代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

  • アクセス・交通案内
  • 予約センター
  • MENU

遺伝診療センター「市民公開フォーラム2025」開催報告(前編)

2025年11月29日(土)国立成育医療研究センター遺伝診療センターの設立3周年を記念して「市民公開フォーラム2025」をオンラインで開催しました。第2部「拡大新生児マススクリーニングについて」のパネリストとして、アイドルグループNEWSの小山慶一郎さんがサプライズで登壇されました。
当センター遺伝診療センターの黒澤健司センター長、小須賀基通診療部長、津島智子遺伝コーディネーターを交えたディスカッションの様子(前編)をレポートいたします。

ディスカッション・前編

小山さんの登壇にあたって

    • 黒澤センター長
      「どうして、本日のセミナーにご協力いただけたのでしょうか?」
      • 小山さん
        「なぜ急に私が出てきたかというと、実は私の子どもが新生児マススクリーニング検査※1を受けて、成育医療研究センターで精密検査まで行ないました。結果としては病気ではなかったのですが、その結果を受けるまで、不安や戸惑い、そして気付きがありましたので、今日は皆さんと共有してお話しできたらと思っております。」

        ※1:新生児マススクリーニング検査とは、早期に治療しないと障害を引き起こす病気を生後なるべく早くに発見・治療し、障害を予防することを目的とした新生児対象の検査のこと。

検査についての印象は?

    • 黒澤センター長
      「新生児マススクリーニングを受ける前はどのような印象をお持ちでしたか?」
      • 小山さん
        「出産の時に産科の先生から説明を受けていたはずですが、当時は出産そのものへの不安が大きくすっかり忘れていました。自分の子どもが1回目の血液検査でこのスクリーニング検査に引っかかった時に、そういえばそんな検査があったな、というくらいの認識でした。」
    • 黒澤センター長
      「小山さんは、そこで詳しい二次検査が必要という検査結果を受け取りましたが、どんな印象でしたか?」
      • 小山さん
        「産科の先生から生まれて2週間後くらいに連絡が来て。もう一度かかとから血液を採る検査を受けましたが、2回目も引っかかってしまって。自分の子どもに希少疾患があるのかもしれない...という怖さを感じました。さらに産科の先生から『小児科に紹介状を書くので精密検査を受けてください』と言われた時、生後2〜3週間で周りはお祝いムードなのに、自分たちは違うベクトルで一つ解決しなければならない問題があるということにすごく戸惑いました。産科の先生とは長い時間をかけて信頼関係ができていたのに、小児科の受診は初めてで、どこまで相談できるのかも分からず、とにかく不安と恐怖が大きかった、そんな記憶があります。」

小山さんディズカッションの様子

ご家族の反応は?

  • 津島・遺伝コーディネーター
    「当時は恐怖心をお持ちだったと思いますが、親御さんやご家族とはお話されましたか?」
    • 小山さん
      「本当は伝えるべきかもしれませんが、あまりに❝誕生おめでとう❞という雰囲気だったので、言えませんでした。言ってしまうと、僕らですらあまり分かっていない状態でもっと不安を煽ることになると思ったので。伝えるタイミングは、自分がこの検査のことをもっと理解して説明ができる状態になってからと思って。なので、小児科の小須賀先生にお会いするまでは言うのはやめておこうと決めていました。」

精密検査を受けるまでのお気持ちは?

  • 津島・遺伝コーディネーター
    「精密検査を受けるまでの間は不安もあったかと思います。どのようなお気持ちでしたか?」
    • 小山さん
      「二次検査に行くまで、地域によって、病院の予約が取れるのか。精密検査に行くまでにどのくらいの期間がかかるのか。親としては一日でも早く診ていただきたいという気持ちでした。僕は知識がないので、自分の子どもがもし何かの病気になっているのならば、たった一日でも進行してしまうのではないかと。一日、一日がとても長く感じていました。地域ごとにすぐに診ていただける場所もあれば、病院が少なく、かなり待つ必要があるということもありますよね?」
    • 小須賀先生
      「あります。東京でも、どこの病院でも診られるというわけではありません。特に希少疾患の検査・治療は専門病院が限られており、地域差や待ち時間が大きな課題となっています。親御さんは迅速な対応を強く望んでいらっしゃるので、各地に拠点病院を整備して流れをスムーズにする必要があります。」
    • 小山さん
      「この流れのスムーズさは、親としてすごく気になるところです。」

遺伝子検査にどのような印象を持ちましたか?

  • 黒澤センター長
    「二次検査は、遺伝子を調べる検査、つまり親から受け継いだ遺伝情報の一部を検査します。お子さんの遺伝子を調べることについて抵抗感はありましたか?」
    • 小山さん
      「この検査の時に小須賀先生にお会いして、まず自分の子どもにどのような病気の疑いがかかっているのかを詳しくご説明いただきました。それまでは、ネットで調べて悪い情報ばかり目に入る状況で。僕は小須賀先生の話を聞いて、すごく安心した部分と、それと同時に検査結果を待たなければいけないという不安が同時にやってきたんです。やはり専門の知識をお持ちの先生からお話を聞くまでは、自分たちで何かを決断するとか、判断することは絶対にしない方がいいと、僕は思いました。小須賀先生にお会いして、親からどういうふうに遺伝が伝わっているのかを調べる遺伝子検査をすると聞きました。最初は怖かったですが、それよりも、この遺伝子検査の結果が出るまでに4週間かかり、尿検査に関しては6週間かかるということがとても長く感じました。」

検査結果の待ち期間の長さについて

  • 黒澤センター長
    「検査結果の待ち時間については、どうお考えですか?」
    • 小山さん
      「さらに4週間かかるのかと驚きました。検査をやっていただくことに対する安心はありましたが、それを待つ心の準備が自分には伴っていなくて。先生に何度も『もう少し早く結果は出ないものですか?』と尋ねました。津島さんにも、何度もお尋ねしました。そういった親御さんは多いですか?」
    • 小須賀先生
      「『まだですか?』というお問い合わせは度々あります。」
    • 小山さん
      「『まだですか?』は毎日聞けるなら聞きたいぐらいでした。」

他の親御さんの様子は?

  • 小山さん
    「今同じような状況でお待ちの親御さんもいらっしゃると思いますが、この4週間を振り返りますと、地に足がついていないというか、自分が心から笑えてないと言いますか。その間もやはり子どもは泣きますし、その泣き声すらどこか具合が悪いんじゃないかと捉えているということもありました。また、その間に親も来ます。お祝いの言葉をもらう一方で、僕は今、検査結果を待っている。言えないことも多く、皆さんこの時期は複雑な心境で過ごされているんじゃないかなと思いました。」
    • 小須賀先生
      「小山さんと同じように、他の皆さんも不安な気持ちを抱えていらっしゃいます。インターネットには不安を煽る情報も多くあります。特に初めてのお子さんの場合は特に不安が大きくなるでしょう。なるべくそういった気持ちを柔らかくできるようにと思い工夫して話をしたり、少しでも不安を解消できるように心がけています。4週間を短くすることはできないのですが、気持ちの面でサポートできるように努力しています。」
    • 黒澤センター長
      「津島さん、実際の患者さん、各ご家庭と寄り添う形で遺伝コーディネーターとして対応されていますけれども、いかがですか?」
      • 津島・遺伝コーディネーター
        「出産直後は、育児も正直ままならない、生活もままならない時期にありますので、ただでさえ不安だと思います。病気かもしれないということで、さらに不安や心配も強くなります。できるだけ早く、小須賀先生のような専門家のところに来ていただけるようにつなげるということを意識しています。検査結果も検査室と連携して、結果が出たらすぐに連絡して来ていただくといったことを意識しています。産後はお母さん、お父さんが産後うつになりやすいので、お母さん、お父さんの心理的サポートをしていきたいと思っています。」
      • 小須賀先生
        「遺伝子検査は、異常と、正常と、わからないものも実際あるのです。遺伝子検査の結果に変化があったけれど、これが病気になるのか、ならないのかわからないというものもあります。あとは体質的に数値の異常が出るけれども病気にはならないという遺伝子の変化がある人も一定の割合でいらっしゃいます。今回小山さんの場合は体質的なもので、病気や異常ではないとご説明をしました。もしはっきりとしない結果の場合、一定期間のフォローアップになる場合もあります。」
koyama3.JPG

小山さんとのディスカッションの続きは、「遺伝診療センター「市民公開フォーラム2025」開催報告(後編)」をご覧ください。


国立成育医療研究センター
遺伝診療センター 一同

ページトップへ戻る