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ナッツアレルギー重症例も「治る」を目標にできる 超低用量・緩徐増量法による家庭での経口免疫療法を検証~アナフィラキシー経験があっても安全に日常生活を送るための新戦略~
その結果、解析対象者全員が重篤な副反応を起こすことなく、日常生活で加工食品やコンタミネーション(微量混入)を気にせず生活できる「実用的な耐性」を獲得しました。
本成果は、英国アレルギー学会誌『Clinical & Experimental Allergy』に掲載されました。
[1]超低用量・緩徐増量法:アレルギーの原因食物を「ごくわずかな量」から食べ始め、数ヶ月〜数年単位で「非常にゆっくり」と慣らしていく方法。
注意:食物アレルギーを発症しているお子さんは、自己判断で開始せず、必ず医師の指導の下で行ってください。
【図1:今回の研究結果まとめ】プレスリリースのポイント
- 「治らない」から「治せる」へ: 自然治癒率が10%未満とされるナッツアレルギーにおいて、独自のプロトコル(手順)により、日常生活に支障のないレベルの「実用的な耐性」を獲得できる症例があることを明らかにしました。
- 過去にアナフィラキシーを経験した患者さんでも安全に実施: 対象者の約半数が重篤な症状があるハイリスク群でしたが、治療期間中にアドレナリンの使用が必要な症例は一例もありませんでした。
- 「実用的な耐性」という新しい目標: 全ての制限を解除する「完全治癒」の前に、まずは加工食品や外食、微量混入を安心して受け入れられる「タンパク質750mg(ナッツ現物 約5g)」の摂取を確実な目標として確立しました。
- 心理的負担の軽減: 負荷試験で「合格した量」を家庭での摂取上限とするため、恐怖心を与えず「楽しく食べて治す」ことが可能です。
背景・目的
クルミやカシューナッツは、微量でも重篤な症状を引き起こすリスクが高く、かつ自然治癒が極めて稀なため、これまでは「一生、厳格に除去し続ける」ことが標準的な考え方でした。
また、微量でアナフィラキシーが起こるリスクがあります(WHO が示している5%のクルミアレルギーの方に症状が出る蛋白量は1.2mg、クルミそのものの量で0.008gです)。しかし、この「一生治らない」という概念は、患者さんとご家族に多大な心理的・社会的負担を強いてきました。 本研究は、こうした「治らない」という従来のコンセプトを、「安全に、確実に、日常生活で困らない状態まで治す」という前向きな目標へと転換することを目的としています。
研究手法と結果
2021年から2024年の間に、当センターで治療を受けた4から18歳のクルミおよびカシューナッツアレルギーの子ども33名(クルミ27名、カシューナッツ6名。うちアナフィラキシー経験15名)を対象に調査を実施しました。1. 超低用量・緩徐増量プロトコル: ナッツ蛋白0.45mgという極微量から開始し、当センター独自の負荷試験で症状が出ないと確認した量を超えない量で蒸しパンなどの治療用食品を用いて家庭摂取を継続。
2. 主要な成果:
●重篤な副反応ゼロ: 800日を超える長期治療においても、中等症以上の症状誘発や緊急受診は一例もありませんでした。
●免疫学的裏付け: 血液検査においても、原因成分(Jug r 1, Ana o 3)へのIgE抗体価が低下していることが示されました。
発表論文情報
題名:Low-Dose, Slow-Escalation Home-Based and Sustainable Oral Immunotherapy for Walnut and Cashew Allergy: A Retrospective Case Serie
著者:萩野 紘平(筆頭著者)1,2、山本 貴和子(責任著者)1、神保 智里1、谷口 智城1、原間 大輔1,3、大森 茉令1、鈴木 大地1、梅沢 洸太郎1、濱口 冴香1、石川 史1、平井 聖子1、豊國 賢治1、福家 辰樹1、大矢 幸弘4,5
所属名:
1) 国立成育医療研究センター アレルギーセンター
2) 高知大学 医学部小児思春期医学講座
3) 山梨大学 大学院総合研究部医学域 臨床医学系(小児科学)
4) 名古屋市立大学 大学院医学研究科環境労働衛生学
5) 藤田医科大学 ばんたね病院総合アレルギー科
掲載誌:The Clinical & Experimental Allergy
DOI: https://doi.org/10.1111/cea.70319
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国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
03-3416-0181(代表)
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※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。



