手術支援ロボット「ダビンチ」による手術を開始しました
ダビンチでの手術では、医師が立体的な映像を見ながらロボットアームを操作することで、より正確で安定した手術が可能になります。当センターで導入した「da Vinci SP」は、手術で切る場所が一か所で済むタイプのロボットで、体の小さい小児にも適しており、術後の傷が目立ちにくい点も大きなメリットです。
こうした最先端の医療を実現できたのは、皆さまのご支援のおかげです。今後も当センターでは、子どもたち一人一人により安全で質の高い医療を届けてまいります。

医師コメント
外科 石丸哲也先生
ダビンチで実際に手術してみての感想
何よりもまず、無事に手術を終えることができたことを大変うれしく思っています。多くの方々のご協力を得ながら準備を進めてきましたので、あらためて皆さまに感謝申し上げます。実際に手術を行い、ロボット手術の素晴らしさを改めて実感し、今後さらに普及していくべきだと感じています。
ロボット手術のメリットや小児での難しさについて
高精細な3D画像を見ながら、多関節のロボットアームを直感的に操作することで、非常に質の高い、精緻な手術が可能になります。今回、当センターで導入した「da Vinci SP」は、おへその所を一カ所だけ切って、カメラと3本のアームすべてを挿入できるロボットです。体の中のスペースが限られる小児でも使用できるため、小児医療にこそメリットがあると考えています。
今後の運用について
今後は、ロボット手術を希望される患者さんを全国から受け入れ、日本の子どもたちに最先端の外科治療を提供していきたいと考えています。現在は保険適用となっている手術が限られており、より多くの患者さんがロボット手術を受けられるよう、保険適用となる手術の拡大にも取り組んでいきたいと思います。
泌尿器科 長谷川雄一先生
ダビンチで実際に手術してみての感想
縫合の操作については、これまでの腹腔鏡手術と比べて、ロボット手術では器具の動き方が大きく異なると感じました。手術では針を入れる角度や縫う間隔がとても重要です。ロボット手術では細かな動きが可能になり、より理想に近い縫い合わせができると感じています。
ロボット手術のメリットや小児での難しさについて
一般に成人で使用されている手術用ロボットは、お腹を数カ所切って行うタイプです。成人と同じロボットを使用する場合、体の小さい小児では手術が難しいとされてきました。当センターで採用したものは、おへそを縦に切って手術に使うことで、術後の傷が目立ちにくく、見た目の満足度が高い点が最大のメリットだと考えています。
今後の運用について
国内では、泌尿器科領域の悪性疾患を中心にロボット手術が広く行われていますが、小児泌尿器科疾患にロボット手術を行っている施設はほとんどありません。当科では小学生以上の患者さんを対象にロボット手術を開始し、2025年11月時点で腎盂形成手術を5例実施しています。いずれも術後の経過は良好で、患者さんは元気に過ごされています。今後は、膀胱尿管逆流症の手術が保険適用となり次第、対応を開始する予定です。



