国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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米国で”原因不明難病”と診断された米国人少年を日本の研究チームが MIRAGE症候群と診断・血液異常の克服において骨髄移植の可能性を見出す

MIRAGE症候群の長期予後解明へ向け重要な一歩

国立成育医療研究センター研究所分子内分泌研究部 鳴海覚志室長、慶應義塾大学医学部小児科 天野直子共同研究員、米国セントルイス小児病院小児科 デビッド・ウィルソン医師を中心とする国際共同研究チームは、先天性副腎低形成症や骨髄異形成症候群などの全身症状を持ち、原因不明難病として2010年に論文報告された米国人少年の正しい診断がMIRAGE(ミラージュ)症候群であったことをつきとめました。
この時間と空間の壁を乗り越えた共同研究により、疾患への有効な医学的対応の確立へ向け、重要な知見が得られました。

原論文情報
  • 論文名:Comment on: Acquired monosomy 7 myelodysplastic syndrome in a child with clinical features of dyskeratosis congenita and IMAGe association(http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/pbc.26747/full)
  • 掲載雑誌:Pediatric Blood Cancer

本プレスリリースのポイント

  • 今回、国立成育医療研究センター、慶應義塾大学医学部、セントルイス小児病院が国際共同研究を行い、2010年に原因不明の難病として論文報告されていた米国人少年の正しい診断がMIRAGE症候群であることを突きとめました。
  • MIRAGE症候群は、国立成育医療研究センターを含む共同研究により2016年に確立された新しい遺伝子疾患です。これまで診断を受けた患者は世界で19名にとどまっており、実態把握と治療法開発推進の上で、一人でも多く、正しい診断をつけることが大切です。
  • 10年を越えて生存しているMIRAGE症候群患者は4人目であり、また、骨髄移植により骨髄異形成症候群を克服し、長期生存を達成した最初の患者となりました。今回の報告で、MIRAGE症候群の診断方法のみならず、治療法としての骨髄移植の可能性が示唆されました。

背景

患者数が少ない難治性疾患を稀少難病と呼び、世界で数千種以上が存在すると考えられています。アイス・バケツ・チャレンジで話題になった筋萎縮性側索硬化症などが稀少難病の代表例です。稀少難病への医学的対応は疾患ごとに異なるため、正しい診断をつけ、疾患の特徴を考慮に入れた対応が望まれます。特に遺伝子疾患の場合は、遺伝子解析が診断の上で威力を発揮します。
MIRAGE(ミラージュ)症候群は、SAMD9遺伝子の異常を原因とする稀少難病であり、副腎ホルモンが生まれつき欠乏する先天性副腎低形成症や血液細胞のがんの一種である骨髄異形成症候群など、多彩な症状を呈する全身性疾患です。
この疾患は、国立成育医療研究センターを含む国内の共同研究グループにより2016年に疾患概念が報告された新しい疾患です。これまで世界で19名の患者が報告されており、このうち10名は日本人の患者です。国内の診療実態については現在調査を進めていますが、患者数は50名未満と推定されます。報告された19名の患者のうち14名は2歳までに死亡しており、10年を越えて生存できた患者は3名にとどまっていました。このようにMIRAGE症候群の生命予後は大変厳しく、病態の解明と有効な医学的対応の確立が望まれています。

研究成果

今回、国立成育医療研究センター研究所分子内分泌研究部の鳴海室長を中心とした研究チームは、セントルイス小児病院のデビッド・ウィルソン医師らが2010年にPediatric Blood Cancer誌に報告した原因不明難病の少年の臨床症状(先天性副腎低形成症、骨髄異形成症候群、性分化疾患、易感染性など)がMIRAGE症候群に酷似していることに着目し、少年の診断を再評価することを目的とした国際共同研究を行いました。SAMD9遺伝子解析を行った結果、少年の疾患はMIRAGE症候群であったことが確かめられました。
2010年の論文刊行時に9歳だったこの米国人少年は元気に生存中で、現在16歳になっていることが今回の追加調査で明らかになりました。
なお、少年は6歳時に、7番染色体欠失型骨髄異形成症候群の治療として骨髄移植を受けており、その後も長期間にわたり寛解を維持していました。

今後の展望

このような骨髄移植後の長期寛解、長期生存はMIRAGE症候群患者としては初めてであり、今後、同じ疾患の患者の治療戦略を考える上で重要な参考情報となります。研究チームは引き続き、国内外の医療現場でのMIRAGE症候群患者診療の経験を論文発表し、世界中の小児科医、メディカルスタッフとの情報共有を通じて、MIRAGE症候群の早期診断・治療法の確立に貢献したいと考えています。
本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の支援(課題管理番号17ek0109180h0002)を受けて行われたものであり、その成果は2017年8月17日(米国時間)にPediatric Blood Cancer誌にてオンライン刊行されました。

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