国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
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患者・ご家族の方へ hospital & Family

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骨盤位外来

診療日:毎週月曜日午後

妊娠34週以降で骨盤位(逆子)の状態の方が対象です。前置胎盤や帝王切開の既往等、経膣分娩の適応がない方は対象外です。 妊娠10ヶ月で逆子(骨盤位)になっている方の分娩は、多くの施設で帝王切開分娩が行われており、当センターも同様に帝王切開での分娩を推奨しています。しかし、当センターでは骨盤位を矯正する方法として、諸外国でも推奨されている外回転術を積極的に施行しています。
当センターでは妊娠後期になっても逆子(骨盤位)のままになっている妊婦に対して、メリット・デメリットを理解していただいた上で、骨盤位外回転術を行うことができる骨盤位外来を開設しています。

骨盤位外来について

  • 逆子のままだとどのようなデメリットがありますか?
    • 妊娠37週時点で逆子(骨盤位)になっている割合はおよそ3%といわれていますが、そのほとんどは帝王切開分娩での出産となります。その理由としては、逆子の状態での経膣分娩で起こりうる①分娩外傷(骨折・神経損傷)②臍帯脱出→新生児仮死・死産 ③分娩遷延による新生児仮死・死産 などのリスクをあらかじめ回避するためです。当センターでも骨盤位症例に対しては全例帝王切開分娩を施行しています。
      帝王切開は産科手術として非常にポピュラーなもので、手術に伴う危険性は決して高くはありません。しかし、頻度は少なくても一定の割合で合併症(出血・輸血・腸管損傷・腸閉塞・術後感染・肺塞栓症など)は起こります。また、美容上の問題として母体の腹部には手術による瘢痕が残りますし、次回妊娠の際にも帝王切開分娩が必要です。
      上記のことを考慮し、帝王切開分娩を回避するための選択肢として提示したいと考えています。
  • 外回転は必ず受ける必要がありますか?
    • 上に述べたように、外回転術は骨盤位の妊婦さんにとってメリットのある選択肢であると考えています。しかし、外回転術はあくまで選択肢であり、外回転をせずにはじめから予定帝王切開という選択肢もあり得ます。帝王切開術に全く抵抗がない方や下に述べるような合併症を心配される方ははじめから帝王切開のほうがよいかもしれません。出産をどのようなものにしたいかしっかりと考えて選択していただき、ご希望に添ったサポートをしたいと考えています。
  • どのようにして行うのですか?
    • 妊婦様に仰向けに寝て頂き、頭側を下げ下肢側を挙上し、胎児が母体頭側に上がるような体勢をとります。また、手技前からお腹の張り止めの薬を点滴投与させて頂き、子宮筋の緊張を和らげて胎児を回転させやすくします。また、同時に麻酔をかけて(無痛分娩や帝王切開の時と同様の麻酔法です)腹筋の緊張を和らげて回転しやすくさせています。張り止めの点滴と麻酔は現在では全例に行っています。
      術者(1~2人)が超音波で胎児の向きを確認し、胎児の頭部と臀部にあたる部分を経母体的に把持し、児を前回り(場合により後ろ回り)になるように回転させ頭位に矯正します。骨盤内に児の臀部がはまりこんでいるケースでは、場合により内診して児の臀部を持ち上げた上で回転させます。おおむね手技に伴う時間は2-3分、長くても一回の手技は10分程度です。
  • 痛くないでしょうか?
    • 例によって異なりますが、外回転にかける力は比較的強いので多少の痛みを伴います。そのため、外回転術時は麻酔をかけて痛みを取り除いて行っています(これには腹壁の緊張をほどいて外回転術の成功率を上昇させる目的もあります)。
  • 成功率はどのくらいあるのでしょうか?
    • 成功率は初産婦・経産婦や麻酔の有無で成功率が変わります。海外での文献によると初産婦さんでは麻酔無しで32.4%, 麻酔ありで66.7%の成功率となっており、経産婦さんでは麻酔無しで57.5%, 麻酔ありで87.1%の成功率となっています。
      当センターでの成績ですが、2012年1月から2014年8月の間に250例外回転術を施行し186例(74.4%)が頭位に矯正できました。内訳としては、初産婦さんでは177人中123人成功(71%)、経産婦さんでは63人中53人成功(86%)となっています。また、他院から紹介になっている患者様もいらっしゃるため全例の把握はできていませんが、外回転で頭位に矯正された後分娩が終了されている174名の内訳としては、初産婦さん111人中91名(82%)、経産婦さんで63人中60人(95%)がその後経膣分娩に至っています。手技施行中の緊急帝王切開は7名いらっしゃいましたが、その後は元気に母子ともに退院して頂いております。
  • 合併症はないのですか?
    • 外回転術にともなう合併症は全くないわけではありませんが、重篤なリスクの発生する割合は非常に低く、医学的にはメリットがデメリットを上回ると考えています。
      具体的な合併症としては一過性の胎児心音異常(6.1%)、破水(0.22%)、性器出血(0.34%)、常位胎盤早期剥離(0.18%)等があり、それに伴う胎児死亡を防ぐため0.35%の割合で緊急帝王切開が必要とされています(米国での報告)。しかし最大の注意を行っても胎児死亡(0.02%)が報告されています。緊急帝王切開については国内の報告では2.9%とする報告があり、帝王切開の適応によって頻度が変わると考えられます(当センターでも緊急帝王切開率は3.4%です)。当センターでは万一の合併症発生時に備えて手術室で外回転術を行い、何かあった場合にはいつでも帝王切開術を施行できる体制をとっており、安心して外回転術をうけていただけます。
      ただし、安全性を担保する上で、緊急時には帝王切開となることを十分ご理解いただく必要があります。外回転術は骨盤位の妊婦様にとって必須の手技ではないため、緊急の帝王切開が非常に心配である妊婦様やはじめから予定帝王切開でもよいと考えている妊婦様にはお勧めしておりません。また、低身長や巨大児で最終的に経膣分娩が難しいと判断される場合や肥満などで外回転が困難と考えられる場合、勧められない可能性もあります。
  • 他に骨盤位を矯正する方法はありませんか?
    • 他の方法としては逆子体操(胸膝位)やポジショニング(横向きに寝る姿勢を維持する)、鍼灸療法などがありますが、いずれも医学的な根拠は乏しく(効果がはっきりしない)、コンセンサスがある方法ではありません。一方外回転術は今までに多くの報告で効果が証明されていて、アメリカ・イギリス・オランダなどにおける先進諸国のガイドラインでも推奨されている、医学的根拠の高い手技ということができます。
  • いつくらいの時期に行うのがいいのでしょうか
    • 従来では37週以降の骨盤位外回転術が推奨されていました。これは万が一緊急帝王切開や外回転術直後に破水して分娩になった際に未熟児分娩とならないようにするためです。しかし、近年の報告では明らかな統計学的な差はないものの35~36週で外回転術を行った方が成功率は高くなり経膣分娩できる可能性が高くなるとされているため、当センターでは35週~36週を基本として行います。これは万が一外回転により早産を誘発してしまった場合でも当センターで適切に早産児の管理ができると考えているからです。
  • 外回転術を希望する場合、どのようにすればよいでしょうか?
    • 当センターでは毎週月曜日の午後に「骨盤位外来」として専門外来をもうけておりますので、外来主治医にお申し付け頂き、外来予約を取得してください。専門外来では外回転術のメリット・デメリットに関して詳しく説明し、ご希望される場合は日程の調整等をいたします。
  • 近くの病院に通院しているのですが、そこでは外回転はしていないと聞きました。
    • 外回転術は、頻度は低いですが緊急帝王切開になるリスクがあることと、成功率を高めるためには麻酔が必要であることから多くの病院ではマンパワーの問題などで施行していないのが現状です。そこで、当センターでは近隣の病院から外回転術目的の紹介もお引き受けしています。ご希望があれば、ご担当の先生から当センター医療連携室までご連絡ください。
      注)遠方の産院に通院中の妊婦様からの受診は原則お断りさせて頂いております。その他、予約状況や合併症の問題などでお断りする場合もございますので、電話連絡時に受け入れの可否をご確認ください。
      *院内からのご紹介は原則お断りしません。
      また、外来受診日は原則説明のみ、日を改めて入院したうえで外回転となります。こちらも併せてご理解いただきますようよろしくお願いいたします。