国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
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肥厚性皮膚骨膜症 | 子どもの病気

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肥厚性皮膚骨膜症とは

以下の3つの特徴をもつ病気です。
  • (手足の指先が広くなる)太鼓ばち指
  • 長管骨(腕や脚の部分の細長い骨)の骨膜性骨肥厚(レントゲン写真でみられる)
  • 皮膚肥厚性変化(脳回転状頭皮を含む)
原因は遺伝子の異常であることがわかっています。ただし、一つ一つの症状は、別の病気に伴って現れることがあり(2次性、続発性といいます)、肺がんなどによるものが知られています。
1868年、ドイツ人医師のFriedreichが、この3つの特徴をもった症例を最初に発表しました。その後、この病気はいろいろな名称で報告されてきました。現在ではVagueの提唱したpachydermoperiostosis(日本語では「肥厚性皮膚骨膜症」)の名称が、一般によく用いられています。肥厚性皮膚骨膜症は比較的近年になってくわしいことが分かってきた病気のひとつです。
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肥厚性皮膚骨膜症の症状

(肥厚性皮膚骨膜症ホームページhttp://www.pdp-irp.org/patient/index.htmlから引用)
  • ばち指:頭の皮膚が厚くなり、脳のようなシワが出来た状態。
  • 骨膜性骨肥厚:おもに長管骨(腕や脚の部分の細長い骨)の外側の硬い部分(骨皮質)が厚くなってしまった状態。
  • 皮膚肥厚:皮膚が厚くなりしわが深くなります。主におでこ、頭皮(脳回転状頭皮)に現れます。
  • 脳回転状頭皮:頭の皮膚が厚くなり、脳のようなシワが出来た状態。 
肥厚性皮膚骨膜症はさまざまな合併症がみられるのが特徴です。2011年、肥厚性皮膚骨膜症に関する研究班により初の全国患者調査が実施されました。
研究班が作成した病気の症状に関する詳しいアンケートについて医療機関から43件の回答があり、そのうち重複例などを除いた33例について合併症の頻度が調査されました(括弧内=該当症例数 / 無回答を除いた総数 x 100%)。

皮膚症状

脂漏・油性光沢(69%)、ざ瘡(65.5%)、多汗症(34,5%)、脂漏性湿疹(16.7%)

関節症状

関節痛(51.7%)[運動時関節痛(30.3%)、安静時関節痛(9.1%)]、関節腫脹(42.4%)、関節水腫(24.2%)、関節の熱感(9.1%)、骨折歴(6.3%)

その他

貧血(18.2%)、発熱(15.6%)、胃・十二指腸潰瘍(9.4%)、低カリウム血症(9.1%)、自律神経症状(9.1%)、易疲労性(6.1%)、粗毛症(3%)、思考力減退(3%)、頭蓋骨癒合不全(3%)

肥厚性皮膚骨膜症の原因

2008年、原因となる遺伝子のひとつ、HPGDがはじめて発見されました。続いて2012年、中国やドイツ、そして当センター研究班に協力してくれた患者さんからも同じ遺伝子に変異があることが発見されました。その遺伝子はSLCO2A1といいます。どちらの遺伝子も、プロスタグランジンE2( PGE2:発熱や骨吸収などに関与している生理活性物質のひとつ)に関係した働きをもった遺伝子でした。HPGD遺伝子が作り出す蛋白は、プロスタグランジン分解酵素ですから、この働きが悪くなるとPGE2が分解されなくなり、患者さんの身体の血液中、尿中の濃度が高くなります。一方、SLCO2A1遺伝子が作り出す蛋白はPGE2の輸送蛋白であり、細胞外にあるPGE2を細胞内に取り込みます。先にご紹介したPGE2分解酵素は細胞内にありますから、PGE2が細胞内に取り込まれないとPGE2分解酵素が働くことができません。結果的に患者さんの血中、尿中のPGE2の濃度が高くなります。
しかし、PGE2が体の中で余ってしまうとなぜ、皮膚や骨に変化が生じるのか、詳しいことはあまり良くわかっていません。当センターでは研究所周産期病態研究部と連携して正確な診断をつけるための遺伝子診断や、現在の状態を知るために血液や尿の中のPGE2濃度の測定、症状をスコアとして記録して症状の強さとPGE2濃度が関連しているかなどの調査研究を行っています。

肥厚性皮膚骨膜症の治療方針

肥厚性皮膚骨膜症は、対症療法が試みられています。関節症状には一時期コルヒチンという薬剤が用いられていましたが、効果は十分ではありませんでした。最近では骨の吸収に作用するビスホスホネートという薬の内服や、関節滑膜除去術などの手術が試みられているケースもあります。
今のところ発症を遅らせるような治療法はありません。顔面皮膚皺壁や脳回転様頭皮には形成外科的なアプローチが試みられています。

国立成育医療研究センターの診療体制

当センターでは本症の合併症が多岐にわたることから多くの専門診療科医師が連携して診療にあたります。診療の中心メンバーは以下の8名です。
  • 皮膚科医長 新関 寛徳
  • 整形外科医長 関 敦仁
  • 放射線診断科医長 宮坂実木子
  • 消化器科医長 新井 勝大
  • 腎臓・リウマチ・膠原病科医員 亀井 宏一
  • 内分泌・代謝科医長 堀川玲子
  • 病理診断部医長 松岡健太郎
  • 臨床検査部部長 奥山虎之

肥厚性皮膚骨膜症の診療実績(~2014年) 

  • 遺伝子診断による確定診断数 19例
    (うち当院通院患者数 9例) 男女比 18:1
    • 不全型(脳回転状頭皮を欠く)症例 4例
    • 完全型症例 15例

国立成育医療研究センターの診療のご案内

肥厚性皮膚骨膜症と診断される前で、肥厚性皮膚骨膜症の3主徴が出現し本症が疑わしい時は、皮膚科新関の初診(毎火曜、金曜)をご予約ください。かかりつけ医からの紹介状を持参してください。
他院で肥厚性皮膚骨膜症と診断され、当院での診察をご希望される場合は、主治医の先生と相談していただき、主治医の先生から当院への連絡をお願いしてください。
  • 外来は、すべて予約制ですので、当院で受診される方は『事前予約』が必要です。
当院での受診を希望の方は他院からの診療情報提供書(紹介状)をお手元にご用意の上、予約センター(電話 03-5494-7300)で予約をお取りになってからご来院ください(予約取得時に、紹介状の確認をしております)。詳しくは、予約センターにお問い合わせください。

予約センター (直通)

03-5494-7300

月~金9時~17時 (祝祭日を除く)にお電話ください。

※他施設入院中の患者さんへ
  • 当院受診時に他施設入院中の患者さんの診察料は自費扱いとなります。
  • ご家族のみでご来院の場合も、同様の扱いとなります。
  • 他施設で診断され、当院への受診を希望される場合は、主治医の先生と相談し、当院へ紹介していただくようお願い致します。紹介状は、必ずご持参くださいますようお願いいたします。

他の医療機関からの問い合わせ先(患者転院の御依頼)

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転院に際して、以下の準備をお願いします。
  • 診療録(必要な情報を含む箇所)のコピー
  • 紹介状(時間的余裕がない場合は結構です。)
  • 血液検査結果、X線検査などの画像検査のコピー