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異種移植に関する国内最大規模の意識調査 ~異種移植を日本で実施するには社会的な準備が必要である~

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)の医事法制研究部・神里彩子らの研究グループは、異種移植に対する一般市民の認知度や意識を把握するためにウェブアンケート調査を行い、20歳から79歳までの一般市民3,209名から回答を得ました。この調査は、国内最大規模の異種移植に関する意識調査です。
その結果、「異種移植」という言葉も内容も知らなかった人は52.9%(1,698人)を占めました。また「将来、異種移植が医療行為として行われることについてどう思うか?」を質問したところ、肯定的な意見を持つ人は53.8%(1,724人)、否定的な意見を持つ人は40.6%(1,302人)、現時点では判断ができない人が5.7%(183人)でした。
ゲノム編集技術の登場によって移植用ブタの開発が進み、近年、アメリカや中国を中心に異種移植の実施が加速しています。日本でも、複数の大学が異種移植の臨床試験の準備を進め、また、企業が遺伝子改変ブタの繁殖に成功したことが報道されており、臨床試験の実施が現実味を帯びてきています。
異種移植は、移植のための臓器不足を解消する方法として期待されると同時に、動物由来の病原体への感染リスクなど社会的課題も抱えています。
本調査結果から、日本では異種移植を実施するための社会的な準備がまだ整っていないことが示唆されました。研究者や行政は、一般市民への理解を深めるための情報提供や環境整備を実施することが求められます。

本論文は、異種移植を専門とする学術誌「Xenotransplantation」に掲載されました。


異種移植に関するアンケート調査のデータ

プレスリリースのポイント

  • 「異種移植」という言葉も内容も知らなかった人は52.9%(1,698人)を占めました。内容を知っていた34.6%(1,110人)の人でも、「異種移植の目的が移植用臓器不足を解消させること」であることを知っていた人は51.9%(576人)に留まり、動物由来の病原体への感染リスクがあることを知っていた人は39.0%(433人)でした。
  • 将来的に異種移植が医療行為として行われることに肯定的な意見を持つ人は53.8%(1,724人)でした。一方、否定的な意見を持つ人は40.6%(1,302人)、現時点では判断ができない人が5.7%(183人)でした。
  • 自分が臓器移植を必要とする病状になり医師から異種移植を勧められた場合には、77.0%(2,473人)が抵抗感を抱き、21.2%(682人)が抵抗感はないと回答しました。
  • また、医師から異種移植を勧められた場合に異種移植を決断するかどうかを尋ねると、60.9%(1,956人)が異種移植を「受けない」、34.6%(1,108人)が「受ける」と回答しました。
  • 異種移植を受けることなった場合には、58.0%(1,861人)が他者からの差別などに不安を感じ、88.2%(2,831人)が動物由来の病原体への感染に不安を感じると回答しました。
  • 自分が臓器移植を必要とする病状になり他の方法の移植医療も受けられる場合において、「移植を希望すると思う」と回答した56.8%(1,823人)のうち異種移植を第一選択とした人はわずか1.7%でした。

異種移植に関するアンケート調査結果

今後の展望

本調査結果から、日本で臨床試験を開始するまでに以下4点の実施が望まれます。

  1. 行政と研究者は、異種移植の背景や目的、特徴、異種移植以外の技術開発の現状を含め、一般市民が異種移植について十分に理解できるよう、分かりやすく最新の情報を提供していくこと。
  2. 行政と研究者は、動物由来の病原体への感染リスクについて厳格な評価を行い、その結果を社会に周知することで、社会が異種移植を受け入れるかどうかを判断できるようにすること。受け入れるのであれば、行政は患者に対する差別などが起きない社会環境を積極的に整備すること。
  3. 研究者は、患者の身体的・精神的な負担とリスクを軽減するために異種移植に関する知識と技術の向上に継続的に取り組み、行政はそのための支援を行うこと。
  4. 行政は、異種移植を移植医療の一つの選択肢と捉え、同時に他の方法の研究開発を推進するとともに、脳死下・心停止下での臓器移植についての広報活動も継続すること。

発表論文情報

タイトル:What Kind of Social Preparations Are Needed for Xenotransplantation? A Survey Study of the Japanese General Public.
掲載誌:Xenotransplantation 32, no. 6 (2025): e70105.
DOI:https://doi.org/10.1111/xen.70105
執筆者:神里彩子1、細谷聡史2
所属:
1)国立成育医療研究センター 研究所 医事法制研究部
2)国立成育医療研究センター 研究所 細胞医療研究部

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

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※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

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