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アトピー性皮膚炎には複数の経過パターンが存在~出生から17歳まで追跡した日本人コホートで、疾患の長期経過とIgE感作パターンの多様性が明らかに~

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)アレルギーセンターの山本貴和子、福家辰樹を中心とする研究グループは、同施設で2003年から一般の小児を対象として行ってきた出生コホート1(成育コホート研究)を用い、アトピー性皮膚炎の長期的な経過とIgE感作2およびアレルギー症状の推移を、出生から17歳まで解析しました。
そして、補足解析では医師診断と保護者申告の両方を比較することで、アトピー性皮膚炎の経過パターンの分類数や内容が評価方法によって異なること(4パターン、5パターン)、さらに経過パターンに応じてIgE感作や合併症の経過に違いがあることが明らかになりました。
本研究は、アトピー性皮膚炎の多様性とその免疫学的背景を長期的に明らかにした、アジアでも稀な研究です。
本成果は、英国アレルギー学会誌『Clinical & Experimental Allergy』に掲載されました。

[1]出生コホート:妊娠中から子どもを長期的に追跡調査し、生活環境や化学物質などの要因が子どもの成長や健康にどのような影響を与えるかを解明する手法のこと。
[2]IgE感作:アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が体内に入った際、それに対抗するための「特異的IgE抗体」が体内で作られ、免疫細胞に結合してアレルギー反応を起こす準備が整った状態のこと。

図1:アトピー性皮膚炎の経過パターン比較
【図1:アトピー性皮膚炎の経過パターン比較】

プレスリリースのポイント

  • 医師診断によるアトピー性皮膚炎は、出生から思春期までに4種の経過パターンに分類されました。
  • 医師診断と保護者申告では異なる経過パターンが検出され、医師診断では4パターン、保護者申告では5パターンと分類数や内容が異なり、さらにIgE感作やアレルギー症状(喘息・アレルギー性鼻炎など)との関連がわかりました。
  • IgE感作には年齢による特徴的な変化がみられ、食物IgEは幼児期から高く、吸入IgEは年齢とともに増加していました。
  • アトピー性皮膚炎の経過パターンによって、喘息・アレルギー性鼻炎などの併存するアレルギー疾患の推移が異なり、特に持続型では強いアレルギー体質(高いIgE感作・併存するアレルギー疾患の多さ)が認められました。

背景・目的

アトピー性皮膚炎は、発症時期や重症度、持続性が患者さんごとに大きく異なる疾患です。近年では、臨床症状に加えて免疫学的特徴に基づく「エンドタイプ3」の概念が注目されています。
また、アトピー性皮膚炎の臨床像やIgE感作パターンは人種や地域によって異なることが知られていますが、日本を含むアジア人集団において、出生から思春期まで長期間にわたり前向きに追跡した研究は極めて限られていました。

[3]エンドタイプ:疾患の背後にある体内での原因メカニズムごとの分類のこと。

研究手法と結果

本研究では、成育コホート(T-CHILD Study)に参加した出生コホートを対象に、出生から17歳まで前向きに追跡しました。
 ●妊娠16週未満に母親を登録(2003-2005年)
 ●17歳まで医師診断と保護者申告によるアトピー性皮膚炎を繰り返し評価
 ●5、9、13、17歳時に約100種類以上のIgE抗体価(ISAC)を測定
 ●潜在クラス成長分析(LCGA)によりアトピー性皮膚炎の長期的経過パターンを特定

1)アトピー性皮膚炎には複数の経過パターンが存在
 ●医師診断:4パターン
 ●保護者申告:5パターン
  → 評価方法により分類数や内容が異なることが判明
2)IgE 感作の年齢別パターン
 ●食物IgE4:幼児期から高い
 ●吸入IgE5:年齢とともに増加
3)持続型アトピー性皮膚炎は最も強いアレルギー体質と関連
 ●持続型アトピー性皮膚炎では
  ・喘息・アレルギー性鼻炎の合併が最多
  ・食物IgE感作は高い水準で推移
  ・吸入IgE感作も最も高値
4)家族歴が最大のリスク因子
 ●親にアトピー性皮膚炎がある場合、すべてのタイプでリスク上昇
 ●特に持続型アトピー性皮膚炎では最も上昇

[4]食物IgE:特定の食べ物(アレルゲン)に体が反応して作るアレルギー抗体のこと。
[5]吸入IgE:花粉やハウスダストなど空気中の物質に対して作られるアレルギー抗体のこと。

図2:併存するアレルギー疾患、IgE 陽性率の割合【図2:併存するアレルギー疾患、IgE陽性率の割合】

発表論文情報

題名:Unraveling the Natural History of Atopic Dermatitis: Prospective Disease
Trajectories and Longitudinal IgE Sensitization from Birth to Adolescence
著者:山本 貴和子(責任著者)1,2、羊利敏、平井 聖子1、豊國 賢治1、福家 辰樹1、大矢幸弘3,4

所属名:
1) 国立成育医療研究センター アレルギーセンター
2) 国立成育医療研究センター エコチル調査研究部
3) 名古屋市立大学大学院医学研究科環境労働衛生学
4) 藤田医科大学ばんたね病院総合アレルギー科

掲載誌:The Clinical & Experimental Allergy
DOI: https://doi.org/10.1111/cea.70325

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

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※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

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