国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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国立成育医療研究センターについて About National Center for Child Health and Development

国立成育医療研究センターについて About National Center for Child Health and Development

妊娠と薬情報センター:授乳とお薬について

授乳とお薬について

母乳には多くの良い点があることが知られています。このため赤ちゃんを母乳で育てたいと望まれるお母さんはたくさんいらっしゃいます。それでも、お母さんがお薬を使用している場合は、赤ちゃんへの影響が気になるところです。
世の中には本当に多くのお薬がありますが、お母さんがお薬を使用すると、ほとんどのお薬は母乳中に移行するといわれています。でも、ほとんどのお薬は、「母乳中に移行するけれども、その量は非常に少ない」ことが知られています。
ですから、お薬を飲んでいるお母さんが必ずしも母乳をあげることをあきらめなくてはいけないわけではないですし、また母乳をあげるために必ずしもお薬をやめる必要はありません。個々のお薬についての十分な情報をもとに、主治医の先生と相談しながら決めていくことが大切です。

母乳栄養の優れた点

母乳の研究が目まぐるしく進み、母乳栄養が粉ミルクに比べて優れている点がたくさん分かってきました。感染症の予防、免疫や神経発達を促す優れた効果、また母児間の愛着形成を促す効果、その他多くの優れた点が科学的に証明されてきたのです。残念ですが、ひとたび母乳をやめてしまうと、ホルモンの変化などにより母乳を再開することは困難になります。

お薬がたくさん入った母乳がつくられるの?

母乳はお母さんの血液からおっぱいの乳腺で作られます。お母さんの体に入ったお薬は、血液に乗って乳腺に届きます。ただし、8割くらいのお薬は、母乳が作られるときにお母さんの血液よりも、かなり薄くなることが分かっています。数少ない濃くなるお薬でも、実際に赤ちゃんがお薬の入った母乳を飲んで、赤ちゃんの血液に届いて、赤ちゃんの体のどこかにお薬が働くにはたくさんの道のりがあります。この道のりを経て影響を起こすお薬は、とても限られているのです。

お薬の授乳への影響

日本では赤ちゃんへの影響を心配しすぎて、簡単に母乳をやめてしまう傾向があります。この理由は2つあります。1つには「お薬を飲んでいると母乳をあげられない」という慣習が私たちに根付いているからです。「粉ミルクがあるから」と母乳をやめたり、「なんとか我慢しよう」とお母さんがお薬を飲むのをあきらめたりしてきました。もう1つにはほとんどのお薬の説明書に「授乳を中止」と書かれているため、アドバイスをする医師もそのように説明してきたからです。この説明書も科学的な裏づけに乏しく、今の時代にそぐわない点が指摘されています。

「安全に使用できると思われる薬」「授乳中の治療に適さないと判断される薬」

妊娠と薬情報センターでは、2つの表を作成しました。「安全に使用できると思われる薬」と、「授乳中の治療に適さないと判断される薬」の表です。これらは、国内外の様々な最新の医学的研究報告に基づいて作られています

以下の注意点を、理解した上で、表をご覧ください。

  • 授乳中の影響について作成された表です。(妊娠中のお薬の影響とは異なります)
  • 「安全に使用できると思われる薬」は、これまでの科学的な情報をもとに評価を行い、授乳期でも安全に使用できると考えられる薬です。
  • 「授乳中の治療に適さないと判断される薬」は、病気とお薬を比べて考えると、明らかに授乳期の治療に適さないと判断される薬です。
  • この表に記載されていないお薬は、すべて適さないお薬でもありませんし、すべて安全なお薬でもありません。
  • 抗悪性腫瘍薬については情報が非常に限られていること、また適応疾患が悪性腫瘍であることから、短いコメントで評価をつけることは難しく、誤解を生むおそれがあるため、表にはしていません。同様に免疫抑制剤についても表にはしていません。
  • 自己判断ではなく、必ず医師と相談して、お薬の使用や中止を決めることが大切です。

医学は日々進歩しています。これからの研究によって、授乳とお薬に関する情報が変わることもあります。私たちは常に最新の情報をもとに、今後も改訂を行っていく予定です。
ご自分で使用されているお薬の成分名がわからない場合には、医薬品医療機器総合機構のホームページをご利用ください。

授乳とお薬の服用については、自己判断せずに相談を

「お薬を飲むかどうか」を悩まれたときには、お薬のことだけでなく、お母さんの病気も考えなくてはなりません。我慢をしてお薬を飲まないと、お母さんの病気が悪くなって子育てが出来なくなってしまいます。お薬を飲んでお母さんの体調を安定させることが、赤ちゃんの健康にも役に立つことが実は多いからです。しかし一方で病気の具合によっては、数時間ごとに母乳をあげることがストレスとなって、かえってお母さんの体調を悪くすることもあります。

私たちは、おひとりおひとりについて医師と十分に相談して、個別に決めていくことが大切と考えています。お母さんと赤ちゃんのこと、お薬と母乳のこと、それぞれを良い点と悪い点から考えて、お母さんと一緒に決めていくものです。妊娠と薬情報センターでは授乳とお薬の相談外来を設けておりますので、悩まれた場合には一度ご相談ください。

妊娠と薬情報センター