代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

  • アクセス・交通案内
  • 予約センター
  • MENU
  • トップ
  • > プレスリリース
  • > 2026
  • > 中等症~重症の小児アトピー性皮膚炎の多くは包括的な管理で良好なコントロールが可能~疾患教育・スキンケア指導・適切な外用療法により96.1%が軽症以下へ~

中等症~重症の小児アトピー性皮膚炎の多くは包括的な管理で良好なコントロールが可能~疾患教育・スキンケア指導・適切な外用療法により96.1%が軽症以下へ~

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)アレルギーセンターの谷口智城、豊國賢治、福家辰樹、山本貴和子を中心とする研究グループは、小児の中等症〜重症アトピー性皮膚炎に対する外用療法の長期的な有効性と安全性を検討した前向き疾患コホート研究(ROAD study)を実施しました。その結果、12か月間の追跡において、疾患教育、スキンケア指導、適切な外用療法を組み合わせた包括的な診療・管理のもとで、多くの患者さんが全身治療を必要とせず、長期にわたり良好な疾患コントロールを維持できることを明らかにしました。
本成果は、日本アレルギー学会の英文誌『Allergology International』に掲載されました。

図1:今回の研究結果まとめ【図1:今回の研究結果まとめ】

プレスリリースのポイント

  • 1年間の追跡評価が完了した中等症~重症の小児アトピー性皮膚炎の患者さん77名の結果です。
  • 患者さんとご家族に対する疾患教育、スキンケア指導、外用薬の適切な使用指導を含む包括的管理を実施しました。
  • 12か月後に85.7%の患者さんが治療前と比較して75%以上の皮膚症状が改善(EASI-75)しました。
  • 96.1%が軽症以下まで改善しました。
  • 患者さん本人のかゆみや睡眠障害、生活の質(QOL)、ご家族のQOL も大幅に改善しました。
  • 全身治療を新たに必要とした患者さんはわずか2.6%でした。
  • 副作用による重篤な皮膚や眼の合併症は認められず、安全性も確認されました。

研究背景・概要

アトピー性皮膚炎は乳幼児期から発症することが多く、慢性的な炎症と強い痒みを特徴とする疾患です。中等症以上では症状が改善しにくいこともあり、「長期的な外用療法の有効性と安全性」を明らかにすることが臨床上の重要な課題となっています。
近年、小児アトピー性皮膚炎の治療においては、生物学的製剤や全身療法の適応拡大が進む一方で、外用療法を中心とした包括的な管理でどこまでコントロール可能かについては十分なエビデンスが限られていました。
そこで本研究では、国立成育医療研究センターアレルギーセンターを初診で受診した中等症〜重症(EASI スコア 7.1以上)の小児アトピー性皮膚炎の患者さんを対象に、1年間の治療成績を追跡する前向きコホート研究を実施しました。当センターでは、ステロイド外用薬等で症状がない状態まで抑える「寛解導入療法」ののち、徐々に薬の回数を減らしていく「プロアクティブ療法」を取り入れた「寛解維持療法」を行っています。
治療では、ステロイド外用薬を中心とした標準治療に加え、患者さん・ご家族に対して以下の包括的な支援を実施しました。

●アトピー性皮膚炎の病態に関する説明
●アレルギーマーチとの関連についての説明
●適切なスキンケア方法の指導
●外用薬の適切な使用方法の指導
●治療計画の共有
●寛解維持を目的としたプロアクティブ療法の導入

【主な研究結果】
1.高い治療効果を確認
重症度指標であるEASI スコア中央値は、
●治療開始時:14.8
●6か月後:0.8
●12か月後:0.8
まで改善しました。
また、12か月後、
●EASI-75達成率:85.7%
●EASI-90 達成率:67.5%
●完全寛解(EASI-100)達成率:33.8%
でした。
12か月後には96.1%の患者さんが軽症以下(EASIスコア 7.0以下)となりました。

2.患者さんとご家族のQOL が改善
かゆみや睡眠障害が大幅に改善したほか、患者さん本人の生活の質(QOL)およびご家族へ
の負担を評価する指標も有意に改善しました。

3.全身治療を必要とした患者さんは少数
1年間の追跡期間中に新たに全身治療を開始した患者さんは2名(2.6%)のみでした。

4.安全性を確認
副作用による新たな皮膚合併症は少なく、眼の合併症の新規発症は認められませんでした。

今後の展望

本研究は、中等症~重症の小児アトピー性皮膚炎においても、疾患教育やスキンケア指導を含む包括的な診療体制のもとで適切な外用療法を継続することにより、多くの患者さんが全身治療を必要とせず良好な長期コントロールを達成できることを示しました。
研究グループは今後も、アトピー性皮膚炎の早期介入と適切な長期管理を通じて、子どもたちのQOL向上につながる診療・研究を推進していきます。

発表論文情報

題名:Long-term efficacy and safety of topical therapy in pediatric moderate to severe atopic dermatitis (ROAD study)

著者:谷口 智城1(筆頭著者)、豊國 賢治1、神保 智里1、萩野 紘平1、原間 大輔1、大森 茉令1、鈴木 大地1、梅沢 洸太郎1、島田 真実1、小笠原 久子1、平井 聖子1、石川 史1、濱口 冴香1、岸野 愛1、齋藤 麻耶子1、佐藤 未織1、森田 英明1,2、野村 伊知郎1、福家 辰樹1、大矢 幸弘1,3,4、山本 貴和子(責任著者)1
所属名:
1) 国立成育医療研究センター アレルギーセンター
2) 国立成育医療研究センター 免疫アレルギー・感染研究部
3) 名古屋市立大学大学院医学研究科環境労働衛生学
4) 藤田医科大学ばんたね病院総合アレルギー科

掲載誌:Allergology International
DOI: https://doi.org/10.1016/j.alit.2025.11.005
2025 年度 ダイバーシティ女性リーダーいくぞうプロジェクト 成育若手優秀論文賞

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

ページトップへ戻る