国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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臍帯由来のRNAから風疹ウイルスの遺伝子型を決定することに成功(小児慢性特定疾患事業における研究の推進と医療の質の向上に期待)

国立成育医療研究センターの守本倫子の研究グループは、出生時以降の臍帯(へそのお)から風疹ウイルス(先天性風疹症候群の原因)のRNAを検出・遺伝子型を決定することに成功しました。

当該プレスリリースのポイント

  • 生後1年以降の時点で採取可能な検体(血液検査など)から先天性風疹症候群(出生時には何の症状もないが、出生からしばらくの時間を経てから気づかれるような難聴や神経症状)を判定することが不可能であったのですが、今回、出生時以降の臍帯(へそのお)から風疹ウイルスのRNAを検出・遺伝子型を決定することに成功しました。
  • 現時点では気づかれていない、先天性風疹症候群の原因がより正確に解明されることによって、診断や風疹予防の啓発、介入の効果の評価につながると考えます。そして、原因不明であった難聴や神経症状の原因として、風疹ウイルスが関与している可能性があり、母体感染の診断に役立つと考えられます。
  • 難聴の原因として風疹が認定された暁には、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象となるため、医療費のバックアップならびに、疾患ならびに疾患の診断方法の組織的な研究が期待されます。

背景

妊娠初期の女性が風疹に罹患すると、風疹ウイルスが胎児に感染して、先天性風疹症候群と総称される障がいを持ってしまうことがあり、その障がいのひとつとして難聴があることが知られています。したがって、妊娠可能年齢の女性は、積極的にワクチンで免疫を獲得・予防しておくことが望まれます。

しかしその一方で、知らない内に風疹に罹患して、先天性風疹症候群の子どもが生まれていることがあります。

血液検査などによって先天性風疹症候群であったと推定するデータを得ることは、時間の経過とともに困難となります。生後1年を過ぎて以降の時点で採取可能な検体から「産まれたばかりの頃の状態(の名残り)」を検討することは事実上、ほぼ不可能と考えられていました。

一般論として、ウイルスは遺伝情報を、DNAで持つものと、RNAで持つもの(風疹ウイルス)に大きく二分されています。そして、遺伝情報を担うこれらの物質(核酸)のうち、DNAは比較的安定であるのに対して、RNAは壊れやすいものであると認識されており、検出は困難であると思われておりました。

しかし、当研究班では、この度臍帯からRNAウイルス由来の核酸を検出することに成功しました。

研究手法と成果

この度、先天性風疹症候群の患者さん6家族、先天性風疹症候群ではない方2家族の篤志の御協力を頂きました。それぞれ6件、2件の合計8件の臍帯からそれぞれ数十ミリグラムを削り落とさせて頂きました。

この小片からRNAを抽出し、風疹ウイルスのRNA配列の断片の検出を試みました。また、本当にRNAが抽出されたのかどうかの目安としてヒトの細胞中のRNAの検出も併せて行いました。

結果、風疹ウイルスRNAは、先天性風疹症候群の方6名の臍帯すべてから検出され、先天性風疹症候群ではない2名の方の臍帯からは検出されませんでした。RNA抽出の目安のヒト由来のRNAの配列は8件すべてから検出されました。

そして、風疹ウイルスRNAが検出された6名の臍帯のうち、2名からはウイルスの遺伝子型の決定に成功しました。

今後の展望・コメント

少なくとも、30年以上保存されていた臍帯にも風疹ウイルスの名残りが検出できる程度以上に残っていることが明らかになりました。しかしながら、取れるRNAの絶対量が必ずしも大量ではないので、ウイルスの遺伝子型までを検討できないこともあります(遺伝子型の検討に成功したのは6件中2件)。

少量の臍帯から最大限RNAを抽出できるよう、方法論のさらなる改良が待たれます(具体的には、臍帯片の破砕時における効率的な破砕手法の開発など)。

そして、難聴の原因として風疹が認定された暁には、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象となるため、難聴患者への医療費のバックアップならびに、疾患ならびに疾患の診断方法の組織的な研究が期待されます。

発表論文情報

著者:Ippei Miyata, Takahiko Kubo,Isao Miyairi, Akihiko Saitoh,and Noriko Morimoto.

題名:Successful Detection and Genotyping of Rubella Virus From Preserved Umbilical Cord of Patients With Congenital Rubella Syndrome.

掲載誌:Clinical Infectious Diseases Advance Access published November 6, 2014

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