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【こどものデジタル環境に関する調査報告】 保護者は、国・企業・学校など幅広い対象に対策を求めている

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区 理事長:五十嵐隆)社会医学研究部・森崎菜穂らの研究チームは、全国無作為抽出調査である10代のこども・若者とその保護者を対象としたJAY(Japan Adolescent and Youth)コホートにおいて、子どもたちとデジタル環境に関する調査を実施しました。
インターネットやSNSの利用はこどもの心身の発達に影響を及ぼすとされ、海外では年齢によってSNSの利用を制限しようとする動きも出ています。そこで、こどもたちが日々どのようなリスクにさらされ、どのような影響を受けているかを一番側で見ている保護者に対し、家庭で行っている"こどもたちを守るための工夫"についてのアンケート、また保護者が考える「家庭だけでなく、社会や政策として取り組んでもらいたいこと」について自由記載してもらい、その内容と要望の対象主体を集計しました。
その結果、自由記述項目に回答した1,530名のうち、有害コンテンツのフィルタリングやSNS利用制限といった「構造的な規制」を求める回答が860名(56.2%)と最も多く、次いでリテラシー教育などの「制度の改善」を求める回答が621名(40.6%)、家庭内での努力や困りごとといった「要望以外の回答」が396名(25.9%)となりました(それぞれ重複あり)。
「構造的な規制」を求める回答では企業などへの要望(37.9%)、国への要望(25.6%)を挙げる方が多く、「制度の改善」については学校への要望(39.0%)、企業などへの要望(32.5%)を挙げる方が多くいました。


内容別の要望先

【表1:内容別の要望先】


「構造的な規制」を求めた保護者860名の記述内容をさらに分類すると、内容に関する制限(625人:72.7%)、機能に関する制限(313人:36.4%)、デバイス制限(142人:16.5%)の順でした。
保護者が挙げた「構造的な規制」の要望先は、要望する規制内容により異なっていました。
内容に関する制限では有害コンテンツフィルタリング(346人)で企業などへの要望が55.2%、SNS利用制限(201人)で国への要望が48.3%と、それぞれ最多となりました。機能に関する制限では、デバイス機能制限(108人)が最多で、企業などへの要望が68.5%でした。またデバイス制限では、学校支給デバイス(46人)で学校への要望が76.1%でした。


構造的な規制への要望内容とその要望先

【表2:構造的な規制への要望内容とその要望先】


<回答数5未満のため要望先に記載しなかったもの>
有害コンテンツフィルタリング(地方自治体0、学校2、その他2)、SNS利用制限(家庭0、その他0)、
動画コンテンツ制限(国4、地方自治体1、学校4、家庭0、その他0)、
ゲームコンテンツ制限(国2、地方自治体2、学校1、家庭0、その他0)、
誹謗中傷・サイバーいじめ制限(地方自治体0、学校0、家庭0、その他0)、
デマ・誤情報制限(国2、企業3、地方自治体0、学校0、家庭0、その他0)、
その他コンテンツ制限(地方自治体0、家庭0、その他0)、コンテンツ種別不特定の制限要望(家庭1、その他0)、
デバイス機能制限(地方自治体3、家庭1)、利用時間制限(家庭0)、夜間利用制限(学校2、家庭1)、
その他機能制限(地方自治体1、家庭0)、種別不特定の制限要望(地方自治体3、家庭2)、
学校支給デバイス(国2、地方自治体2、企業4、家庭0、その他0)、スマホ・携帯電話(家庭1、その他1)


保護者からの要望(一部抜粋)

【保護者からの要望(一部抜粋)】


プレスリリースのポイント

  • 層化二段無作為抽出法により、全国50自治体から選ばれた小学5年生〜高校生のこども・若者とその保護者を対象に調査票を郵送し、2025年11月14日〜12月14日に調査を実施しました。
  • 「家庭だけでなく、社会や政策として取り組んでもらいたいこと」についての要望を自由記述形式でたずねたところ、回答した保護者の半数以上(56.2%)がコンテンツの内容やデバイス機能などの「構造的な規制」を求め、次いで「制度の改善」(40.6%)を求める声が多く寄せられました。
  • さらに要望先を分類すると、「構造的な規制」を求める回答では企業などへの要望(37.9%)、国への要望(25.6%)を挙げる方が多く、「制度の改善」については学校への要望(39.0%)、企業などへの要望(32.5%)を挙げる方が多くなっていました。(表1)
  • 世界で大きな話題となっている「SNS利用制限」については、実施主体を「国」と考える保護者が約5割(48.3%)、「企業」と考える保護者が約3割(27.9%)にのぼり、政策・企業を含めた社会レベルでの体制整備を求める声が示されました。(表2)
  • こども・若者を守るためには家庭の努力だけでは限界があり、「行政」「企業」「学校・教育」が連携し、社会全体で重層的に支える枠組みの整備が求められます。

背景

こどもから大人へと移行する思春期は、心身に大きな変化が生じ、社会とのつながりを模索する重要な発達段階です。近年、デジタルデバイス利用の低年齢化などに伴い、こどもたちの生活基盤はデジタル空間へと大きく拡張しました。しかしそれは同時に、犯罪被害や誹謗中傷、過度な依存など、急速に複雑化するオンラインリスクに対して、環境からの影響を受けやすいこどもたちが極めて脆弱な立場に置かれていることを意味します。
こういった課題に対し、オーストラリアや欧米諸国を中心に、未成年者のSNS利用制限や年齢確認の厳格化、プラットフォーム事業者の責任強化を求める法整備が次々と進み、日本国内でも法の見直しの動きが本格化しています。社会の枠組みが大きく変化しようとしている今こそ、次なる制度設計や支援策の基盤として、当事者であるこどもたちや、日々彼らを見守る保護者が抱える生活実態や葛藤を把握することが重要です。本調査では、そういった声を調査し取りまとめることを目的に実施しました。

研究者のコメント

JAY(Japan Adolescent and Youth)調査では、保護者が社会としてこどもをデジタル環境から守るために必要だと考えていることをまとめました。その結果、こどもを守るためには家庭の努力だけでは限界があると感じている保護者が多いこと、そして、「行政」「企業」「学校・教育」が保護者と連携し、社会全体で重層的に支える枠組みの整備が求めていることが明らかとなりました。
現在、青少年のインターネット環境をめぐる議論は世界的な転換期を迎えています。オーストラリアや欧米諸国を中心に、未成年者のSNS利用制限や年齢確認の厳格化、プラットフォーム事業者の責任強化を求める法整備が次々と進み、日本国内でも法の見直しが本格化しています。本調査で得られた保護者の声が、今後の制度設計や政策検討における議論の一助となることを期待しています。
また、JAY調査は今後も継続し、こどもと保護者を取り巻く環境の変化を長期的に捉えながら、必要な知見を社会に発信していきたいと思います。

報告書について

「JAY (Japan Adolescent and Youth) 調査報告書(2020-2025年)別表:子どもたちとデジタル環境」の全文は国立成育医療研究センター「コロナ×こども本部」のウェブページで公開しています。

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

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