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RSウイルス母子免疫ワクチンの接種率は約11.6%~全国調査で判明した『費用負担感』と『情報不足』が課題~

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)の社会医学研究部 臨床疫学・ヘルスサービス研究室の大久保祐輔室長の研究チームは、全国規模のアンケート調査を実施し、RSウイルス母子免疫ワクチン[1]の接種率およびその関連要因を検討しました。RSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ®)は、2024年5月末から国内で接種が可能となりましたが、任意接種として提供されており、1回あたり約3〜4万円の自己負担が必要な状況です。
本研究は、2024年7月〜2025年8月に出産した1279名の女性を対象としたオンラインによる全国調査です。妊娠中にRSウイルス母子免疫ワクチンを接種した割合は約11.6%(95%信頼区間:9.8〜13.3%)でした。また、世帯年収と教育歴による接種率の違いを確認したところ、世帯年収や教育歴が高いほどRSウイルス母子免疫ワクチンの接種率が高い傾向が認められました(図1)。

図1:教育歴および世帯収入別にみたRSウイルス母子免疫ワクチン接種率【図1:教育歴および世帯収入別にみたRSウイルス母子免疫ワクチン接種率】

RSウイルス母子免疫ワクチンを接種した女性(N=148)における支払い費用の負担感については、87.2%が「やや高い」または「とても高い」と回答しました。
一方、RSウイルス母子免疫ワクチンを接種しなかった女性(N=1131)では、接種しなかった理由として「予防効果を知らなかった(28.9%)」、「ワクチンの存在を知らなかった(27.3%)」、「自費での支払額が高すぎる(18.7%)」の順に多くみられました。77.5%の方は「無料であれば接種をする」と回答した一方で、15.0%の方は「無料でも受けたくない」と回答しました。
本研究結果から、RSウイルス母子免疫ワクチンの接種率は低く、接種率の向上には、自己負担の軽減とあわせて、妊婦および医療現場への分かりやすい情報提供が重要であることが示されました。本研究の成果は、感染症分野の学術誌「Journal of Infection and Chemotherapy」に2025年12月付で論文として掲載されました。

※本研究の内容はすべて著者らの意見であり、厚生労働省の見解ではありません。

[1] RSウイルス母子免疫ワクチンとは、妊婦さんが妊娠中に接種することで母体内で作られたRSウイルスへの抗体を胎盤を通して赤ちゃんに移行させ、生後6ヵ月頃までの赤ちゃんのRSウイルス感染を予防するワクチンのこと。妊娠24週から36週の間での接種が推奨されています。RSウイルスは感染力が高く、新生児や乳児が感染すると肺炎や細気管支炎などの症状が重症化しやすいのが特徴です。

プレスリリースのポイント

  • RSウイルス母子免疫ワクチンの接種率は約11.6%にとどまり、導入初期の日本では十分に普及していない実態が明らかになりました。
  • 世帯年収や教育歴が高いほど接種率が高く、社会経済的背景による接種格差が確認されました。
  • 接種者の約9割が費用を高いと感じており、未接種者の約8割は「無料であれば接種する」と回答しました。
  • 接種しなかった主な理由は、予防効果やワクチン自体に関する認知不足であり、費用負担と情報提供の両面が重要であることが示されました。

研究の背景

RSウイルスは乳児の重い呼吸器感染症の主要な原因であり、妊娠中のワクチン接種による出生後早期の予防が期待されています。日本ではRSウイルス母子免疫ワクチンが2024年5月末に導入されたものの、任意接種で高額な自己負担を伴う状況にあります。そのため、実際の接種率や社会経済的背景による差は明らかになっておらず、本研究では全国調査によりその実態を明らかにしました。

研究の考察

本研究で示された日本のRSウイルス母子免疫ワクチン接種率は約11.6%にとどまり、世帯年収や教育歴による勾配がみられました。この結果は、接種率が約30〜50%と報告されているアメリカやイギリスと比べて、著しく低い水準でした。また、アメリカやイギリス、オーストラリアなど公費で自己負担なく提供されている国々と異なり、日本では接種費用が自己負担(約3〜4万円)となるため、これが接種率の低さの主因と考えられます。今後、費用負担の軽減に向けた制度整備や公的な情報提供が進むことで、全体として接種率の底上げが期待されると考えられます。

発表論文情報

題名(英語):Coverage and determinants of maternal RSV vaccination in Japan: A nationwide survey
著者名:大久保祐輔¹、本庄梨紗²、都築慎也³
所属
(1)国立成育医療研究センター 社会医学研究部 臨床疫学・ヘルスサービス研究室(責任著者)
(2)国立成育医療研究センター 社会医学研究部
(3)国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター
掲載誌:Journal of Infection and Chemotherapy  
DOI10.1016/j.jiac.2025.102892

本件に関する取材連絡先

国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室

03-3416-0181(代表)

koho@ncchd.go.jp

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※医療関係者・報道関係者以外のお問い合わせは、受け付けておりません。

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