国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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100%の家庭の子どもの寝具から鶏卵アレルゲンが検出

100%の家庭の子どもの寝具から鶏卵アレルゲンが検出されました
しかも、鶏卵アレルゲンがダニアレルゲンよりも高濃度で検出されました
(エコチル調査パイロット調査より検証)

国立成育医療研究センター研究所エコチル調査研究部の大矢幸弘代表(アレルギーセンター長・エコチル調査メディカルサポートセンター長)、北沢博医師(現在、東北医科薬科大学小児科勤務)、エコチル調査コアセンター(国立環境研究所)、エコチル調査パイロットユニットセンター(熊本大学、九州大学、産業医科大学、自治医科大学)らのグループは、エコチル調査パイロット調査に参加している子どもの寝具を掃除機で埃を吸い取り、埃中のチリダニアレルゲン、鶏卵アレルゲンの量を調べました100%の子どもの寝具の埃から鶏卵アレルゲンが検出され、それら全ての家庭でダニアレルゲン量よりも高濃度で検出しました。この研究成果は、2019年3月5日に日本アレルギー学会公式英文雑誌であるAllergology Internationalより発表されました。


プレスリリースのポイント

  • 乳児期早期に湿疹があると食物アレルギーのリスクが高まることが報告されており、炎症でバリア機能が低下した皮膚から環境中の食物抗原が入ってきて、経皮感作(IgE抗体が作られる)を引き起こし、食物アレルギーの発症リスクを高めることが注目されています。
  • 本研究は、経皮感作が起こる場として、家庭環境における鶏卵アレルゲンの存在を評価するために行われ、日本で初めて子どもの家庭環境で寝具中の鶏卵アレルゲンを測定し、学術誌で発表しました。
  • 今回子どもの寝具の埃から検出された鶏卵アレルゲンは、一般的に家庭の寝具から検出されることが知られているダニアレルゲンよりも高濃度でした。鶏卵アレルゲンが寝具に多く認められることがわかりました。

背景・目的

  • 成育コホート研究(研究責任者:アレルギーセンター長大矢幸弘)から乳児期早期に湿疹があると食物アレルギーのリスクが高まることが報告しました(J Dermatol Sci. 2016 Nov;84(2):144-148)。
  • 鶏卵を食べたことがない湿疹のある乳児は離乳食を開始する前から鶏卵に対するIgE抗体を作っていることが一般的に認められており、湿疹によりバリア機能が低下した皮膚から環境中の鶏卵アレルゲンが入ってきて、経皮感作(IgE抗体を作る)を引き起こし、鶏卵アレルギーの発症をしていると考えられています。経皮感作は食物アレルギーの発症原因として重要視されています。
  • 本研究は、日本で小児期の食物アレルギーの原因として最も多い鶏卵アレルゲンの存在を、子どもたちの家庭環境の寝具においてどのくらいあるのかを評価することを目的としました。

研究手法

環境省事業で実施している「子供の健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のパイロット調査が全国の4施設(自治医科大学、九州大学、産業医科大学、熊本大学)で行われています。本研究は、このパイロット調査に参加しているお子さんの中で、3歳の時点で家庭訪問による調査に協力が得られた約90件の家庭を対象としました。お子さんが使用している寝具に掃除機をかけて埃を収集し、埃中の鶏卵アレルゲン量を測定し、また、同じ埃から同時測定したチリダニアレルゲン量と比較を行いました。測定はELISA法を用い、鶏卵蛋白は鶏卵に含まれる蛋白であるオボアルブミン、オボトランスフェリン、オボムコイドの合算値、チリダニ蛋白はコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニの糞由来のアレルゲンであるDer f 1、Der p 1の合算値としました。それぞれの測定上限は60µg/gです。


成果

図1 埃中の鶏卵とチリダニアレルゲンレベル
(一部投稿論文より改変)

  • 鶏卵アレルゲンは測定したサンプル全てで検出され、鶏卵蛋白の中央値は43.7 μg/g dust (0.9 ~60 μg/g)でした(図1)。
  • Der 1(Der p 1とDer f 1の合算値)の中央値は7.8 μg/g dust(0.1 ~ 60μg/g)であり、全てのサンプルにおいて鶏卵アレルゲン濃度はダニアレルゲン濃度よりも高値でした(図1)。59%の検体で鶏卵アレルゲン量はダニアレルゲン量の2倍以上であり、25%のサンプルで10倍以上でした。

今後の展望・コメント

本研究は3歳時点の子どもの寝具の埃中の鶏卵アレルゲン量、チリダニアレルゲン量を測定し、その濃度を比較したものです。本研究で示された結果は、家庭内での鶏卵アレルゲンの拡散の機序の解明や、環境中食物アレルゲン量と食物アレルギー発症の関連など、今後の課題も残しています。



発表論文情報

著者:北沢博、山本貴和子、齋藤麻耶子、松本健治、斎藤博久、大矢幸弘、他

題名:Egg antigen was more abundant than mite antigen in children’s bedding: findings of the pilot study of The Japan Environment and Children’s Study (JECS)

掲載誌:Allergology International
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1323893019300188

共同研究施設名

エコチル調査メディカルサポートセンター、エコチル調査コアセンター(国立環境研究所)、エコチル調査パイロットユニットセンター(熊本大学、九州大学、産業医科大学、自治医科大学)


本件に関する連絡先

国立成育医療研究センター(代表)

03-3416-0181

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


取材に関すること: 企画戦略局 広報企画室