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【全国・思春期のこどもとその保護者への縦断調査】 2023年と比べ2025年では、思春期のこどもがいる家庭の経済状況は悪化 ~抑うつは2024年に増加したが、2025年は減少に~

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区 理事長:五十嵐隆)は、2020年から、10代のこどもとその保護者を対象にJAY(Japan Adolescent and Youth)コホート(全国思春期調査:(旧)新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する実態調査)を実施し、社会情勢が思春期のこどもの発達過程においてどのような影響を与えるのかを、長期的かつ累積的に調査しています。
2024年と2025年秋に実施した最新調査を含め経時的に分析すると、「家庭の経済状況」では「大変苦しい」「やや苦しい」を合わせた割合が、2023年と2024年は34%でしたが、2025年は41%と悪化していることが分かりました。
また2025年調査では、保護者に対して初めて介護や仕事、育児に対する「時間のきびしさ」を聞いており、77.6%もの保護者が時間的に厳しいと感じていることも分かりました。家庭全体がゆとりを失っている状況は、こどもの心の状態を考える上で見落とせない背景で、こどもに加えて保護者への支援も重要であると考えます。

グラフ1:思春期のこどものいる家庭の主観的経済状況

【グラフ1:思春期のこどものいる家庭の主観的経済状況】



就寝時間については、2025年は中学3年生以降のこどもは23時よりも遅く寝る割合が半数以上を占めていました。2023年と比べ、起床時間も就寝時間も遅くなっていました。

グラフ2:こどもの就寝時間

【グラフ2:こどもの就寝時間】



2025年に、1日1時間以上の運動を「週4日以上」行ったと回答した割合は、男子54.5%、女子42.9%であり、2021年から2025年まで男女ともに経年的に減少していました。このような近年見られるこどもの生活習慣の変化が健康に与える影響を注視し、その要因の把握、改善のための効果的な取り組みについても検討が必要だと考えています。

グラフ3:1日1時間以上の運動が週4日以上の割合

【グラフ3:1日1時間以上の運動が週4日以上の割合】



こども本人が自分を評価する「抑うつ傾向[1]」については、受診の目安となる中等度以上が、全体で2023年は13.3%、2024年は14.7%、2025年は11.0%でした。男女別に見ると、男子では2023年(9.2%)と比べて2024年(10.7%)にわずかな悪化傾向が見られたものの、2025年(8.2%)には回復しました。女子では2023年(17.3%)に比べ2024年(18.3%)は横ばいでしたが、2025年(13.7%)には改善していました。新型コロナウイルス流行以降に続いていた抑うつの悪化傾向には、一定の歯止めがかかったと考えられます。ただし、流行前との比較データが欠如している点も含め、依然として中等度以上の割合は一定数存在しており、今後も慎重に推移を追っていく必要があります。

グラフ4:こどもの中等度以上の抑うつ症状の割合

【グラフ4:こどもの中等度以上の抑うつ症状の割合】

プレスリリースのポイント

  • 層化二段無作為抽出法[1]により全国50自治体から選ばれた小5~高校生のこどもとその保護者を対象に調査票を郵送し、2020年10月から毎年秋に調査を実施しています。
  • 現在の家庭の経済状況について「苦しい」「やや苦しい」との回答は、2024年までと比べて2025年度は4割と明らかに増加していました。また、保護者が介護・仕事・育児・家事などで「時間的にきびしい」と感じる割合(「ほぼ毎日ある」「よくある」の合計)は、学年によりバラツキはあるもの2~4割にのぼりました。いずれの年代でも母親の就労率(86〜90%)は父親の就労率(88〜94%)とほぼ同水準であり、家庭全体がゆとりを失っている現状は、こどもたちの心の状態を考える上でも見落とせない背景です。こどもの健やかな成長のためには、保護者への支援も極めて重要であるといえます。
  • 中等度以上の抑うつ症状があるこどもの割合は、2021年の11.4%から2022・2023年は13.3%、2024年には14.7%へと上昇し悪化が続いていましたが、2025年には11.0%まで低下し、改善に転じました。なお、抑うつ傾向や孤独感などの指標は、一貫して女子の方が男子よりも高い水準にあります。

    研究者のコメント

    本調査は、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行を契機として、社会情勢がこどもたちおよび保護者のメンタルヘルスや生活にどのような影響を及ぼしたのかを明らかにすることを目的に始まりました。そして、思春期の発達過程における長期的かつ累積的な影響を捉えることの重要性が一層高まっている現在の社会情勢を受け、2025年より「JAY(Japan Adolescent and Youth)調査」として再出発しています。
    コロナをきっかけに明らかになった、こどもたちを取り巻く多様な背景や困難に対し、一過性の支援に留まらず、それぞれの状況に応じた実践を継続していくことが求められています。本調査結果が、個人として、また社会として、次世代のために何ができるのかを共に考え続けるきっかけになることを期待します。

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

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