超早産児(妊娠22週~23週)の生存率・罹患率の国際コホート研究 ~各国・地域で大きな隔たりがあり、日本はトップクラスの成績~
国立成育医療研究センター(東京都世田谷区大蔵、理事長:五十嵐隆)の新生児科・諫山哲哉と、イギリス、オーストラリア、スペインなど12の国と地域の新生児ネットワークの研究グループは、妊娠22週~23週で生まれNICU(新生児集中治療室)に入室した超早産児における「生存率」と、合併症などへの「罹患率」を調べる国際コホート研究を行いました。
その結果、退院生存率は9%~64%(妊娠22週)と16~80%(妊娠23週)。重症の脳室周囲出血(PVH)もしくは脳室周囲白質軟化症(PVH)の罹患率は24%~65%(妊娠22週)と18%~56%(妊娠23週)。壊死性腸炎は、6%~28%(妊娠23週のみ)となり、国や地域によって生存率と罹患率には大きな差があり、その中でも日本はトップクラスの成績であることが明らかになりました。
こういった各国の差については、医療制度や診療体制などの違いが考えられます。今後、高い成績を残している日本の医療技術や制度が、国際的な医療の質の向上に寄与することが期待されます。
本研究成果は、アメリカの医学雑誌JAMA Pediatricsに掲載されました。
※分母が10人未満の各国新生児ネットワークのデータは、サンプル数が小さいため除外しています。
プレスリリースのポイント
- 日本、イギリス、オーストラリア、スペインなど12の国と地域の新生児ネットワークにおいて、妊娠22週~23週で生まれNICU(新生児集中治療室)に入室した超早産児における「生存率」と、合併症などへの「罹患率」を調べる国際コホート研究を行いました。
- 退院生存率は9%~64%(妊娠22週)と16~80%(妊娠23週)。
- 重症の脳室周囲出血(PVH)もしくは脳室周囲白質軟化症(PVH)の罹患率は24%~65%(妊娠22週)と18%~56%(妊娠23週)。
- 壊死性腸炎は、6%~28%(妊娠23週のみ)。
- 各国・地域において、生存率や罹患率には大きな隔たりがあることが明らかになりました。その中でも日本は、高い生存率、重度の脳障害が低い状況となっていました。
研究概要
参加新生児ネットワーク(12の国と地域)
オーストラリア・ニュージーランド、ブラジル、カナダ、フィンランド、イスラエル、日本、スペイン、スウェーデン、スイス、トスカーナ(イタリア)、イギリス
対象者
2015年1月1日から2021年12月31日の期間において、NICUに入室した妊娠22週~23週に出生した超早産児、5019人
アウトカム
NICU退室までの生存率、重症の脳室周囲出血(PVH)または脳室周囲白質軟化症(PVL)、熟児網膜症(ROP)、気管支肺異形成症(BPD)、壊死性腸炎(NEC)など。
発表論文情報
タイトル:Outcomes of Preterm Infants Born at 22 to 23Weeks' Gestation in 11 International Neonatal Networks
執筆者:諫山哲哉 他
所属:国立成育医療研究センター 新生児科
掲載誌:JAMA Pediatrics
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国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
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