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「卵黄」を食べて数時間後に嘔吐などを繰り返す赤ちゃんは注意-食物アレルギーとは異なり、食物蛋白誘発胃腸炎では「卵黄」が原因に-

慶應義塾大学小児科学教室アレルギー研究グループ(高橋孝雄教授、明石真幸講師、森田久美子助教)は、川崎市立川崎病院小児科の外山陽子医長、国立成育医療研究センターの免疫アレルギー・感染研究部の森田英明室長らとともに、鶏卵が原因の食物蛋白誘発胃腸炎の臨床的特徴を解析しました。その結果、主に「卵白」が原因となる一般的な鶏卵アレルギーとは異なり、食物蛋白誘発胃腸炎は「卵黄」により症状が誘発される可能性が高いことが明らかになりました。
一般的に鶏卵アレルギーといえば、鶏卵、特に「卵白」を摂取してから1時間以内に皮膚症状(蕁麻疹等)や呼吸器症状(くしゃみ、咳、喘鳴)を認めるIgE依存型アレルギーがよく知られています。一方で、鶏卵を摂取してから数時間以降に、主に消化器症状(嘔吐や下痢等)を認める食物蛋白誘発胃腸炎も存在し、近年患者数が増加していることが知られています。しかし、これまでその臨床的な特徴は明らかにされていませんでした。
そこで、2015年1月から2019年10月までの間に、慶應義塾大学病院、さいたま市立病院、けいゆう病院、国立病院機構栃木医療センター、平塚市民病院、川崎市立川崎病院を受診した、鶏卵が原因と疑われる食物蛋白誘発胃腸炎患者の臨床的特徴を解析しました。その結果、鶏卵が原因で消化器症状を認める食物蛋白誘発胃腸炎患者では、「卵白」よりむしろ「卵黄」で症状が誘発されることが明らかになりました。
一般的なIgE依存型の鶏卵アレルギーでは、「卵黄」より「卵白」に反応することが多いとされています。そのため「卵黄」は比較的アレルギー症状を誘導しない成分であると考えられてきました。しかし、「卵黄」を摂取した数時間後に繰り返し嘔吐を認めるような場合には、鶏卵による食物蛋白誘発胃腸炎が疑われるため注意が必要です。
本研究をさらに進め、「卵黄」の中のどの成分がアレルギーの原因となっているのかを明らかにすることで、食物蛋白誘発胃腸炎の病態の解明や治療法の確立に結びつくことが期待されます。

卵白と卵黄によるアレルギーの出方の違い

研究の背景

物アレルギーは、原因食物を摂取してから1時間以内に皮膚症状(蕁麻疹等)や呼吸器症状(くしゃみ、咳、喘鳴)を認めるIgE依存型アレルギーがよく知られています。一方で、原因食物を摂取してから数時間以降に主に消化器症状(嘔吐や下痢等)を認める食物蛋白誘発胃腸炎が存在し、近年患者数が増加していることが知られています。しかし、IgE依存型アレルギーと比較して、鶏卵の食物蛋白誘発胃腸炎の臨床的特徴は不明な点が多く残されており、卵のどの成分によりアレルギー反応を起こしやすいのか明らかになっていません。

発表論文情報

英文タイトル:
Multicenter retrospective study of patients with food protein-induced
enterocolitis syndrome provoked by hen's egg
タイトル和訳:
鶏卵による食物蛋白誘発胃腸炎患者の多施設後方視的症例集積研究
著者名:
外山陽子1,2)、石井とも2,3)、森田久美子2)、津村由紀2,4)、高橋孝雄2)、明石真幸2,5)、森田英明2,6)
所属:
1) 川崎市立川崎病院 小児科
2) 慶應義塾大学医学部 小児科
3) 国立病院機構 栃木医療センター 小児科
4) けいゆう病院 小児科
5) さいたま市立病院 小児科
6) 国立成育医療研究センター研究所 免疫アレルギー・感染研究部
掲載誌:
Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice
DOI:
10.1016/j.jaip.2020.09.065

担当研究部

本件に関する取材連絡先

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