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日本初・妊娠中の「抗菌薬アレルギー評価」に関する研究を報告 分娩時に適切な抗菌薬を安全に使用可能に

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)のアレルギーセンター平井聖子医師らは、分娩時の適正な抗菌薬使用を推進するため、妊婦に対する抗菌薬アレルギー評価の有用性についての研究を、日本で初めて報告しました。
2021年10月から2022年7月までに当センターのアレルギーセンターに紹介された抗菌薬アレルギー[1](疑いを含む)の妊婦24名を対象に問診や皮膚テストを行った結果をもとに、第一選択薬[2]の中から適切な抗菌薬を提案しました。その結果、分娩時などに抗菌薬が必要だった妊婦21名全員においてアレルギー反応を起こすことなく、安全に抗菌薬を使用することができました。
これまで妊娠中に抗菌薬アレルギーの自己申告があった場合、抗菌薬アレルギー評価を行わず"抗菌薬アレルギーの疑い"のまま、他系統の抗菌薬が使用されてきました。その結果、治療・予防効果の低減につながることが懸念されていました。さらに、欧米の研究では自己申告された抗菌薬アレルギーの約9割は真のアレルギーではなかったとの報告もあります。本研究結果は、日本における妊婦に対する適正な抗菌薬使用の推進につながると考えられます。
この論文は、日本アレルギー学会和文誌『アレルギー』(2023年72巻10号)に掲載されました。

今回の研究実施フローの図【図1:今回の研究実施フロー】

[1]抗菌薬アレルギーとは、抗菌薬によって引き起こされる過敏反応の一つで、発疹、皮膚や目のかゆみや、血圧の低下、呼吸困難など重篤な反応が出る場合があります。
[2]第一選択薬とは、一般的に、ある疾患に対して治療効果や副作用の観点から最初に選択される治療薬を指しますが、本研究ではアンピシリン/スルバクタム、セファゾリン、セフメタゾールのいずれかと設定しました。

プレスリリースのポイント

  • 日本で初めての妊婦に対する抗菌薬アレルギー評価の研究報告となります。
  • 抗菌薬アレルギーであると自己申告のあった24名の妊婦に対し、問診や皮膚テストを実施し、第一選択薬の中から適切な抗菌薬を提案しました。
  • 分娩時に実際に抗菌薬が必要だった21名全員がアレルギー反応を起こすことなく安全に抗菌薬を使用することができました。
  • 妊娠中であっても安全に配慮した抗菌薬アレルギー評価が可能です。
  • 妊娠中や分娩時以外にも抗菌薬を使用する可能性はあり、抗菌薬アレルギーを"疑い"のままにせず適切に診断することが重要です。

今後の展望・発表者のコメント

今回、安全に配慮した抗菌薬アレルギー評価によって、妊婦に事前に提案した第一選択薬内の抗菌薬を投与することができました。この取り組みは、妊婦における適正な抗菌薬使用の推進につながると考えられます。
抗菌薬アレルギーがある、または疑われる場合には、治療時の抗菌薬選択の遅れ、代わりの薬を使うことによる治療効果低減、薬物関連の副作⽤増加、耐性菌の増加、治療費負担の増大などにつながることが報告されています。生涯において抗菌薬が必要となることはまれではありません。薬物アレルギーの疑いを"疑い"のまま残しておくのではなく、積極的に適正診断することの重要性を広く啓発していきたいと考えています。

発表論文情報

タイトル:分娩時の適正な抗菌薬使用と手術部位感染予防のための妊娠中における抗菌薬アレルギー評価
執筆者:平井聖子1、山本貴和子1、樺島重憲1、福家辰樹1、庄司健介2、小澤克典3、左合治彦3、大矢幸弘1
所属:
1)国立成育医療研究センター アレルギーセンター
2)国立成育医療研究センター 感染症科
3)国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター

掲載誌:日本アレルギー学会和文誌『アレルギー』
DOIhttps://doi.org/10.15036/arerugi.72.1223

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

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