア機能”(外界のさまざまな刺激、乾燥などから体の内部を保護する機能)が低下していることや皮膚に炎症があることが分かっています。外からアレルゲンなどの刺激が入りやすくなっており、これらが免疫細胞と結びつき、炎症を引き起こします。また、かゆみを感じる神経が皮膚の表面まで伸びてきて、かゆみを感じやすい状態となっており、掻くことによりさらにバリア機能が低下するという悪循環に陥ってしまいます。成育で出生したお子さんを追跡している成育コホート研究から湿疹の経過には様々なパターンがあることが明らかとなっています。

アトピー性皮膚炎の診断

アトピー性皮膚炎の診断には、国内外の様々な診断基準が用いられています。当センターでは、英国のガイドラインや世界的にも使用されている下記のUKWP(The U.K. Working Party)の診断基準を用いています。

UKWPの診断基準

大基準(1)と3項目以上の小基準(2)を満たすものをアトピー性皮膚炎と診断する。

  1. (1) お子さんは皮膚がかゆい状態である。または、両親から子どもが皮膚を引っかいたり、こすったりしているという報告がある。
  2. (2)
    1. ① お子さんはこれまでに肘の内側、膝の裏、足首の前、首のまわり(9歳以下は頬を含む)のどこかに皮膚のかゆい状態がでたことがある。
    2. ② お子さんは喘息や花粉症の既往がある。または、一等親以内に喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の既往がある。
    3. ③ 過去12か月の間に全身の皮膚乾燥の既往がある。
    4. ④ 関節の内側の湿疹(3歳以下は頬・おでこ・四肢外側を含む)が確認できる。
    5. ⑤ 1歳以下で発症している(3歳以下のお子さんにはこの基準を使わない)。

アトピー性皮膚炎の検査

アトピー性皮膚炎の状態を把握する手がかりとして、血液検査を行います。アトピー性皮膚炎に特有の血液検査として、アトピー性皮膚炎の重症度を評価するために、TARCまたはSCCA2を測定します。特異的IgE抗体検査を行うことにより、ダニやカビ、ペットなど、どのような悪化要因が関わっているかを検討します。健康診断などで実施するような一般的な血液検査も行います。アトピー性皮膚炎に似た皮ふ疾患の場合もあるため、必要に応じて鑑別のために必要な検査を追加します。

注意:ダニやペットなどのアレルゲンでIgE抗体が上がっている(陽性)だからといって必ずしも悪化因子ではありません。血液検査だけで食物を除去することは不適切です。

アトピー性皮膚炎と食物アレルギー

かつては、食物アレルギーがある子がアトピー性皮膚炎を発症すると考えられていました。しかし近年は、湿疹がありバリア機能が低下している皮膚から食物が入り込むことによって、食物アレルギーが発症するという仕組みが分かってきました。当センターを受診したお子さんの経過から、湿疹を発症してから速やかに積極的に治療を開始する方が食物アレルギーの発症割合が抑制できることが明らかとなりました。

当院で行われた研究結果から、アトピー性皮膚炎のある乳児に対しその湿疹をしっかり治療しながら加熱鶏卵を少量ずつ経口摂取させることで、卵アレルギーの発症を減少させることができることがわかりましたが、アトピー性皮膚炎の治療が十分でなかった場合には効果が低いことがわかりました。このことからも、早い時期から正しい治療を行い、皮膚を良い状態に保つことが大切だといえます。

授乳中のお母さまが摂取している卵や乳製品などが本当に湿疹の悪化に関与しているかどうかは、まず湿疹の治療をしっかりしてから本当にお母さんの摂取している食べ物が関与するか検討します。

アトピー性皮膚炎の悪化要因

アトピー性皮膚炎を悪化させる要因は、1つの要因だけでなく、以下のような様々な要因が重なり合って起こることが多いため、これらの悪化要因の対策を行うことも治療を行う上で大切なことになります。お子さんによって悪化する原因は異なります。ダニやペットなどのアレルゲンがしっしんの悪化の原因であるかは、これまでの経過などの情報を総合して判断します。 (症状のみ、検査結果のみで判断しません)

  • 季節の変化?秋や冬に悪くなる?花粉の時期に悪化?
  • 生活環境の影響?
  • ペットが影響?
  • 汗やよごれが影響?
  • ストレスが影響?
  • 風邪をひいたり、体調不良が影響?

アトピー性皮膚炎の治療の目標

  • 症状がない、または、症状がないかあっても軽微
  • 日常生活に支障がない
  • 薬物療法もあまり必要ない

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎治療の重要性

アトピー性皮膚炎の症状である「痒み」によって夜十分に眠れないと、身長の伸びが悪くなったり、学校生活で本来の力を発揮できなくなってしまったりすることがあります。顔に症状がある場合には、白内障や網膜剥離といった眼の合併症のため視力に影響が出ることがあります。ご家族の負担や心労も大変大きいものです。適切な治療を早期に行うことによってこのような影響を防ぐことができます。また、重症アトピー性皮膚炎の赤ちゃんでは、全身状態の悪化や、成長・発達への影響から、治療に緊急性を要することもあります。

アトピー性皮膚炎治療の3本柱

アトピー性皮膚炎の治療は、①スキンケア ②薬物療法 ③悪化要因の対策の3つが治療の基本となり、どれも欠かすことができません。正しい治療を行うことで症状をコントロールして、湿疹などの症状が出ない状態にすることができます。

治療の実際

標準的治療の①スキンケア(皮膚の清潔を保ち、うるおいのある状態を保つこと)②薬物治療(皮膚の炎症を抑える治療)③環境整備(環境中の悪化因子をみつけ、可能な限り取り除くこと)の三本柱を中心にした治療により、「寛解導入(症状を改善させ湿疹のないすべすべのお肌にすること)」を行います。

お肌の炎症をとる抗炎症薬物治療薬は以下の通りです。
<外用薬>

  • ステロイド外用薬 (治療の基本となるお薬です)
  • タクロリムス水和物軟膏(2歳以上)
  • ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬 (2歳以上)
  • ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬(2歳以上)
<経口薬>
  • 経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬(12歳以上)
<注射薬>
  • ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体 皮下注射
     (アトピー性皮膚炎への適応は成人のみ)

湿疹についてはまず「寛解導入」といって湿疹をよくする治療を行います。その後は、湿疹のないすべすべのお肌を維持するために、「寛解維持療法」を行います。寛解維持療法では、保湿剤だけだと湿疹が再燃する場合、プロアクティブ療法(症状が良くなったあとも計画的に抗炎症薬を塗って悪化を防ぐ治療法)により「寛解維持」を行います。薬の使用間隔を患者さんの状態に応じて調整しながら減らすことで、薬の副作用を避けながらこの状態を維持できるようにしていきます。様々なお薬がありますが、ステロイド外用剤が治療の基本となるお薬です。

治療を開始すると、多くの方はすぐに見た目がきれいになります。しかし、目に見えない皮膚の部分も見える湿疹の部位と同じ炎症があることがわかっています。湿疹が見えない部分のところの治療をやめてしまうと、湿疹がまだでてきてしてしまいます。治療のポイントは、抗炎症作用のある薬でしっかりと皮膚の炎症を抑えたあと、すぐに抗炎症治療をやめずに、徐々にお薬をへらしていくことで、炎症を抑えた状態を維持し、見えない部分の炎症もよくしていくこです。

12歳以上の中等症以上のアトピー性皮膚炎のお子さんで、ステロイド外用薬でも十分にコントロールできない場合は、経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬による治療が可能です。導入前にスクリーニング検査(血液検査やレントゲン検査)を行います。

重症のアトピー性皮膚炎のお子さんや外来通院で湿疹のないすべすべのお肌を維持できない場合は入院治療を行うこともあります。全身に湿疹がひろがって学校にいけないほど湿疹に困っている、夜も寝られないなど日常生活に大きな問題がでている、全身状態が悪い場合は、緊急受診が可能です。予約センターでご相談ください。

ステロイド外用薬の副作用について

ステロイド外用薬の副作用については、「免疫抑制」、「成長障害」、「糖尿病」などを聞いたことがあるかもしれませんが、これらは、外用(塗る)ではなく全身投与(内服や注射)で使用した場合のものです。

また、ステロイド外用薬の使用で皮膚に色素沈着(黒ずんだ色調になること)が起こるのではないかと心配される方も多いのですが、これは薬剤の副作用ではなく皮膚の炎症が長く続いたことによるもので、湿疹の治療により改善します。

ステロイド外用薬を長期に使用すると皮膚が薄くなったり、にきびなどの局所的な副作用が出現したりすることがありますが、当センターでは薬の使用間隔を患者さんの状態に応じて調整しながら減らすことで、このような副作用を回避します。着実に薬剤を減らしながら湿疹のないお肌を維持できるようにします。

アトピースクール入院

外来でアトピー性皮膚炎のコントロールがうまくいっていないお子さんはいませんか?
入院プログラムがありますのでお気軽にお問合せください。

短期入院プログラム

目的:
児自身が自立してお肌のケアができるようになることを目的とします。
場所:
成育医療研究センター入院病棟。
内容:
医師や看護師や小児アレルギーエデュケーターによりアトピー性皮膚炎をきちんとコントロールするための知識や方法について講義、指導、支援します。
期間:
1-2週間の入院プログラムです。
参加資格:
アレルギーセンターを受診したことがある方を対象としています。他医療機関からの紹介もお引き受けいたしますので、まずは初診外来を予約いただき外来受診時にご相談ください。
その他:
保険診療で行います。院内学級への転校はありません。

長期入院プログラム

目的:
まず、かゆみのないつるつるぴかぴかの皮ふ・湿疹ゼロを目的とします(寛解導入)。そのあと、つるつるピカピカを維持することを目的とします(寛解維持)。児自身が自立してお肌のケアができるようになることも目的とします。
場所:
成育医療研究センター入院病棟
内容:
お薬を減らして寛解維持ができるまでしっかり入院治療を行います。寛解導入をしたあと、プロアクティブ療法で寛解維持を目指します。12歳以上のお子様については、経口JAK阻害剤の併用を行う場合があります。医師や看護師や小児アレルギーエデュケーターによりアトピー性皮膚炎をきちんとコントロールするための知識や方法について講義、指導、支援します。
日時:
重症度によって入院期間が異なります。1か月以上となります。
参加資格:
アレルギーセンターを受診したことがある方を対象としています。他医療機関からの紹介もお引き受けいたしますので、まずは初診外来を予約いただき外来受診時にご相談ください。
その他:
保険診療で行います。院内学級へ転校していただき、院内学級の授業を参加しながら、治療を行います。(欠席扱いになりません)

治療の継続のために

アトピー性皮膚炎の治療は毎日続ける必要があるため、お子さんが嫌がる場合や、掻く行動が繰り返される場合(習慣的掻破行動)には困難なこともあります。このようなとき、周囲の環境やご家族など大人の対応を変えることで解決策を見いだせることがあります。当センターでは応用行動分析(行動療法)に基づいた解決策を一緒に考えていきます。


アトピー性皮膚炎 国立成育医療研究センターの治療方針

ガイドラインに基づいた標準的治療を基本とし、信頼性の高い最新の医学的エビデンスを取り入れ患者さんごとに決定します。患者さんとご家族が病気を克服し、QOL(生活の質)を高められることを目標とします。

どんな重症の患者さんも、薬の副作用を回避しつつ湿疹のないお肌で過ごすことを目指した治療を行います。ステロイドに対する不安など治療の前に遠慮なくご相談ください。

患者さんとご家族が正しく効果的なスキンケアの手技を身につけることができるよう、医師と看護師、PAE(小児アレルギーエデュケーター)などのスタッフが協力して支援します。

アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、いろいろな医療機関で診療を受けたにも関わらず、治らないという経験がある方が多くいらっしゃいます。しかし、実際には、外用薬の塗り方が間違っていたり、適切な指導を受けられていなかったりすることも多々あります。当センターでは、アトピー性皮膚炎に対する正しい知識を伝えるとともに、お子さんにあわせて治療を行います。

また、当センターでは、重症のアトピー性皮膚炎で、成長障害や電解質異常をきたしてしまった患者さんの診療経験も豊富です。低たんぱく血症をきたすような全身状態も悪い重症のアトピー性皮膚炎のお子さんも、3年後には寛解維持のためにステロイド外用薬の間欠塗布によるプロアクティブ療法で95%が使用頻度を週2日以下へ減量が可能となっており、良好な寛解を維持できていました(アレルギー、2021 年 70 巻 10 号 p. 1383-1390)。これまでにどんなに治療をしてもうまくいかなかったお子さんも、しっかりと時間をかけて治療を行うことで、皮膚を良い状態にコントロールすることが出来ます。

緊急受診が必要な場合

全身に皮膚炎が広がる、かゆみのために眠れない・学校に行けないなど重症で緊急性が高い場合には早めに予約をいたします。予約センターへ直接ご連絡いただくか、かかりつけの医療機関までご相談ください。

参考書籍

最新版 アトピー性皮膚炎をしっかり治す本 (法研) 大矢幸弘


受診方法

外来は、救急センターを除いてすべて予約制ですので、当院で受診される方は『事前予約』が必要です。

国立成育医療研究センターでは、事前予約制を導入しております。当院での受診を希望の方は他院からの診療情報提供書(紹介状)をお手元にご用意の上、予約センター(電話 03-5494-7300)で予約をお取りになってからご来院ください(予約取得時に、紹介状の確認をしております)。紹介状をお持ちでない場合、別途選定療養費がかかります。詳しくは、予約センターにお問い合わせください。
なお、緊急で受診が必要なときは、現在かかっている医療機関の医師から直接、医療連携室(TEL:03-5494-5486 (月~金 祝祭日を除く 8時30分から16時30分))へご連絡をお願い致します。

予約センター(代表)

03-5494-7300

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


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