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保護者の方へ(新生児マススクリーニング)

新生児マススクリーニングで「陽性」となった赤ちゃんの保護者の方へ

「新生児マススクリーニング」とは

ヒトの様々な病気の中には、生後すぐに診断し治療を始めることによって、症状の出現・進行を予防できるものがあります。そのような病気を見つけるために行われているのが「新生児マススクリーニング」と呼ばれる検査です。新生児マススクリーニング検査は、1950年代にアメリカで実用化され、日本へは1977年、全国一律に行われる検査として導入されました。以来30年余にわたって、4種類の「先天性代謝異常症」と、2種類の「内分泌疾患」を対象として続けられてきましたが、2013年より新たな検査法「タンデムマス法」が採用されて対象が拡大し、2019年現在 20疾患がスクリーニングされています。

新生児マススクリーニングは、病気の可能性がある赤ちゃんを「拾い上げる」検査であり、「陽性」という結果の通知があっても、病気と決まったわけではありません。
精査の結果「正常」と判定される「偽陽性」の場合もあります。また、症状が現れてから診断される場合とは異なり、積極的な治療がなくても症状を示さないような「軽症例」と判断されるケースも少なからず生じます。
以下、本サイトでご説明する内容については、このような点を踏まえた上でご覧ください。これは本サイトで採り上げるすべてのスクリーニング項目に共通する重要な注意事項です。

「先天性代謝異常症」とは

私たちの体では、生命活動の一環として、様々な物質が合成されたり分解されたりしています。「代謝」とは、このような物質処理の流れを指す言葉です。
ある物質を別の物質に変換する化学反応には「酵素」の働きが必要です。個々の物質・化学反応に応じて、それぞれ専用の酵素が生まれつき備わっています。
体内で働いている膨大な種類の酵素のうち、いずれかの機能が十分でないと、その酵素が分解すべき物質が増えすぎたり、逆にその酵素が合成するべき物質が不足する、といった状況が出現します。赤ちゃんたちの中には、酵素の機能が生まれつき十分でないために、様々な症状が出てしまう子たちがいます。このような病気の総称が「先天性代謝異常症」です。


「内分泌疾患」とは

体内には「内分泌器官」と呼ばれる器官が、あちこちに分散した形で存在しています。「下垂体」「甲状腺」「副甲状腺」「副腎」「卵巣/精巣」「膵臓ランゲルハンス島」などです。これらの器官から分泌される物質は、血液によって運ばれて遠く離れた標的部位に作用し、様々な効果を発揮します。このような物質を「ホルモン」と呼びます。
ヒトには、個々のホルモン分泌の過剰や不足が原因となって起こる様々な疾患が知られていて、それらは「内分泌疾患」と総称されています。赤ちゃんたちの中には、特定のホルモンの分泌が生まれつき十分でないために、様々な症状が出てしまう子たちがいます。先天性代謝異常症の新生児マススクリーニングが始まった後、これらの内分泌疾患も対象として追加されました。



対象疾患に関する情報

以下のリストの中から、お子さんが「陽性」と言われた「病名」または「検査項目名」を探してみてください。見つかった病名または検査項目名に応じて、「アミノ酸代謝異常症」「尿素サイクル異常症」「有機酸代謝異常症」「脂肪酸代謝異常症」「ガラクトース血症」「先天性甲状腺機能低下症」「先天性副腎皮質過形成」の説明をお読みいただくことができます。

アミノ酸代謝異常症

フェニルアラニン が高い フェニルケトン尿症
ロイシン(イソロイシン・バリン)が高い メープルシロップ尿症
メチオニン が高い ホモシスチン尿症

尿素サイクル異常症

シトルリン が高い
  • シトルリン血症1型(または 古典型シトルリン血症)
  • アルギニノコハク酸尿症
  • シトリン欠損症(または シトルリン血症2型)

有機酸代謝異常症

C3が高い
  • メチルマロン酸血症
  • プロピオン酸血症
C5が高い イソ吉草酸血症
C5-DC が高い グルタル酸血症1型
C5-OH が高い
  • 複合カルボキシラーゼ欠損症
  • マルチプルカルボキシラーゼ欠損症
  • メチルクロトニルグリシン尿症
  • メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症
  • HMG血症
  • ヒドロキシメチルグルタル酸血症
  • HMG-CoAリアーゼ欠損症

脂肪酸代謝異常症

(C16 + C18:1)/C2,C14/C3が高い
  • カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ2欠損症
  • CPT2 欠損症

C14:1が高い
  • VLCAD 欠損症
  • 極長鎖アシル CoA 脱水素酵素欠損症
C16-OH,C18-OHが高い
  • ミトコンドリア三頭酵素欠損症
  • TFP欠損症
  • LCHAD欠損症
C8 が高い
  • MCAD欠損症
  • 中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症
C0,C0/(C16 + C18) が高い
  • カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1欠損症
  • CPT1 欠損症
C0が低い
  • 全身性カルニチン欠乏症
  • カルニチントランスポーター欠損症
C10が高い グルタル酸血症2型(またはグルタル酸尿症2型)

糖代謝異常症

ガラクトース が高い ガラクトース血症

内分泌疾患

TSH が高い 先天性甲状腺機能低下症
17-OHP が高い  先天性副腎皮質過形成

患者会サイトへのリンク集 & 参考資料

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