国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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食物アレルギー


食物アレルギーとは

食物アレルギーってなに?

食物アレルギーの定義は「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」です。簡単に言うと、「本来は体に害を与えない食べ物を異物と勘違いし、免疫反応が過敏に働いてしまう現象」です。その結果、蕁麻疹(じんましん)やかゆみ、咳などが引き起こされます。時に、アナフィラキシー(発症後、極めて短い時間のうちに全身性にアレルギー症状が出る反応のこと.血圧の低下や意識障害などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態になることもあります.この生命に危険な状態をアナフィラキシーショックといいます)という重い症状が出ることがあるため注意が必要です。

どんな食べ物が原因になるの?

年齢や、国、そして個人によって原因の食べ物は異なります。日本では食物アレルギーの原因の食物として、鶏卵、牛乳、小麦が全体の70%を占め、特に鶏卵は40%近くを占めます。しかし、個人によって原因の食べ物は異なりますのでしっかりと診断することが重要です。

どんな症状が出るの?

症状は大きく、皮膚症状、粘膜症状、呼吸器症状、消化器症状、神経症状、循環器症状に分けられます。それぞれの代表的な症状は以下の通りです。

  • 皮膚症状:蕁麻疹(じんましん)、かゆみ、赤み、むくみ、湿疹
  • 粘膜症状:鼻汁(鼻水)、鼻閉(鼻づまり)、くしゃみ、口周りの違和感
  • 呼吸器症状:咳、喘鳴(呼吸時にぜいぜいと雑音を発すること)、声枯れ、呼吸困難
  • 消化器症状:嘔吐・はき気、下痢、腹痛
  • 神経症状:頭痛、活気の低下、意識障害
  • 循環器症状:血圧低下、不整脈、頻脈(心拍数が増加している状態)

どうして食物アレルギーになってしまうの?

本来は体に害を与えない食べ物を、なぜ異物と判断してしまうのでしょうか。異物と判断してしまうことを「感作」といいます。感作されてしまう原因に関してはまだすべてが明らかになっておりません。しかし、体の中で何らかの炎症やダメージがある部位で食べ物と出会ってしまうと、その食べ物を悪いものと勘違いしてしまい、感作されるのではないかと考えられています。そして、炎症やダメージがある部位の中で、小児期に最も重要な部位が湿疹のある皮膚であることが分かってきました。

つまり、湿疹のある皮膚と家の中にある小さな食べ物のかけらが出会ってしまうことによって、その食べ物を悪いものと勘違いして感作されてしまい、その後、実際にその食べ物を口から摂取した時に異物と判断し、免疫反応が過敏に働いてしまうというメカニズムです。日頃から皮膚をきれいに保つことが食物アレルギーの予防、治療に大切なのはこのような理由があるからです。

▸ プレスリリース(研究成果)

▸ 原論文情報

  • 題名:Application of Moisturizer to Neonates Prevents Development of Atopic Dermatitis. 
  • 掲載誌:Journal of Allergy & Clinical Immunology (11.248) Vol. 134, Issue 4, October 2014.
  • 著者:Horimukai K, Morita K, Narita M, Kondo M, Kitazawa H, Nozaki M, Shigematsu Y, Yoshida K, Niizeki H, Motomura K, Sago H, Takimoto T, Inoue E, Kamemura N, Kido H, Hisatsune J, Sugai M, Murota H, Katayama I, Sasaki T, AmagaiM, Morita H, Matsuda A, Matsumoto K, Saito H, & Ohya Y

食物アレルギーの検査・診断

問診

まずは問診が大切になります。何歳ごろ、何を、どれくらい食べて、何分後に、どんな症状が出たのか。という詳細な情報から、原因となる食物、重症度などをある程度予測することができます、受診した際には今までの経過を詳しくお聞きします。

血液検査

血液検査にもいくつか種類がありますが、最も一般的なものは、「特異的IgE」を測定するという検査です。IgEとは、感作の程度を表しているものでIgEが高いほど、強く感作されています。しかし、検査が陽性となった食物でも、食べた時の症状を認めなければ食物アレルギーとは診断されず、除去する必要もありません。また、特異的IgE抗体の値からは、食べられる可能性がある食物の量や、誘発される症状の強さを正しく推定することは困難です。そのほかにも、好塩基球ヒスタミン遊離試験や、好塩基球活性化試験などがあります。どの検査が必要なのかは個人で異なりますので、医師と相談して決めましょう。

皮膚プリックテスト

皮膚の上に直接アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)液を置いて、プリックテスト専用の針で、アレルゲン液を置いた部分の皮膚を、軽く刺します。アレルギーの可能性があると、針で刺された部位に膨疹ができます。

食物経口負荷試験

上記の検査である程度の診断はできますが、確定診断には至りません。食物経口負荷試験は問診や血液検査、皮膚検査で疑われた食品を実際に病院で摂取してみる検査です。実際に食べてみて症状の有無を判定するので、最も確実な診断法になります。症状が出る可能性がありますが、医療スタッフがずっと近くにいる状態で摂取しますし、症状が出現した際には速やかに対応します。


国立成育医療研究センターアレルギーセンター 食物アレルギーの診療方針

食物アレルギーの治療には、一般的には抗原食物を完全に除去する方法(完全除去)、摂取しても症状が出ない量まで摂取可能とする方法(部分除去)などがあります。乳幼児期の食物アレルギーは年齢を経るにつれ改善し、自然に治癒していく可能性も高いことがわかっており、食品の種類や年齢、アレルギーの重症度などを考慮し治療法を選択します。

経口免疫療法

当科では食物アレルギーを治療するための食物経口免疫療法(経口減感作療法)に国内でいち早く2004年から取り組んできました。食物経口免疫療法とは抗原食物を、摂取しても安全な少量から、継続して摂取していくことで、体がその抗原食物に慣れていき(耐性獲得)、次第に摂取量を増やしても症状が出ないようになっていく治療法のことを言います。

当科では希望される患者さんにだけ研究レベルでの治療を行っており、様々な方法で経口免疫療法の開発に取り組むことで大勢の患者さんの治療に成功しましたが、まだ完成の域には達していません。すなわち、自己流で行うと非常に危険を伴う治療法であることに変わりはありません。

現在も当科ではより安全で効果的な免疫療法の開発を目指して研究を続けております。食物アレルギーの患者さんは個人差が大きいため、同じ治療を受けてもうまくいく方とうまくいかない方がおられます。当科では、この経口免疫療法を行うかどうかについては、食品の種類や生活スタイル、患者さんの性格・年齢、アレルギーの重症度などを総合的に判断しながら、主治医とよく相談して決定しています。

いずれにしても、この経口免疫療法は現在でも専門施設で専門家により行われる研究段階の治療と言え、経口免疫療法を希望される患者さんは臨床研究に参加して頂く必要があることをご理解頂いた上で、受診下さいますようお願い致します。


緊急時の対応(アナフィラキシーアクションプラン)

アレルギー症状には、かゆみ、蕁麻疹(じんましん)などの皮膚の症状、咳、ぜん鳴などの呼吸器の症状、鼻水、唇のはれなどの粘膜症状、嘔吐や下痢などの消化器症状のほかに、全身性のアナフィラキシー、また血圧低下を来たしアナフィラキシーショックを起こす場合があります。

除去が必要な抗原食物を誤って食べた際にアナフィラキシーショックを起こす危険性のある患者さんには、アドレナリン自己注射液を持っていただくように勧め処方しています。

アナフィラキシーショックの際には、アドレナリン自己注射液を速やかに使用することが重要です。しかし、実際には使用の判断が患者さん本人やそのご家族、教職員など、その場にいる医療者ではない方に委ねられるため、「いつ使えばよいのか」「本当に使ってよいのか」迷うケースが多いのが現実です。そこで、アレルギー科ではアドレナリン自己注射液を使う時の指標になるような行動規範(=アクションプラン)を作成しております。下のリンクから自由にダウンロードできますので、主治医とご相談の上ご活用ください。