NIPT導入の前後10年間における各出生前遺伝学的検査を解析 ~羊水検査、絨毛検査は減少し、高リスク症例に実施の可能性~
国立成育医療研究センター(東京都世田谷区、理事長:五十嵐隆)の佐々木愛子ら、厚生労働科学研究・こども家庭庁研究グループ(研究代表:京都大学 小西郁生、お茶の水女子大学三宅秀彦)は、2013年にNIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)[1]が導入された前後10年、2003~2023年までの20年間に渡って、日本における出生前遺伝学的検査の実施状況のデータを解析しました。
その結果、NIPTの導入以降、羊水検査[2]や絨毛検査[3]などの侵襲的検査は大きく減少していることが明らかになりました。一方で、侵襲的検査における染色体異常の検出率は8.4%から20%へと上昇しており、より高いリスクの症例に対して侵襲的検査が実施されている可能性が示されました。
また、全妊婦における出生前遺伝学的検査全体の実施率は、2011年頃の約3%から2023年には約11.5%へ増加しており、日本における出生前遺伝学的検査のあり方が大きく変化していることが示されました。
本研究は、全国規模で出生前遺伝学的検査の長期的変化を示したもので、今後の出生前医療および遺伝カウンセリング体制の検討に重要な基礎資料となることが期待されます。
[1] NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査):採血をすることによって、妊婦の血液中に含まれる胎児由来DNAを解析し、胎児の染色体異常を調べる検査。
[2] 羊水検査:妊婦の腹部から子宮内に細い針を刺して羊水を採取し、胎児の染色体異常などを調べる確定診断の検査。
[3] 絨毛検査:妊婦の腹部または子宮頸部から器具を挿入し、胎盤の一部(絨毛)を採取して胎児の染色体異常などを調べる確定診断の検査。
プレスリリース
- 2013年のNIPT導入後、羊水検査・絨毛検査などの侵襲的検査は大きく減少。
- 羊水検査や絨毛検査といった侵襲的検査における染色体異常の検出率は8.4%(2006年)→20%(2023年)に上昇しており、「より高いリスク症例」において検査が実施されている可能性が示されました。
- 全妊婦における出生前遺伝学的検査全体の実施率は約3%(2011年頃)→11.5%(2023年)へ増加。
- 日本における各出生前遺伝学的検査の変化を示す包括的な全国データです。

研究概要
対象
日本において出生前遺伝学的検査解析を行っている主要5機関 ※期間によって、機関数は変動します。
期間
2003年~2023年(20年間)
解析項目
- 母体血清マーカー検査(初期含む)
- 羊水検査
- 絨毛検査
- 超音波検査のみによるリスク算定検査
- 検査実施件数の推移
- 染色体異常検出率
- 全体実施率
発表論文情報
タイトル:Two-decade trends in prenatal genetic testing in Japan
執筆者:Aiko Sasaki ほか
所属:国立成育医療研究センター ほか
掲載誌:Journal of Human Genetics, 2026 Mar 2
DOI:https://doi.org/10.1038/s10038-026-01465-y
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