国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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日本人男性のY染色体構造変化と精子形成障害の関連を解明(無精子症・乏精子症による男性不妊の診療に役立つ可能性)

国立成育医療研究センターの齊藤和毅研究員・深見真紀分子内分泌研究部長と浜松医大緒方勤教授の研究グループは、獨協医科大学越谷病院、東京歯科大学市川総合病院、木場公園クリニックと連携し、日本人男性不妊のリスクに関連する可能性があるY染色体の構造変化を見出しました。

プレスリリースのポイント

  • ヒトのY染色体には、欠失(染色体の一部が欠けること)や重複(染色体の一部が増えること)などの構造変化が生じやすい部分があることが知られています。今回、私たちは新たな方法で遺伝子解析を行い、Y染色体の構造変化が従来想定されているよりも多様かつ高頻度であることを明らかとしました。
  • さらに私たちは、子どもがいる男性と無精子症や乏精子症の患者さんのY染色体の比較を行い、患者さんでは有意に重複の頻度が高いことを明らかにしました。
  • 今後、研究を進めることにより、これまで原因不明であった男性不妊症患者さんの原因の一部が解明される可能性があります。またY染色体の解析は、無精子症や乏精子症患者さんの治療方針の決定に役立つと期待されます。

背景

Y染色体上のAZFと呼ばれる領域は不安定であり、しばしば欠失や重複などの形の変化が生じることが知られています。これまで主にSTS-PCR法という方法を用いてAZF領域の変化が解析されてきました。その結果、一般男性の数%-30%程度においてAZFの欠失が存在し、無精子症や乏精子症による男性不妊症患者さんで頻度が高いことが見いだされました。現在、AZF領域の欠失は男性不妊症の重要なリスク因子のひとつと考えられています。

しかし、STS-PCR法ではAZF領域の構造変化の一部しか捉えることができません。そのため、AZF領域の変化の頻度や疾患とのかかわりの詳細は不明でした。今回私たちは、MLPA (Multiple Ligation-Dependent Probe Amplification)という新しい方法で解析を行いました。

研究手法と成果

この研究は、日本人男性121名(子どもがいる男性65名、無精子症患者さん42名、乏精子症患者さん14名)の篤志のご協力を頂きました。血液中の白血球からDNAを抽出し、MLPA 法でAZF領域の変化を解析しました。

解析の結果、11種類の欠失、重複、複雑構造異常が見つかりました。このうち3つはこれまでまったく報告がない変化でした。子どものいる男性の約40%、無精子症・乏精子症患者さんの約60%にAZF領域の変化があることがわかりました。重要な点として、欠失の頻度は子どもがいる男性と患者さんで差がなく、重複は有意に患者さんに多いことが明らかになりました。

MLPA法と従来法(STS-PCR法)の比較の画像

今後の展開

Y染色体の構造変化が従来想定されていたよりも多様であり、かつ高頻度に起きることが明らとなりました。さらに日本人では重複が精子形成に悪影響をおよぼす可能性が見出されました。従来の方法でAZFの欠失が見つからなかった不妊症患者さんにもAZF領域の重複が隠されている可能性があります。

今後対象者を増やした解析行うことによって、一つ一つの構造変化が精子形成与える影響明らかにると推測されます。このような研究が進めば、MLPAは不妊症患者さんの治療法選択に役立つ検査法のひとつになると期待されます。

論文名および著者

論文名 : Copy-Number Variations in Y Chromosomal Azoospermia Factor Regions Identified by Multiplex Ligation-Dependent Probe Amplification
著 者: Kazuki  Saito,  Mami  Miyado,  Yoshitomo  Kobori,  Yoko  Tanaka,  Hiromichi  Ishikawa,  Atsumi Yoshida, Momori Katsumi, Hidekazu Saito, Toshiro Kubota, Hiroshi Okada, Tsutomu Ogata and Maki Fukami.
掲載雑誌: Journal of Human Genetics

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