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産後退院直後から入浴しても子宮内膜炎や会陰創部感染は見られず 産後1ヵ月以内の入浴制限を見直しても良い可能性

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)の周産期・母性診療センター産科の小川浩平、衣斐凜子らの研究グループは、当センターおよび国立国際医療センターで経腟分娩後の女性を対象として、産後1ヵ月以内に湯船につかる入浴の安全性と有効性を検討しました。
その結果、退院直後から湯船につかる入浴を許可しても、子宮内膜炎[1]や会陰創部感染を起こした方はいませんでした。また入浴を許可された群では、入浴に対する満足度が有意に高かったことも分かりました。
日本では、産後1ヵ月健診までは湯船につからないように産科医から指導されることが多く、こういった慣習を見直しても良い可能性を示唆しています。
本研究成果は、2026年2月24日に国際学術誌「International Journal of Gynecology and Obstetrics」誌に掲載されました。

[1] 子宮内膜炎:細菌感染などにより子宮の内側を覆う子宮内膜に炎症が起こる疾患です。発熱や下腹部痛、不正出血などの症状がみられる場合があります。

主要アウトカムの比較

プレスリリースのポイント

  • 合計577人(入浴許可群324人、入浴禁止群253人)を解析し、両群ともに産後1ヵ月健診までに子宮内膜炎および会陰創部感染は1例も発生しませんでした。(表1)
  • 統計学的有意差はありませんでしたが、産後うつのハイリスクとされるEPDSスコア(エジンバラ産後うつ病質問票)[2]が9点以上の割合が入浴許可群で少なくなっていました。(グラフ1)
  • 統計学的有意差はありませんでしたが、会陰部痛、骨盤痛がある割合が入浴許可群で少なくなっていました。(グラフ1)
  • 入浴に対する満足度は入浴許可群で有意に高いことがわかりました。(グラフ1)

[2] EPDSスコア(エジンバラ産後うつ病質問票):産後の女性の心の状態を調べる10項目の質問票。過去1週間の気分や不安感などについて回答する。各質問は0~3点で評価され、合計点は0~30点。9点以上の場合は抑うつ状態の可能性があり、注意が必要とされる。

副次的アウトカムの比較

背景・目的

日本では経腟分娩後、産後1ヵ月健診まで感染予防目的に湯船につかる入浴を控えるよう指導されることが多くあります。しかし、湯船につかる入浴が会陰創部や子宮内の感染のリスクを高めるという医学的根拠はなく、あくまで慣習的な指導にすぎません。一方、欧米を中心とした諸外国では産後の会陰部痛の軽減を目的とした座浴が近年注目されてきています。座浴は下半身を湯や水につける方法で、会陰部や骨盤周りの血流を促進させて痛みを和らげる効果があることも報告されています[3]。このような座浴の考え方を鑑みると湯船につかる入浴も同様に安全かつ有効である可能性が高いと考えられます。さらに出産後の女性は分娩や育児、生活環境の変化により心身に大きな負担を受けています。私たちは湯船入浴による疲労軽減やリラックス効果は産後のマイナートラブルの緩和や精神的安定につながる可能性があると考えました。

[3] ➀Kaur S, Sheoran P, Chand S, Haobijam J. Comparison of Infra Red Light Therapy vs Sitz Bath on Episiotomy in Terms of Wound Healing and Intensity of Pain among Postnatal Mothers. International Journal of Nursing Care. 2014;2(1).
➁Khosla P. Effect of Sitz Bath on Episiotomy Wound Healing and Level of Pain among Post Natal Mothers. International Journal of Advances in Nursing Management. 2017;5(3).

研究概要

研究期間:2024年8月~2025年3月
研究対象:国立成育医療研究センターおよび、国立国際医療センターで経腟分娩をした577人。
研究形式:前向き非ランダム化前後比較研究
研究方法:退院後から湯船入浴を許可する群と産後1ヵ月健診まで湯船入浴を禁止する群に分け調査しました。
評価項目:子宮内膜炎または会陰創部感染、EPDS、会陰部痛・骨盤痛、入浴に対する満足度を両群間で比較しました。

研究の概要図

発表論文情報

タイトル:Safety and effectiveness of routine postpartum bathing in a bathtub: a prospective study in Japan
執筆者:衣斐凜子1,2、小川浩平1,3*、直海玲1、中西美紗緒4、大石元4、宮坂尚幸2、和田誠司1
(*責任著者)

所属:
1)国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 産科
2)東京科学大学 周産・女性診療科
3) 国立成育医療研究センター 社会医学研究部
4) 国立国際医療センター 産婦人科

掲載誌:International Journal of Gynecology and Obstetrics
DOI:10.1002/ijgo.70893

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

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※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

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