国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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患者・ご家族の方へ Patient & Family

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早産外来

診療日:毎週木曜日午後

早産の既往や子宮頸部の円錐切除を受けたことがある等、早産のリスクがあると判断された方が対象です。治療介入を行うことで、早産のリスクを減らすことができます。

早産外来受診の患者の方へ

早産とは、妊娠22週から37週未満の分娩のことです。早産で生まれてくる赤ちゃんは未熟なため、合併症のリスクがあり、特に週数が早い場合には生命に関わることもあります。早産のリスクがある方を、早産外来で診察いたします。

当外来の対象となる患者は主に以下の方です。

  1. 前回までの分娩が早かった方
  2. 子宮頸管の手術(円錐切除術)を受けたことのある方
  3. 子宮の入り口(子宮頸管長)が短い方
  4. その他早産のリスクが高いと判断される方

日本での早産率は約6%といわれています。早産になりやすいリスク因子は、喫煙やアルコールなど生活習慣に関わるものから、前回が流産や早産であったこと、子宮手術後(円錐切除術)、子宮頸管長短縮など様々です。 早産の原因についてはわからないことも多いですが、約1/3に感染が関与すると言われています。現状では感染を予防するための方法等はありませんが、早産を少しでも減らすことを目指し、世界中で様々な研究がなされています。現在、分かっている報告をもとに、方針を検討し、早産外来でお話させていただいています。

①前回までの分娩が早かった方(既往早産)

1)リスクについて

早産の再発のリスクは早産をした回数が多いほど、また時期が早いほど(妊娠34週未満)高くなります。前回妊娠が早産であった場合に、次の妊娠で早産となる割合は第1子が妊娠35週〜37週未満の早産であれば5%、妊娠34週以下の場合には16%、第1子、第2子共に34週未満の早産であった場合は41%という報告があります1)。また、反復する早産の70%は前回よりも2週間早いという報告もあります2)。

2)外来での管理について

a. 子宮頸管長測定、頸管縫縮術

子宮の入り口の長さを子宮頸管長といいます。子宮頸管長が短いと早産のリスクが高いことが知られています。頸管縫縮術についてはその効果について見解が分かれるところもありますが、前回が流早産で頸管長が妊娠24週までに25mm未満に短縮した方に対して頚管縫縮術を施行した場合、早産のリスクを減らしたという報告3)があり、当センターでも、妊娠24週までに子宮頸管長が25mmよりも短くなってくる場合、頚管縫縮術の施行をお勧めしています。
妊娠24週での子宮頸管長の平均は約35mmですが、25mm未満の場合、早産となるリスクは短縮のない人に比べると約6倍、13mm以下では約14倍といわれています。前回が早産であった方は子宮頸管長が短くなくてもリスクがあるという報告もあるため慎重に管理させていただきます。現在は妊娠28週までは2週間毎に頸管長を測定しています。短縮が著明な場合は入院加療となることもあります。

b. 合成プロゲステロン製剤

前回が流産早産だった方へ合成プロゲステロン製剤を投与した結果、37週未満の早産が36%、妊娠35週未満の早産が21%、妊娠32週未満の早産が11%程度減少したという報告があり、欧米では一般的な診療です。当院でも同様のメニューで投与を行っています。投与方法など詳しくは別途説明書で説明致します。

参考文献

1) Spong et al. Obstet Gynecol 110;405 2007
2)Bloom SL, Yost NP, McIntire DD, Levono KJ : Recurrence of preterm birth in singleton and twin pregnancies. Obstet Gynecol 2001 ; 98 : 398.
3)
4) Yost NP, Owen J, Berghella V, et al : Number and gestational age of prior preterm births does not modify the predictive value of a short cervix. Am J Obstet Gynecol 2004 ; 191: 241-6.

②子宮頸部の円錐切除術を受けられたことのある方

1)リスクについて

子宮頸部の円錐切除術を施行した方では流早産や前期破水のリスクが高くなると言われています。早産率は円錐切除術を施行した人で17.2%という報告もあります1)。手術の方法や切除範囲により差があるとされ、1.9〜4倍の範囲で手術をしていない人より早産のリスクがあるという報告もあります2)。円錐切除の深さが1cm以上であると早産のリスクが高くなるとの報告もあるため3)、手術の方法や切除の範囲に関しても分かる範囲内でお答えいただいています。

2)管理について

子宮の入り口の長さを子宮頸管長と言います。円錐切除術後に短くなっている頸管に対しての頸管縫縮術の有効性については議論が分かれる部分もありますが、有効性を示す報告は少なくむしろ有害であったとする報告もみられることから、当センターでは円錐切除後の方への頸管縫縮術は行っていません。外来で2週間毎に頸管長の測定を行い、短縮傾向を認める場合には入院加療をお勧めすることがあります。

3)検査について

腟内細菌のチェックを初診時に施行し、その結果が細菌性腟症と言われる状態(腟内の正常な菌のバランスが崩れている状態で早産との関連が指摘されています)の時には抗生剤内服治療を行っています。

参考文献

1) Albrechtsen S, Rasmussen S, Thoresen A et al : Pregnancy outcome in women before and after cervical conization ; population based cohort study. BMJ, 337 : a1343, 2008.
2) Sadler et.al 2004 JAMA
3) Klaritsch P et al : Delivery outcome after cold-knife conization og the uterine cervix. ; Gynecol Oncol.2006 Nov ; 103(2) : 604-7. Epub2006 Jun 5.

③子宮頸管長が短い方

1)リスクについて

子宮の入り口の長さを子宮頸管長といいます。子宮頸管長がなぜ短くなるかはわかっていませんが、子宮頸管長が短いと早産のリスクが高いことはわかっています。妊娠24週での子宮頸管長の平均は約35mmで、25mm未満の場合早産となるリスクは約6倍、13mm以下では約14倍といわれています1)。

2)管理について

2週間毎に頸管長計測を行い、著明に短縮してくるようであれば入院加療をお勧めしています。入院では、安静と子宮収縮抑制剤の点滴治療を行います。

3)検査について

腟内の正常な菌のバランスが崩れている状態を細菌性腟症といい、早産との関連が指摘されています。また治療により改善するという報告もあります。当センターでは膣分泌物の培養検査を施行し、診断がついた時には抗生剤内服治療を行っています。

4)縫縮術について

妊娠24週までに頸管長が著明に短縮する場合には子宮頸管縫縮術を行うことがあります。早産既往のない方で頸管長が短い方への子宮頸部縫縮術については有効性の見解について明確な方針はでていませんが、頸管長が15mm未満まで短縮した症例で縫縮術を行った方が行わなかったよりも妊娠延長したという報告があり、患者さんの状況を踏まえ判断させていただきます。破水をしていないこと、感染や出血がないこと、陣痛が来ていないことが頸管縫縮術を行える適応となります。

参考文献

1) Iams JD, Goldenberg RL, Meis PJ, et al : The length of the cervix and the risk of spontaneous premature delivery. National Institute of Child Health and Human Development Maternal Fetal Medicine Unit Network. N Engl J Med 1996 ; 334(9) : 567-72.