0歳~高校3年生の子育てにかかる年間費用の調査結果を公開 ~第一子の18年間の子育て費用は約2,170万円~
国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)政策科学研究部の竹原健二部長、三澤奈菜共同研究員は、ウェブアンケート調査によって0歳から18歳の未就学・小学生・中学生・高校生の母親4,166人から回答を集め、日本における0歳~18歳の子育てにかかる費用を明らかにしました。
調査の結果、0歳から18歳(出生~高校3年生)の子育ての費用の合計は預貯金・保険を含むと25,701,956円(預貯金・保険を含まない場合1:21,727,154円)でした(図1)。各年齢の年間費用のうち、衣類、食費、生活用品などの生活費は年齢とともに一貫して増加し、常に年間費用の半分程度を占めました。また、内閣府が2009年に実施した0歳~中学3年生の調査2と今回の調査結果を比較すると、全体的な子育て費用はわずかに増加していました。このうち、全年齢の生活費および年間費用に占める生活費の割合は増加していました。本研究で子育て世帯の実情が明らかになりました。このようなデータに基づき、子育て世帯への経済的な支援のあり方が検討されることが望ましいと考えます。
本研究成果は、資料として、「日本公衆衛生雑誌」に2025年10月に掲載されました。
[1]預貯金・保険は、幼少期に貯金・学資保険にあてた費用を中学生・高校生の時期などに使用した可能性があるため、預貯金を含む金額と含まない金額を提示しています。
[2]2009年内閣府による「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」
調査の結果、0歳から18歳(出生~高校3年生)の子育ての費用の合計は預貯金・保険を含むと25,701,956円(預貯金・保険を含まない場合1:21,727,154円)でした(図1)。各年齢の年間費用のうち、衣類、食費、生活用品などの生活費は年齢とともに一貫して増加し、常に年間費用の半分程度を占めました。また、内閣府が2009年に実施した0歳~中学3年生の調査2と今回の調査結果を比較すると、全体的な子育て費用はわずかに増加していました。このうち、全年齢の生活費および年間費用に占める生活費の割合は増加していました。本研究で子育て世帯の実情が明らかになりました。このようなデータに基づき、子育て世帯への経済的な支援のあり方が検討されることが望ましいと考えます。
本研究成果は、資料として、「日本公衆衛生雑誌」に2025年10月に掲載されました。
[1]預貯金・保険は、幼少期に貯金・学資保険にあてた費用を中学生・高校生の時期などに使用した可能性があるため、預貯金を含む金額と含まない金額を提示しています。
[2]2009年内閣府による「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」
プレスリリースのポイント
- 子育ての経済的な負担が話題になることが多い中、2009年の内閣府の調査以降、子育て費用全般を把握するような大規模な調査は行われていなかったことから、現在の子育ての実態を明らかにすることができました。
- 第一子の0歳~高校3年生の18年間の子育て費用は預貯金・保険を含むと25,701,956円(預貯金・保険を含まない場合:21,727,154円)でした。全体的に、年間費用は年齢とともに増加していました。このうち、衣類、食費、生活用品などの生活費も年齢とともに一貫して増加しており、常に年間費用の半分程度を占めました。
- 世帯収入ごとの子育て費用を比較した結果では、収入によらず高校生の生活費は年間70~100万円程度でした。つまり、収入が低い世帯ほど収入に占める生活費の割合が大きいことがわかりました。
- 0歳~中学3年生の15年間の第一子の子育て費用は19,530,626円(預貯金・保険を含まない場合:16,323,898円)で、内閣府による2009年調査の18,995,250円(預貯金・保険を含まない場合:16,133,974円)と比べてわずかに増加していることがわかりました。15歳までの生活費は増加していましたが、保育費、医療費などは減少していました。2024年の結果の方が生活費は高い一方で、医療費・保育費などは低い結果となりました。
- 2009年と2024年の子育て費用の変化にはさまざまな要因が考えられます。生活費全般の増加は全体的な物価上昇や携帯・通信費などの利用の増加が考えられます。一方で、費用が減少していた項目は、国や地方自治体による幼児教育・保育費の軽減制度や無償化、地方自治体の医療費助成の施策によるものと考えられます。
- 子育て期間中の各家庭の支出額の増加は抑えられています。しかし、国や地方自治体による施策の実施により、子どもの保育・教育費や医療費の支払い者が各家庭から社会全体に変わっているため、今回の調査には含まれていない社会保険料や長期的に徴収される税金などを考慮すると、子育て費用の実質負担は増加している可能性があり解釈には注意が必要です。
研究概要
2024年11月にウェブ調査会社のモニター会員である、日本に居住する第一子が0歳から18 歳の未就学・小学生・中学生・高校生の母親を対象にウェブアンケート調査を実施しました。0歳~18歳の各年齢の母親246人~350人、合計6,408人の回答を得ました。
発表論文情報
タイトル:日本における0-18歳の子育てに要する費用の調査:ウェブアンケート調査2024
著者名:三澤奈菜、竹原健二
所属:国立成育医療研究センター研究所 政策科学研究部
掲載紙:日本公衆衛生雑誌
DOI:10.11236/jph.25-023
- 本件に関する取材連絡先
-
国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
03-3416-0181(代表)
koho@ncchd.go.jp
月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時
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