国立研究開発法人 国立成育医療研究センター National Center for Child Health and Development

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地域の社会的つながり(ソーシャルキャピタル)の度合いが子どもの自閉傾向と関連(子どもの自閉症スペクトラム障害の発症メカニズムを解明する手掛りとして期待)

国立成育医療研究センター研究所社会医学研究部の藤原武男の研究グループは、地域の信頼の強さ・相互扶助の度合い(ソーシャルキャピタル)が、子どもの自閉症スペクトラム障害傾向と関連していることを明らかにしました。

本プレスリリースのポイント

  • 地域の信頼関係が強く、相互扶助の度合いが高く、また母親の社会ネットワーク(困った時に相談できる人の数で測定)が豊かなことと、1歳半の子どもが自閉症スペクトラム障害疑いである割合が低いことに関連があることが分かった(ただし、因果関係は不明)。
  • 自閉症スペクトラム障害が社会的環境要因とも関連していることを示した研究はこれまでにほとんどない。社会的つながり(ソーシャルキャピタル)と子どもの自閉症スペクトラムの関連を示したのはこれまでにない。
  • この関連についての因果関係をより厳密な研究で検証することで、自閉症スペクトラム障害の発症メカニズムの解明が期待できる。

背景・目的

日本において、母親の社会的ネットワークと地域における信頼関係の認知が、1歳半(生後18か月)における子どもの自閉症スペクトラム障害疑いの有症率と関連があるかを明らかにすること。

研究方法と成果

研究目的で設計された設問票を、千葉県千葉市における1歳半健診で配布・6061名から回答を得た(回答率:64%)。その後、ソーシャルキャピタルおよび社会的ネットワークと自閉症スペクトラム障害疑いとの関連をロジスティック回帰分析による解析を行った。

設問票の内容としては、母親の社会的ネットワーク(困った時に相談できる親戚や友人の数)、地域住民同士が信頼しあっていると思うか、地域住民同士が助け合っていると思うか(これらを個人レベルの「認知型ソーシャルキャピタル」という)、そして社会参加・域組織への所属や参加頻度(これらを個人レベルの「構造的ソーシャルキャピタル」という)、さらにM-CHATという、自閉症スペクトラム障害のスクリーニング尺度を含む質問紙で構成される。

解析の結果、母親の社会的信頼の認知が低い場合、高い母親に比べて、子どもが自閉症スペクトラム障害疑いであるリスクは1.82倍(95%信頼区間:1.38-2.40)であった。相互扶助に関しても同様の傾向であった。一方、母親の組織参加は自閉症スペクトラム障害疑いとU字型の関連であった。

つまり、組織参加がない母親の子どもに比べ、月に1-3回の参加をしている母親の子どもは25%、自閉症スペクトラム障害疑いの有症率が低かったが、月に4回以上の参加をしていると、参加をしていない母親の子どもとの有意差はなかった。母親の社会的ネットワークは、多いほど子どもの自閉症スペクトラム障害疑いの有症率は低く、ネットワークの種類(親戚や近所、近所にはいない友人)によらずにその関連が確認された。

今後の展望

母親の認知型のソーシャルキャピタル(地域における信頼関係や相互扶助)および社会的ネットワークは、子どもの自閉症スペクトラム障害疑いと関連している可能性が示唆された。尚、構造的ソーシャルキャピタル(地域組織への参加)はその関連がなかった。

子どもの自閉症スペクトラム障害の発症メカニズムを解明すべく、今後、因果関係をより厳密な研究で検証する必要がある。

筆者コメント

「今回の研究結果は、自閉症スペクトラム障害に関して、地域の社会的環境の重要性を示した。これまでの研究は遺伝や生物学的視点が多かったが、今後、地域づくりがいかに症状を軽くするかについて研究を推進していきたい。」(藤原武男)

原論文情報

論文名:Are maternal social networks and perceptions of trust associated with suspected autism spectrum disorder in offspring? A population-based study in Japan(和訳:母親の社会的ネットワークと信頼の認知は子どもの自閉症スペクトラム障害疑いと関連があるか?日本における地域住民ベース研究)

著者名:藤原武男(研究代表者)、Ichiro Kawachi(ハーバード公衆衛生大学院)

掲載雑誌:PLoS One(プロスワン)

出版日:米国東部時間2014年7月1日午後5時

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