国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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SGA性低身長症における遺伝要因を解明

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)の分子内分泌研究部・原香織研究員・中村明枝研究員・鏡雅代室長らのグループは、原因不明のSGA性低身長症 1 140例に対し、包括的な遺伝子解析を実施し、65例 (46%) の原因を特定しました (インプリンティング疾患 2 46例、病的なコピー数異常 8例、成長に関連する遺伝子の病的変異 11例)。SGA性低身長症は小さく生まれたこと (small for gestational age (SGA)) による低身長で、環境因子、母体因子、胎児因子など複合的な要因によって生じるため、その多くが原因不明のまま治療を開始されています。本研究は原因不明のSGA性低身長症に対して包括的な遺伝子解析を実施したこれまでで世界最大規模の研究であり、SGA性低身長症における遺伝要因の正確な影響を明らかにしました。

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プレスリリースのポイント

  • インプリンティング疾患を含めた包括的遺伝子解析を行うことで、SGA性低身長症の約半数の遺伝要因を特定しました。本研究により、SGA性低身長症の原因精査における包括的遺伝子解析の臨床的意義を証明することができました。
  • SGA性低身長症の遺伝要因を明らかにすることで、遺伝要因別の成長ホルモン治療に対する反応性や将来的に起こり得る合併症を予測できる可能性を示しました。

背景・目的

SGA性低身長症の遺伝要因は、インプリンティング疾患、病的なコピー数異常、成長に関連する遺伝子の変異など、多岐に渡ります。しかしながら、これらの要因を包括的に検討した報告は非常に少なく、症例数も限られていました。

研究グループは、原因不明のSGA性低身長症症例を集積し、メチル化解析、コピー数解析、次世代シーケンシングを組み合わせた包括的遺伝子解析を行いました。本研究は、原因不明のSGA性低身長症における遺伝要因の影響を明らかにすることを目的としました。


今後の展望・発表者のコメント

本研究は、SGA性低身長症におけるインプリンティング疾患の影響の大きさを示し、インプリンティング疾患の評価を含めた包括的遺伝子解析の重要性を世界で初めて提示することに成功しました。今後、未知のSGA性低身長症の原因が明らかにされることで、患者にとってより良い医学的管理が可能になるだけでなく、新たな疾患概念の確立にもつながる可能性があります。


発表論文情報

タイトル:
Pathogenic copy number and sequence variants in children born SGA with short stature without imprinting disorders

著者:
Kaori Hara-Isono1,2*, Akie Nakamura1,3*, Tomoko Fuke1, Takanobu Inoue1, Sayaka Kawashima1, Keiko Matsubara1, Shinichiro Sano1,4, Kazuki Yamazawa1,5, Maki Fukami1, Tsutomu Ogata1,6,7, Masayo Kagami1
*These authors contributed equally to this work.

所属:
1) Department of Molecular Endocrinology, National Research Institute for Child Health and Development, Tokyo 157-8535, Japan, 2) Department of Pediatrics, Keio University School of Medicine, Tokyo 160-8582, Japan, 3) Department of Pediatrics, Hokkaido University Graduate School of Medicine, Sapporo 060-8648, Japan, 4) Department of Endocrinology and Metabolism, Shizuoka Children’s Hospital, Shizuoka, 420-8660, Japan, 5) Medical Genetics Center, National Hospital Organization Tokyo Medical Center, Tokyo 152-8902, Japan, 6) Department of Biochemistry, Hamamatsu University School of Medicine, Hamamatsu, 431-3192, Japan, 7) Department of Pediatrics, Hamamatsu Medical Center, Hamamatsu, 432-8580, Japan

掲載誌:Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism
DOI: https://doi.org/10.1210/clinem/dgac319

特記事項

日本医療研究開発機構(AMED)・難治性疾患等実用化研究事業「インプリンティング異常症および関連疾患の臨床像および治療法に関する研究」および武田科学振興財団ビジョナリーリサーチ研究からの支援を受けました。


参考

1 SGA性低身長症: 小さく生まれたことによって生じる低身長症。在胎週数に比して身長および体重が小さく出生した児 (small for gestational age (SGA)) が、2歳までに成長が追いつかない場合、SGA性低身長症と定義され、成人の低身長の原因の約20%を占める。身長の改善を目指して成長ホルモン治療が行われるが、その反応には個人差が大きい。
2 インプリンティング疾患: 父あるいは母由来からのみ発現するインプリンティング遺伝子の発現異常によって生じる疾患。SGA性低身長症を伴う代表的なものにシルバーラッセル症候群がある。

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


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