国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
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患者・ご家族の方へ Patient & Family

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成人に達する(達した)患者さんへ 成人診療に関する考え方

国立成育医療研究センターでは、創立当初から健全な次世代を育成する医療を念頭に成育医療を提供してきましたが、10年余りを経て現実的な問題点が明らかになってきています。
この間、成人に達する(達した)患者さんの診療について、最も適切な医療のあり方がどのようなものであるかについても検討してきました。

国立成育医療研究センターの成人診療に関する考え方

これまでの振り返り

当センターの設立当初から、明文化されていないものの患者さんと医師をはじめとする医療スタッフの中に「当センターは、ずっと(一生)診療します」という思いや約束もありました。
しかし、後に述べるような状況と認識の変化により、「一生診ます」は実現困難と考えるようになりました(下図を参照ください)。また、当センターの施設や環境も、もともと成人にふさわしいとは言えません。そうした反省を踏まえて方針を再検討し、それを明文化することになりました。
成育が提供する医療の図2016.3.14最終修正の画像

今後のあり方

当センターは、「ずっと診て行きます」から「最もよい診療をともに考え、他の医療機関への紹介・連携を含めて医療の選択肢を提供します」に変わります(下図を参照ください)。
成人診療を主に行う他の医療機関で診療を受けることになった場合には、患者さん本人や家族の準備が必要なこともあります。また、時間をかけることも必要ですので、そのように対応します。
当センターでは、「トランジション外来」という外来を設けて、さまざまな相談をお受けし、成人にふさわしく診療を受けるための支援を行っています。ご希望やご質問のある方は担当医に相談ください。
図5の画像

「成人診療に関する考え方」を公表するに至った背景について

小児医療は、最近の30年ほどの間に急速に進歩してきました。その結果、多くの子どもたちの命が救われるようになりましたが、小児期に開始された医療を成人期にも継続する必要がある患者さんも増えてきました*。しかし、当センターでは、成人期の病気への適切な医療や成人に適した療養環境が十分に提供できません。そのため、移行期の患者さんが成人になっても、安心して最も適切な医療を受けられるようなしくみを、患者さんと一緒に作ることは、当センターに課せられたとても重要な課題になっています。
*小児期に開始された医療を成人期にも継続する必要がある患者さんは、小児期の医療に代わって最終的には成人期にふさわしい医療が提供されるべきであることから「移行期の患者」と呼ばれます。また、その過程を「トランジション」あるいは「移行」と呼びます。

日本小児科学会の考え方

日本小児科学会でも、小児期に発症したさまざまな慢性の病気に対して移行期の適切な医療が提供できるように、基本的な考え方を提言として発表しています**。
当センターでもこの提言と同じ考え方で対応したいと考えています。提言の基本的考え方は、次のようです。
  1. 患者の自己決定権を基本にして、患者が選択できるようにすべきこと
  2. 年齢とともに変化する病態や変遷する合併症に対応できる医療の開発と「小児医療から成人医療へ」の切れ目ない診療が必要であること
  3. 人格の成熟過程に基づいた相応の対応ができるようにすべきこと
  4. 疾患・病態により異なる、多様な対応が用意されるべきこと
**日本小児科学会 移行期の患者に関するワーキンググループ.
小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言.日本小児科学会雑誌 118(1): 98-106, 2014 または、「小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言」について|公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

この提言に基づく移行期(トランジション)医療の概念図を、以下に示します。子どもの時期の病気は治療の結果や合併症が加わって変化し、成人になると小児科にはなじみのない病気も現れてきます。成人の体に起こることは成人診療科が専門としており、しばしば小児科医よりもすぐれた診療を提供できます。また、多くの患者さんは、保護される立場から自律して判断できる成人になって行きます。このような変化に合わせて、成人期にふさわしい医療が切れ目なく提供されて行くべきです。

横谷進:内分泌代謝疾患のトランジション医療. 内分泌代謝専門医ガイドブック 改訂第3版.診断と治療社,2012;397より許諾を得て引用。一部改変。
トランジション医療の概念図2016.2.29修正の画像

厚生労働省のモデル事業

厚生労働省では、改正児童福祉法に基づいて2015年1月1日より「小児慢性特定疾病制度」を新たに開始しました。しかし、この制度は成人期を対象にできないので、「小児慢性特定疾病児童成人移行期医療支援モデル事業」を2015年度から開始して、小児慢性疾病の子どもたちが成人になってからも適切な医療機関で継続的医療を受けられることを目標にしています。当センターは、この事業の事務局となって全国の関係者とともに取り組んでいます。

2016年3月24日
病院長