国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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就学前早期の自閉症児への療育介入は、社会予後を改善させる可能性

世界初の国内外の自閉症療育のプログラム ランダム化比較対照試験のメタ解析で明らかに

国立成育医療研究センターこころの診療部の立花良之医長らの研究グループは、自閉症児は就学前の早期に療育を受ければ対人相互交流の能力が伸び、その後の社会予後を大きく変えうることを、国内外の自閉症療育のプログラムのランダム化比較対照試験のメタ解析により、世界で初めて明らかにしました。

プレスリリースのポイント

  • このたび、就学前の自閉症療育が子どもが他者に自分からかかわる能力を向上させることを明らかにしました。この能力は社会予後にも非常に重要なものです。また、療育を受けることで、保護者が子どもの波長に合わせて対応する力が向上することも明らかになりました。一方で、自閉症重症度、発達指数、言語能力、適応行動などの指標についての効果は、研究によって異なっており、メタ解析を行うと有意な効果を認めませんでした。
  • 今回の研究成果は、自閉症の療育についての効果を、国内外の療育プログラムを世界で初めて包括的にメタ解析したものです。また、解析に含んだものはエビデンスレベルの高いランダム化比較対照試験だけを対象とし、かつ、その中から、信頼性の高い手法で行われた研究のみを厳選しています。そのため、メタ解析の結果は科学的に極めて信頼できるものであると考えられます。
  • 自閉症療育プログラムを行う際には、子どもが他者に自分からかかわる能力について伸ばすことが期待できるアウトカムであることを念頭に置きその能力を伸ばすような支援を行っていくことが有効と考えられます。併せて、保護者が子どもの波長に合わせて対応する力も伸ばすことを考慮に入れて子どもと保護者の支援を行っていくことが重要であると考えられます。
    自閉スペクトラム症の有病率は約2%と非常に高く、軽度の症状を持っている人を含めると全人口の5~10%ときわめて多くの人がその兆候を有していると考えられ、精神神経領域の最重要疾患の一つであり、医療・保健・福祉・教育政策上も、自営スペクトラム症児の対人相互交流の能力を伸ばすことに留意した支援を組み立てていくことが重要と考えられます。

▸ 関連情報

A systematic review and meta-analysis of comprehensive interventions for pre-school children with autism spectrum disorder (ASD). Yoshiyuki Tachibana, Celine Miyazaki, Erika Ota, Rintaro Mori, Yeonhee Hwang, Eriko Kobayashi, Akiko Terasaka, Julian Tang, Yoko Kamio PLOS ONE, 2017, DOI: 101371/journal.pone.0186502.

背景

自閉スペクトラム症は、社会的コミュニケーションおよび対人的相互交流、限定された反復的なこだわり行動などを特徴とする疾患で、有病率は2%と非常に多く、スペクトラム(軽度)の人も含めると5,~10%との報告もあり、医療・保健・福祉・教育政策上も精神神経領域における最重要疾患の一つです。

これまで、就学前に自閉症療育をうけると認知発達に良いということが指摘されていました。しかし、科学的に厳密な手法での検証は非常に乏しく、就学前に自閉症療育を受けると、「本当のところどんなところが伸び、どんなところが伸びないのか」ということはわかっていませんでした。

また、自閉症療育プログラムはたくさんありますが、どのプログラムが有効なのか、ということについての科学的検証がなされていませんでした。

研究手法と成果

電子検索により、就学前の自閉スペクトラム症児に対する療育プログラムについてのランダム化比較対照試験29本を抽出しました。それらの研究の科学的信頼性を厳密に検証し、特にエビデンスレベルが高く信頼性が非常に高いと判断された14本のランダム化比較対照試験を選定しました。

自閉症重症度、発達指数、表出性言語、受容性言語、適応行動、対人相互交流など、15のアウトカムについてメタ解析を行い、効果を検証しました。またHowlin (2009)による分類に基づき、(1)行動に焦点をあてたモデル(学習理論とABAに基づいたもの)、(2)コミュニケーションに焦点をあてたモデル(自閉症の主要症状として社会的コミュニケーションの障害をターゲットとしたもの)、(3)多面的発達モデル(子どもの発達の様々な側面をターゲットとしたもの)の3つに分け、各アウトカムに対しモデル間の効果の違いを検証しました。

プログラム全体を統合したメタ解析では、対人相互交流と親の児への応答性に効果を認めました。

3つのモデルを比較したメタ解析では、自閉スペクトラム症重症度・発達指数・受容性言語・表出性言語などのアウトカムに差は見られませんでした。プログラム全体の統合では、対人相互交流と親の児への応答性に効果を認めました。
図1-metaの画像

今後の展望

日本の療育では、明確にエビデンスのある指標を設定して、支援計画を立て、指標での伸びをモニタリングしながらプログラムを行っているところは非常に少ないのが現状です。
日本の療育プログラムでも、対人相互交流の能力を伸ばすことを念頭において、支援プランを立てていくことが重要と考えられます。

医療・保健・福祉・教育政策上、自営スペクトラム症児の対人相互交流の能力を伸ばすことに留意した支援を組み立てていくことが重要と考えられます。

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