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双極症の治療薬・炭酸リチウムの"妊婦禁忌"解除へ ~疾患の再発防止と安全な妊娠・出産・育児の両立を目指す~

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)女性の健康総合センター(センター長:小宮ひろみ)の「妊娠と薬情報センター」は、これまで妊婦への投与が禁忌とされていた「炭酸リチウム」について、最新の疫学データや海外の動向に基づき、妊娠中の使用による影響を評価しました。その結果、適切な管理下であれば妊婦への投与が可能であると結論づけ、妊婦禁忌の解除を求める報告書を厚生労働省に提出しました。この報告書を受け、2026年3月に開催された厚生労働省の薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会において、妊婦禁忌解除の妥当性が認められ、医薬品添付文書1の禁忌欄から「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」が削除されることになりました。
炭酸リチウムは、双極症(躁うつ病)の治療において必要不可欠な薬です。特に、精神疾患の中で最も高いとされる自殺率を低下させることが知られており、必要とする患者さんが一定数存在します。双極症は妊娠可能年齢で発症することが多く、妊娠・出産と治療が重なるケースが少なくありません。双極症の女性が妊娠中に治療を中断した場合、80%以上が再発するとの報告もあり、産後の急激な病状悪化がお母さんと赤ちゃん双方の健康や安全に及ぼす影響を回避するためにも、継続治療の重要性が指摘されていました。
なお、禁忌が解除された後も精神科と産科・新生児科が緊密に連携した体制下で、リスクについて十分な説明と管理ができる医師のもとで投与を行うことが強く求められます。
「妊娠と薬情報センター」では、今後も最新の知見を速やかに反映させ、妊婦の方々が適切な治療選択を検討できるよう取り組んでまいります。

[1]添付文書:医薬品などに添付され、使用上の注意や用法・用量、効能、副作用などを記載している書面のこと。

妊娠と薬情報センターについて

妊娠と薬情報センターは、2005年10月に厚生労働省事業の一環として国立成育医療研究センター内に設立され、妊娠中および授乳中の薬物治療に関する不安を持つ女性からの相談に対応しています。また、「妊婦・授乳婦を対象とした薬の適正使用推進事業」のもと、情報提供ワーキンググループを設置し、データを分析・評価した報告書をとりまとめ、厚生労働省に提出しています。これまでに、以下の医薬品について妊婦禁忌が解除されています。

  • 免疫抑制剤:シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリン
  • カルシウム拮抗薬:ニフェジピン、アムロジピン
  • β遮断薬:ビソプロロール、カルベジロール
  • 消化管運動改善剤:ドンペリドン
本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

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