国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

代表: 03-3416-0181 / 予約センター(病院): 03-5494-7300
〈月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時〉

  • アクセス・交通案内
  • 予約センター
  • MENU
  • トップ
  • > プレスリリース
  • > 2014
  • > 初めて地球規模での妊産婦と新生児の重篤な合併症・死亡の状況が明らかに(地球規模の周産期医療調査において世界保健機関(WHO)と共に大きく貢献)

初めて地球規模での妊産婦と新生児の重篤な合併症・死亡の状況が明らかに(地球規模の周産期医療調査において世界保健機関(WHO)と共に大きく貢献)

国立成育医療研究センターの森臨太郎政策科学研究部長のグループは、WHOと共同して世界規模の周産期医療調査を実施しました。これにより、地球規模での周産期医療の状況が明らかになりました。

本プレスリリースのポイント

  • 世界保健機関(WHO)が2010-2012年に、世界29か国30万人の妊産婦とその新生児を対象に行った「WHO周産期世界調査(WHO Multi-Country Survey on Maternal and Newborn Health)」の結果が、国際的に著名な学術雑誌に掲載されました。
  • 当センターの研究チームが大きく貢献したこの調査により、初めて世界の妊産婦と新生児の重篤な合併症と死亡の状況が明らかになりました。
  • 今後、妊産婦と新生児の健康増進のための対策が進むことが大いに期待されます。

概要

世界では年間約30万人の妊産婦と約260万人の新生児が命を落としていると推測され、地球規模の健康課題になっており、効果的な対策が求められています。

WHOが2010-2012年に、日本を含む29か国、359施設、30万人の妊婦と新生児を対象に行った「WHO周産期世界調査」において、当センターも分析に参加した研究結果が、世界で最も評価の高い医学雑誌の1つであるランセット誌や、産婦人科領域で評価の高い英国産婦人科学会誌等に掲載されました。

これらの研究により、途上国を中心として地球規模での妊産婦と新生児の重篤な合併症と死亡の状況が明確になるとともに、これらの診療状況が明らかになりました。主な研究成果は、以下のとおりです。

  1. 母体死亡および重症母体の25%が、基礎疾患に起因していた。基礎疾患がある母体では、合併症・母体死亡及び乳幼児死亡がより多かった。
  2. 切迫早産の妊婦において、児の予後を改善するためにWHOが推奨している出生前ステロイド投与の割合は53.8%のみで、同様に子宮収縮薬の投与割合も低く、適切な診療を受けているのは18%のみであった。
  3. 十代の妊娠では母体合併症・母体死亡のリスクが高まる。発展途上国における十代の妊娠に対して、妊娠初期の予防策および公衆衛生学的な環境改善が必要である。
  4. 教育歴が低い女性では、他の関連要因の影響を除いても、母体死亡および母体合併症のリスクが高い。これは、人間開発指数が低い国においてより顕著であった。
  5. 多くの周産期死亡は、合併症を有する母体で起こるため、早期発見と適切なマネジメントにより、母児双方の予後を改善できる。
  6. 貧血や妊娠高血圧などの合併症が生じた後に早産を防ぐことは、先進国においても難しいため、発症前にリスクを有する母体に予防介入することが有用である。

これらの研究成果を踏まえ、現在、国立成育医療研究センターはWHOと連携し、効果的な診療指針(ガイドライン)の作成を進めています。

≪参考≫

  • WHO高官A. Metin Gülmezoglu博士からのコメント
    「この調査は世界314,000人の妊婦と新生児の情報を含めた調査で、妊娠合併症と母体ニアミス(死亡に近い状態に陥った例)に関する過去最大の調査である。1500人の研究者、WHO日本を含む財政的支援者の連携と熱意によりプロジェクトを終えることができた。国立成育医療研究センターの森臨太郎博士率いる研究チームはこのプロジェクトの主要パートナーであり、このチームは日本の病院の3500の妊婦と赤ちゃんのデータを収集し、世界の他の研究者や医療従事者と連携して、グローバルレベルの妊産婦と新生児の健康に関する重要課題に関するデータ分析を行った。WHO世界周産期調査は日本国・厚生労働省、世界保健機関、米国国際開発庁等から財政的支援を受けた。日本政府の支援なしにはこの重要でグローバルな研究は不可能であった。」
  • 参加国(29カ国)
    アフガニスタン、アンゴラ、アルゼンチン、ブラジル、カンボジア、中国、コンゴ民主共和国、エクワドル、インド、日本、ヨルダン、ケニア、レバノン、メキシコ、モンゴル、ネパール、ニカラグア、ニジェール、ナイジェリア、パレスチナ、パキスタン、パラグアイ、ペルー、フィリピン、カタール、スリランカ、タイ、ウガンダ、ベトナム 参加国(29カ国)
  • 本研究の成果として出版された主な論文(太字は当センター所属研究者)
  1. Souza JP, Gülmezoglu AM, Vogel J, Carroli G, Lumbiganon P, Qureshi Z, Costa MJ, Fawole B, Mugerwa Y, Nafiou I, Neves I, Wolomby-Molondo J, Bang HT, Cheang K, Chuyun K, Jayaratne K, Jayathilaka CA, Mazhar SB, Mori R, Mustafa ML, Pathak LR, Perera D, Rathavy T, Recidoro Z, Roy M, Ruyan P, Shrestha N, Taneepanichsku S, Viet Tien N, Ganchimeg T, Wehbe M, Yadamsuren B, Yan W, Yunis K, Bataglia V, Cecatti JG, Hernandez-Prado B, Nardin JM, Narváez A, Ortiz-Panozo E, Pérez-Cuevas R, Valladares E, Zavaleta N, Armson A, Crowther C, Hogue C, Lindmark G, Mittal S, Pattinson R, Stanton ME, Campodonico L, Cuesta C, Giordano D, Intarut N, Laopaiboon M, Bahl R, Martines J, Mathai M, Merialdi M, and Say L. Beyond the coverage of essential interventions –the next challenge for reducing global maternal mortality: findings of the World Health Organization Multi-country Survey on Maternal and Newborn Health. The Lancet. 2013;381(9879):1747-55.
  2. Vogel JP, Souza JP, Gülmezoglu AM, Mori R, Lumbiganon P, Qureshi Z, Carroli G, Laopaiboon M, Fawole B, Ganchimeg T, Zhang J, Torloni MR, Bohren M, Temmerman M, for the WHO Multi-Country Survey on Maternal and Newborn Health Research Network. Use ofantenatal corticosteroids and tocolytic drugs in preterm births in 29 countries: an analysis of the WHO Multicountry Survey on Maternal and Newborn Health. The Lancet. 2014 early publication on-line
  3. Morisaki N, Ganchimeg T, Vogel J, Souza JP, Hogue C, Jayaratne K, Ota E, and Mori R. Risk factors for spontaneous and provider-initiated preterm delivery in high and low Human Development Index countries: secondary analysis of the WHO Multi-country Survey on Maternal and Newborn Health. BJOG 2014; 121(s1):101–109.
  4. Vogel J, Souza JP, Mori R, Morisaki N, Lumbiganon P, Laopaiboon M, Ortiz-Panozo E, Hernández-Prado B, Perez-Cuevas R, Roy M, Mittal S, Cecatti J, Tuncalp O, GulmezogluAM. Maternal complications and perinatal mortality: findings of the World Health Organization Multi-country Survey on Maternal and Newborn Health. BJOG 2014; 121(s1):76–88.
  5. Ganchimeg T, Ota E, Morisaki N, Laopaiboon M, Lumbiganon P, Zhang J, YadamsurenB, Temmerman M, Say L, Tuncalp O, Vogel J, Souza JP, and Mori R. Adolescent pregnancy outcomes: a WHO multi-country study. BJOG 2014; 121(s1): 40–48.
  6. Tunçalp Ö, Souza JP, Hindin MJ, Santos CA, Oliveira TH, Vogel JP, Ganchimeg T, Ha DQ, Say L, Gülmezoglu AM and on behalf of the WHO Multicountry Survey on Maternal and Newborn Health Research Network: Education and severe maternal outcomes in developingcountries: a multicountry cross-sectional survey. BJOG 2014; 121(s1):57-65.

ご寄付のお願い Contribution&Donation

国立研究開発法人国立成育医療研究センターでは、より充実した成育医療に関する調査、研究並びに医療の提供を行っていくために、研究開発、教育研修及び病院運営に対し企業や個人の皆様方から広く寄付金等を呼び掛けています。(くわしくはこちら

国立成育医療研究センターのご寄付は、所得税法上の寄付金控除の対象となる特定寄付金又は法人税法上の全額損金算入(税制上の優遇措置)を認められる寄付金です。

次世代を支える医療のために、ご支援をお願いしております。 ご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

本件に関する連絡先

国立成育医療研究センター(代表)

03-3416-0181

月~金曜日(祝祭日を除く)9時〜17時


取材に関すること: 総務部総務課広報係(内線 7783)