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男女の平均身長差の一因が明らかに ~成長遺伝子SHOXの発現量が女性に比べ男性で多いことを発見~

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)の分子内分泌研究部 深見真紀部長、服部淳上級研究員、小児外科系専門診療部 関敦仁統括部長は、施設内外の共同研究者と協力して、「なぜ男性の方が女性より平均身長が高いのか」という課題の解決に取り組みました。研究の結果、成長遺伝子SHOX1の発現量の性差が男女の平均身長の差の一因となっていることが示唆されました。
本研究では、男女の膝や指の軟骨組織のSHOX発現量を解析しました。その結果、女性に比べ男性でSHOX発現量が多いことがわかりました。さらに男女のSHOX周辺のDNAメチル化2 (DNAの化学的修飾)状態を比較した結果、女性では「X染色体不活性化3」 という機構でSHOXの発現が抑制されていることが示唆されました。
本研究成果は国際的な学術誌「Scientific Reports」に2024年4月5日に掲載されました。

[1]SHOX遺伝子:骨の成長を促すタンパクを作る遺伝子の一つ。
[2]DNAメチル化:メチル基と呼ばれる小さな化学基がDNAに結合すること。DNAメチル化が生じると、多くの場合その遺伝子から作られるタンパク質の量が変化します。
[3]X染色体不活性化:性染色体であるX染色体が複数ある場合に、1本だけが活性のまま残り、それ以外では染色体の構造変化が生じて遺伝子の発現が抑制されること。
SHOX発現量の性差の図

プレスリリースのポイント

  • これまでSHOX遺伝子は、男女の軟骨組織で同じように働いて骨を伸ばしていると信じられてきました。しかし今回、男女の膝や指の軟骨組織の遺伝子発現量を詳細に解析したことによりはじめて、男性の軟骨組織では女性の軟骨組織よりもSHOX遺伝子の発現量が多いことが明らかになりました。
  • 女性では「X染色体不活性化」という現象によって、SHOX遺伝子やその周辺に位置する遺伝子の発現が抑えられていると推測されます。
  • 本研究の成果は、長年謎であった「平均身長の男女差」を理解する大きな一歩となるとともに、低身長患者さんの診療にも役立つことが期待されます。

発表論文情報

英文タイトル: 『Expression levels and DNA methylation profiles of the growth gene SHOX in cartilage tissues and chondrocytes』
和文タイトル: 『軟骨組織と軟骨細胞における成長遺伝子SHOXの発現量およびDNAメチル化プロファイル』
著者名: 服部淳1), 2)、関敦仁3)、稲葉尚人3)、中林一彦4)、武田和江5), 巽国子6)、内木康博7)、中村明枝1)、石渡啓介4)、松本健治5)、那須道世6)、岡村浩司8)、道上敏美9)、福井由宇子1)、梅澤明弘6)、緒方勤10), 11)、鏡雅代1)、深見真紀1), 2)
所属:
1) 国立成育医療研究センター研究所 分子内分泌研究部
2) 国立成育医療研究センター研究所 ダイバーシティ研究室
3) 国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部 整形外科
4) 国立成育医療研究センター研究所 周産期病態研究部
5) 国立成育医療研究センター研究所 免疫アレルギー・感染研究部
6) 国立成育医療研究センター研究所 再生医療センター
7) 国立成育医療研究センター小児内科系専門診療部 内分泌・代謝科
8) 国立成育医療研究センター研究所 システム発生・再生医学研究部
9) 大阪母子医療センター 骨発育疾患研究部門
10) 浜松医科大学医学部附属病院 小児科
11) 浜松医療センター 小児科
掲載誌: Scientific Reports
DOI: 10.1038/s41598-024-58530-9

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

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