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新たな眼の難治疾患を発見 ~mRNA形成の障害によっておこる多彩な眼の先天形成異常~

東京医科歯科大学 難治疾患研究所 発生再生生物学分野の東 範行博士(前・国立成育医療研究センター病院眼科診療部長・研究所視覚科学研究室室長)と仁科 博史教授の研究グループは、国立成育医療研究センター分子内分泌研究部の深見 真紀部長、システム発生・再生医学研究部の高田 修治部長、東京工業大学 生命理工学院の山口 雄輝教授らとの共同研究で、多彩な眼の先天形成異常を示す新たな疾患を見いだし、その原因がmRNA の形成に関わる遺伝子の突然変異によって、mRNA 形成の仕組みが阻害されることを明らかにしました。当研究所の目的である難治疾患の原因解明と治療において、新しい眼の難治疾患が見つかり、新たな発生機転が明らかになったことは大きな意義があります。
なお、本研究はJSPS基盤研究A (17K19738)、AMED難治性疾患研究事業 (17ek0109217h0001)、成育医療開発研究 (28-2) (いずれも研究代表者 東 範行).等の支援により行われたもので、その研究成果は、国際科学誌Human Molecular Geneticsに、2023年3月27日午前10時(英国夏時間)オンライン版で発表されます。

プレスリリースのポイント

  • 多彩な眼の先天形成異常を示す大家系で、さまざまな遺伝子の発現を制御するIntegrator complex subunit 15 (INTS15) 遺伝子の変異を同定しました。
  • この疾患をvariable panocular malformations (VPM)と名付けました。
  • ノックアウトマウスを作製したところ、ヒト疾患と類似の表現型を示しました。
  • INTS15遺伝子の働きを止めると細胞は死に至り、生命維持に重要な遺伝子であることがわかりました。
  • 分子生物学的解析によって、INTS15遺伝子はDNAからmRNAの形成段階でmRNAのsplicingに働くことがわかりました。
  • iPS細胞を用いた目への分化誘導実験によって、INTS15の働きが低下すると眼や脳の形成が阻害されることがわかりました。
  • INTS15遺伝子は眼の形成だけでなく、脳などの他の臓器の形成にも関与していると考えられます。INTS15遺伝子が正常に働かないと、ことに眼のような複雑な構造をもつ臓器で多彩な臨床像をもつ疾患(VPM)が起こすと考えられます。
  • mRNAの形成障害によって起こる先天形成異常の仕組みの一端が明らかになりました。

発表論文情報

掲載誌: Human Molecular Genetics (オンライン版:2023年3月27日)
論文タイトル: Integrator complex subunit 15 controls mRNA splicing and is critical for eye development

著者: Noriyuki Azuma *, Tadashi Yokoi, Taku Tanaka, Emiko Matsuzaka, Yuki Saida, Sachiko Nishina, Miho Terao, Shuji Takada, Maki Fukami, Kohji Okamura, Kayoko Maehara, Tokiwa Yamasaki, Jun Hirayama, Hiroshi Nishina,
Hiroshi Handa, and Yuki Yamaguchi. * corresponding author



本件に関する取材連絡先

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koho@ncchd.go.jp

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