国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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患者・ご家族の方へ Patient & Family

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多胎妊娠外来

診療日:毎週火曜日午後

多胎(ふたご、みつご)の妊娠では早産、妊娠高血圧症候群など様々な合併症が増加することが知られています。また、ふたごの種類によって、双胎間輸血症候群など特殊な合併症なども存在します。双胎外来は特にリスクの高い一絨毛膜双胎や品胎(みつご)を中心に、リスクを十分に理解し、合併症の発症に注意しながら健やかな出産を目的としています。

はじめに

ふたご(双胎)のご妊娠おめでとうございます!
一度に二人の生命を授かり、喜びと不安の入り交じったお気持ちでいらっしゃる方も多いかと思います。ここでは今後よりよいマタニティーライフを送って頂けるように、双胎妊娠・分娩のリスクとその対応についてご説明させて頂きたいと思います。リスクや管理方法をしっかり理解し、不安を少なくして妊娠生活を送りましょう!
もちろん、心配な点や気になることがあったら気兼ねなく担当医にお尋ねください!

双胎妊娠の種類は何がある?

①絨毛が2つで羊膜が2つの2絨毛膜2羊膜双胎
②絨毛が1つで羊膜が2つの1絨毛膜2羊膜双胎
③絨毛が1つで羊膜が1つの1絨毛膜1羊膜双胎
の三種類があります。

少し聞き慣れない言葉だと思いますが
絨毛の数=胎盤の数
羊膜の数=胎児が成長する部屋の数
と考えて頂ければ理解しやすいと思います。

双胎の種類によって後述する妊娠のリスクや管理方法が異なりますので、当センターでは妊娠初期に必ず分類をしています。ただし、妊娠14週を超えて初診された場合で性別が同じ場合は膜性の診断は困難になることがあります。
また、よく耳にする1卵性・2卵性に関してですが、1卵性双胎は上記三種類いずれにもなり得ます。従来、2卵性双胎は必ず2絨毛膜性双胎になるといわれていましたが、最近では非常にまれですが2卵性1絨毛膜性の報告が散見されています。超音波では膜性しかわかりませんから、卵性に関しての確実な診断はできないということがいえます。

双胎妊娠の頻度は?

双胎妊娠の頻度は排卵誘発剤など生殖医療の発達により年々増加がみられます。1974年で~1976年の3年間は出産1000あたり5.8前後、1987年に6.6となり、その後は急上昇して2003年には11.0に達しています。 また、種類でわけると全双胎妊娠のうち①2絨毛2羊膜双胎は70-75%、②1絨毛2羊膜双胎は25-30%、③の1絨毛1羊膜双胎は1%以下程度です。
下に当センターでの双胎症例数を示しました。当センターでは関東地方を中心に胎児治療目的などで全国から双胎妊婦さんが集まってくる傾向があり、多くの双胎妊娠症例を管理させていただいております。

双胎妊娠のリスク

双胎妊娠では悪阻(つわり)、早産、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、HELLP症候群、子宮内胎児発育遅延、胎児形態異常、子宮内胎児死亡、血栓症などの合併症が単胎妊娠に比べておこりやすいことが知られています。特に、早産は多胎妊娠では頻度が高く、双胎妊娠の児の予後に大きく関わる合併症です。2000年から2008年までの日本人口動態統計によれば、37週未満の早産は54.3%と非常に高率です。しかし、近年では新生児医療の発達により早産で出生された児の予後は大きく改善されてきました。28週以降の出生であれば児の予後は比較的良好です。同統計では双胎妊娠における28週未満の早産率は2.4%ですので、ほとんどの場合、双胎妊娠の予後は不良ではありません。しかし、ハイリスクであるという認識のもと、妊婦さんも医療者も妊娠経過を見守っていく必要があると考えます。!

1絨毛膜双胎特有のリスク

1絨毛膜双胎では胎盤が一つの状態での妊娠になるため、臍帯を通じての胎児への栄養供給バランスの不均衡が生じることがあります。原因は主に2通り考えられていて、一つはそれぞれが占有する胎盤の面積が異なる場合、もう一つは胎盤内でお互いの血管が吻合している事によるといわれています。後者の場合、双胎間輸血症候群と呼ばれ進行例では児の予後は非常に悪いことが知られていますが、当センターでは双胎間輸血症候群症例に対して胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術を施行し、良好な成績が得られています。

また、他にまれな疾患として無心体双胎がありますが、こちらも当センターでは胎児治療を行っています。 妊娠中にこれらの状態になった場合(あるいはなりそうな場合)は、専門外来である胎児診療科を受診して頂いております。

1絨毛膜1羊膜双胎特有のリスク

両児を隔てる隔膜が存在しないため、臍帯相互巻絡がおこりやすく、胎児の突然死のリスクが高くなります。そして、この突然死のリスクは胎児が大きくなるに従って減少するものの30週を超えても数%程度の頻度で発生しうるとされています。1絨毛膜1羊膜双胎自体の頻度が低いため管理方針についての統一見解はありませんが、状態を考慮して症例毎に検討を行い、おおむね8ヶ月で管理入院、9ヶ月で計画的に分娩とします(帝王切開)。

双胎の妊娠管理方法は?

早産について

前述の合併症のうち、頻度が高く胎児の予後を大きく左右する早産の予防のため、妊娠20週前後、28週前後で経腟超音波により子宮頸管長を測定して切迫早産の早期診断に努めています(適宜追加もします)。また、子宮頸管長が短縮している(早産のリスクがある)と判断された場合は安静および子宮収縮抑制剤の点滴投与のため状況により入院管理とさせて頂いております。 この子宮頸管長による早産予測ですが、検査の特性上陰性的中率(早産リスクが低いと診断されて本当に早産にならない確率)は非常に高いのですが陽性的中率(早産リスクが高いと診断された本当に早産になる確率)は20-25%程度とされており、それほど高くありません。それでもハイリスクには相当するため、状況により入院管理を行いますが、入院になったからといって必ずしも早産に至るとは限らないことをご理解いただきたいと考えています。

双胎妊娠の場合、早産予防のため予防的頸管縫縮術(子宮の出口付近を縫合して子宮口が開かないようにする手術)を行うという意見もありますが、統計的に明らかなメリットが証明されていないこと、侵襲的な処置であることより当センターでは行っておりません。ただし、前回の分娩で明らかに子宮頸管無力症があると診断されている場合には子宮頸管縫縮術を行う事があります。 最近行われているプロゲステロン(早産予防の薬剤です)の注射投与についても双胎という理由だけでは使用しません。しかし、早産の既往がある場合にはご相談の上投与を行う事もあります。

双胎間輸血症候群・胎児発育遅延について

一絨毛膜性双胎の患者様の場合、前述した双胎間輸血症候群が急激に発症してくるリスクがあり(そのピークは18~24週程度と考えられていますが、何週でも発症し得ます)その早期発見・早期対応のため非常に密に超音波での評価をさせて頂きます。具体的なスケジュールとしては、胎児超音波を2週間おき、リスクが高いと判断した場合は毎週施行させて頂き、胎児の発育状況・羊水量・血流(臍帯動脈・静脈管・中脳大動脈)等を評価します。 1絨毛膜双胎のうち、双胎間輸血症候群や無心体双胎と診断された場合、胎児に関する特殊な管理が必要になることがありますので当センター内の「胎児診療科」で管理させていただくようにしています。

また双胎で発生しやすい合併症として、子宮内胎児発育遅延があります。その中でも胎児の発育がストップする場合があり、その際には放置すると胎児仮死や胎児死亡につながることがあると考えられています。そのため発育遅延が強い場合もしくは発育が停止している可能性があると判断した場合は入院管理とさせて頂き、明らかに発育が停止していると判断された場合や羊水量が減少している場合は子宮内での胎児死亡予防のため人工的に早産にする事があります。

胎児形態異常について

一絨毛膜性双胎の児は先天性の病気の有病率が単胎よりも高いことが知られているため、その早期発見のため20週前後と30週前後において胎児スクリーニング検査と呼ばれる精密な胎児超音波検査を行います(これは当センターでは単胎でも多くの方が受けられている検査です)

双胎妊娠の分娩方法は?

分娩については、産科的に分娩が可能と判断され、かつご本人・ご家族が充分にご理解された上で経腟分娩を希望された場合に経腟分娩を施行しています。逆にリスクを考慮した上で帝王切開を選択された場合は帝王切開をお受けしています。経腟分娩が可能な条件としては、

  1. 両児ともに頭位であること
  2. 32週以降であること
  3. 両児とも推定体重1500g以上であること

上記3点を全て満たす場合としています。ちなみに、第一子・第二子ともに分娩時に頭位である可能性は全体の42%程度とされています。 双胎妊娠の分娩時期として、37~38週での分娩が最も周産期死亡率が低いという報告や38週を超えて分娩になった場合は周産期死亡率が上昇するという報告があることから当センターでは37週前後での計画分娩を基本としています(経膣分娩・帝王切開いずれの場合も同様)。

また経膣分娩の場合、第一子娩出後の臍帯脱出、第二子の回転による骨盤位などで緊急帝王切開となる可能性があるため、事前にいつでも手術が行えるよう術前の検査をすべて行ってからの計画分娩とさせて頂いております。症例毎にご相談させて頂きますが、緊急での帝王切開に備えて無痛導入(=麻酔下)に分娩して頂くことを推奨しています。

その他双胎妊娠についての問題点

妊娠中の体重増加量

妊娠中の必要摂取量は単胎に比べて300Kcal/day余分に必要になります。また、胎児が一人増えるため妊娠中に薦められる体重増加量は単胎に比べて増加します。ただし、日本人のデータを用いた推奨値は存在しません。 2009年にアメリカから出された推奨値は妊娠前のBMI毎に設定されています。

  • 妊娠前BMI:18.5-24.9 16.8-24.5kg増加
  • 妊娠前BMI:25.0-29.9 14.1-22.7kg増加
  • 妊娠前BMI:30以上 11.4-19.1kg増加

{BMI=body mass index: 体重(Kg)/身長(cm)2} しかし、人種間の差もあるためこの推奨値をそのまま適応することはできません。実際の体重の問題は外来で主治医とご相談ください。

産後マタニティーブルー

分娩後、25%程度の両親が育児の疲労等の問題で産後うつになると言われています。これに、軽度のマタニティーブルーを含めると割合はもっと増えることが予想されます。妊娠中、産後を通じて不安が増大してきたとき等は無理をせず主治医にお伝えください。成育医療センターでは「育児診療科」という出産前後の精神的な問題の相談をお受けする診療科が存在します。場合により、育児診療科の受診をした方がよいかもしれません。

その他、双胎妊娠では単胎妊娠に比べて妊娠中の不安が多いかもしれません。二人の赤ちゃんを迎えて幸せな生活を送るためにも、些細な問題でも担当医にご相談されることをお勧めします。