国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

  • アクセス・交通案内
  • 予約センター
  • MENU

アメリカ出生児の中で日本人が最小―背景には母親の妊娠中体重増加の抑制―

米国の出生票データベースを使用して1,000万人超のデータを解析

国立成育医療研究センター社会医学研究部の森崎菜穂室長とハーバード大学公衆衛生大学院のグループは、日本人がアメリカで生まれる児のうち最も出生体重が小さいこと、そしてその原因は、遺伝や人種に因るものではなく、特に、やせ型や標準体型の妊婦の体重増加量が少ないことに起因していることを突き止めた。
この研究成果は権威ある医学系関連の雑誌として知られるScientific Reportsより発表されました。

      プレスリリースのポイント

      • 赤ちゃんの体格は、両親の身長、体格、お母さんの妊娠中の体重増加などに影響されることが知られている。大柄な両親が多い白人の赤ちゃんより、小柄な両親の多いアジア人の赤ちゃんが小さいことは良く知られていた。
      • 今回、下記の事実が分かった。
      • 日本人の平均出生体重はアメリカで統計が取られている15人種中最も小さい
      • 日本人の赤ちゃんは白人と比べて、約300g小さく産まれる
      • 日本人の赤ちゃんは韓国・中国人と比べても、約150g小さく産まれる【図1】
      • さらに、日本人以外の人種では妊娠前の体格(BMI)で比較的妊娠中の体重増加は似通っていることに対して、日本人はやせ型や標準体型の妊婦の妊娠中の体重増加量が少ないことを報告。【図2】日本人の母が、白人と同じ体格で同じ体重増加であれば、日本人の赤ちゃんは白人と同じくらい大きく生まれうること、つまり、日本人の赤ちゃんが小さく産まれることの遺伝的素因は小さく、日本人女性の体格が大きくなり妊娠中の体重増加が増えれば、出生体重も大きくなることが予想されることを示した。(文献②)
      america_01の画像
      【図1】人種別の平均出生体重
      america02の画像
      【図2】人種・体格別の平均妊娠体重増加量

      背景

      日本では1970年代後半に最低5.1%であった低出生体重児出生率が2007年には9.5%にまでなり、現在も高止まり状態が続いている。低出生体重児増加そして平均出生体重の低下が公衆衛生学的に問題視されて久しい。しかし、その日本人の出生体重が他の人種と比べてどのように異なるのか、その原因はなになのかを調べた研究は少なかった。
      多民族国家であるアメリカでは、出生票を用いた妊娠予後の人種差に関する研究が豊富に行われており、黒人やアジア人が白人より小さく産まれることは知られていた。そこで、われわれはハーバード大学公衆衛生大学院と協力して、アメリカの16人種1,000万人超の2009-2012年の出生票情報を解析して、日本人の出生体重を他人種と比較し、さらにはその原因を調べた。

      研究手法と成果

      両親が日本人である児(6,171名)、中国人である児(93,805名)、韓国人である児(27,219名)、白人である児(4,507,154名)、両親が混合人種であるあるいは両親の人種が異なる児(3,868,775名)を含む10,638,415名を解析した。
      16人種のうち最も出生体重が小さいのは日本人(3,093g)、大きいのはサモア人(3,507g)であった。さらに、妊娠前BMI 23kg/m2未満の日本人は同体格の他人種の妊婦と比べ明らかに妊娠中体重増加量が低く児の出生体重も小さかったか、重要な妊娠合併症(妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群)の発症率は他の人種と比べて特に低くなかった。

      次に、人種による出生体重の差が、両親の社会的背景(年齢・教育歴・喫煙率)、母の体格(身長・BMI)、妊娠中の体重増加でどれくらい説明されるか多変量解析を用いて解析したところ、アジア人種の全6人種とも、母の体格が小さいことは児の体重が小さいことの要因となっていたが、これに加えて、日本人においてのみ、妊娠中の体重増加が少ないことも児の出生体重が小さい原因となっていた。黒人においては早産率が高いことが、出生体重が小さい原因となっていた。いずれの人種においても、両親の社会的背景(年齢・教育歴・喫煙率)は出生体重の人種間差にはさほど大きな影響を与えていないことが分かりました。

      さらに、日本人女性と白人女性の赤ちゃんだけを比較し、父の人種を考慮した解析を行ったところ、白人と日本人の出生体重の差は全て、母の体格と妊娠中の体重増加の差で説明される、つまり、日本人の赤ちゃんが小さく産まれることの遺伝的素因は小さく、日本人女性の体格が大きくなり妊娠中の体重増加が増えれば、出生体重も大きくなることが予想されることを示した。(文献②)。

      研究手法と成果

      本研究で私たちは、日本人がアメリカで生まれる児のうち最も出生体重が小さいこと、そしてその原因は、遺伝や人種に因る普遍的な要因である可能性は少ないことを突き止めました。他のアジア人種も日本人同様、母の体格が白色人種より小さいですが、日本人ではやせ型・標準体型の女性の妊娠中体重増加量が他の人種より少ないことにより、更に出生体重が小さくなっており、現在全ての人種の中で一番小さいことがわかりました。
      日本人の平均出生体重の低下が公衆衛生学的に問題視されて久しいですが、これは、今後、妊娠前や妊娠中の食生活や体重管理を変えることで改善することができる可能性があります
      *このプレスリリースは、リスク因子に関する疫学研究成果です。

      ご寄付のお願い Contribution&Donation

      国立研究開発法人国立成育医療研究センターでは、より充実した成育医療に関する調査、研究並びに医療の提供を行っていくために、研究開発、教育研修及び病院運営に対し企業や個人の皆様方から広く寄付金等を呼び掛けています。(くわしくはこちら

      国立成育医療研究センターのご寄付は、所得税法上の寄付金控除の対象となる特定寄付金又は法人税法上の全額損金算入(税制上の優遇措置)を認められる寄付金です。

      次世代を支える医療のために、ご支援をお願いしております。ご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。