代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

  • アクセス・交通案内
  • 予約センター
  • MENU
  • トップ
  • > プレスリリース
  • > 2026
  • > 世界初・男児の生殖細胞でDNAメチル化が確立する時期を解明 ~iPS細胞を活用した不妊治療開発への足掛かりに~

世界初・男児の生殖細胞でDNAメチル化が確立する時期を解明 ~iPS細胞を活用した不妊治療開発への足掛かりに~

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)の前・細胞医療研究部 渡部聡朗(現・共同研究管理室)、泌尿器科 長谷川雄一、病理診断部 義岡孝子らの研究グループは、男児の生殖細胞を調べ、DNAにメチル化1が確立する発達段階は生後3か月から2歳くらいまでということを世界で初めて明らかにしました。
生殖細胞におけるDNAメチル化が正常に起こらないと、ゲノムに寄生しているレトロウイルス2が爆発的に活性化し、生殖細胞が死滅して、不妊につながることが知られています。
そのため、不妊のメカニズムを明らかにしていくために、本研究成果が役立つと思われます。また、今回の成果により、DNAメチル化状態を指標に生殖細胞の発達状態を決定することが可能になりました。本研究は、iPS細胞からの精子発生といった、将来の不妊治療を開発していくために基盤となる研究成果です。
本研究成果は、国際的な学術誌「Nature Communications」に掲載されました。

[1]DNAメチル化:DNA上の化学修飾で細胞が遺伝子のスイッチをON/OFFする仕組みのひとつ。
[2]レトロウイルス:RNAを遺伝物質として持ち、感染した細胞内で逆転写酵素を使ってRNAからDNAを合成する(逆転写)ウイルス群です。この合成したDNAを宿主のDNAに組み込み、長期的に潜伏・増殖する特性があります。

図1:サルを活用して、男児の生殖細胞のDNA メチル化確立の時期を決定【図1:サルを活用して、男児の生殖細胞のDNA メチル化確立の時期を決定】

プレスリリースのポイント

  • ヒトやサルの雌雄生殖細胞で起こるDNAメチル化確立の時期を世界で初めて解明しました。
  • 男性は生後3か月から2歳くらいまでに、女性では年齢によらず二次卵胞3内の卵子で確立することが分かりました。
  • ヒトの生殖細胞発生ステージを決定するのに役立つ基礎的な知見となります。
  • iPS細胞からの配偶子(精子・卵子)作製の研究を推進するための足がかりとなる成果です。


[3]二次卵胞:卵巣内で原始卵胞が成長し、顆粒膜細胞が多層(2〜3 層以上)に増殖して卵子を取り囲む状態の卵胞のこと。

背景・目的

マウスにおける研究から、生殖細胞の発生過程においては、DNAへのメチル化修飾がゲノム全体でいったん消去されて、その後再確立することが知られています。ヒトの生殖細胞ではDNAメチル化の消去が受精後10週までに起こることは明らかにされていましたが、再確立が起こる時期についてはこれまで分かっていませんでした。
DNAメチル化の確立は、生殖細胞発生に特徴的なイベントであり、DNAメチル化レベルは生殖細胞の発生段階を決定する分子的指標となります。ヒト生殖細胞の研究や不妊研究にも役立つと考えられるものの、ヒトではDNAメチル化確立に関する研究がこれまでまったく行われていませんでした。

研究概要

研究グループは、初めに発生過程のサンプルを比較的容易に入手できる二種類のサル(マーモセットとカニクイザル)を用いて雄の生殖細胞のDNA メチル化確立の時期を確認しました。そして、両種のサルの生殖細胞では、DNAメチル化確立が生後にスタートして、おおよそ1歳程度までに渡って徐々に確立されていくことが分かりました。
このサルにおける結果から、ヒトでも同様な時期に起こることが予想されました。そこで、国内(国立成育医療研究センター、新潟大学、自治医科大学、東邦大学)および国外の医療機関(UCSF、コペンハーゲン大学)と協力して、生後から2歳程度を中心とした男児の精巣生殖細胞を調べ、生後3か月から2歳にかけてDNAメチル化の確立が行われていることを明らかにしました。

発表論文情報

タイトル:Establishment of DNA methylation during primate germ cell development
執筆者: 小島一晃1,2, Yi Li3, 富澤信一4, 小原実穂5, 久世裕太6, 佐藤拓哉6, 江端俊伸6, 一丸(首浦)武作志7, Mei Cao8, 服部竜也9, 前澤創9, Sofia B Winge10, Kristian Almstrup10,11, 仲木竜12, 佐藤慎哉13, 宮城洋平13, 醍醐弥太郎14,15, 義岡孝子16, 長谷川雄一17, 木下義晶18, 日向泰樹19, 守屋仁彦19, 小林秀行20, Laurence Baskin8, 山海直5,渡部聡朗1,2,*

所属:
1) 国立成育医療研究センター 細胞医療研究部
2) 実験動物中央研究所 マーモセット研究部
3) Department of Urology, Center for Reproductive Sciences, University of California, San Francisco
4) 横浜市立大学 医学部 組織学
5) 霊長類医科学研究センター
6) 株式会社ダイナコム
7) 佐賀大学 医学部 分子生命科学講座
8) Department of Urology, University of California, San Francisco
9) 東京理科大学 創域理工学部
10) Department of Growth and Reproduction, Copenhagen University Hospital-Rigshospitalet
11) Department of Cellular and Molecular Medicine, Faculty of Health and Medical Sciences, University of Copenhagen
12) 株式会社Rhelixa
13) 神奈川県立がんセンター 臨床研究所 がん分子病態学部
14) 東京大学 医科学研究所 学術研究基盤支援室
15) 滋賀医科大学 腫瘍センター
16) 国立成育医療研究センター 病理診断部
17) 国立成育医療研究センター 泌尿器科
18) 新潟大学 小児外科
19) 自治医科大学 小児泌尿器科
20) 東邦大学 泌尿器科

掲載誌:Nature Communications
DOI10.1038/s41467-026-71405-z

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

ページトップへ戻る